『はだしのゲン』を全巻大人買いしました。
(写真は、外国の方にも知って欲しいので、英語で)
子どもの頃に読んだ頃は、トラウマで、自分が死ぬのが本当に怖かったです😅
マジで、何かの拍子に、大阪に核兵器が落ちたと想像すると、ゾッとします。
小学校の時修学旅行では広島に行きましたが、
「平和学習」では、あまり「ゲン」のような原爆の悲惨さを伝えるものはなかったと思います。
中沢啓治さんも、
「実際は、あんな漫画どころじゃないほどの地獄だった」
と言います。
長崎では、ミサの最中の浦上天主堂の真上で原爆が炸裂し、
信徒三千人が即死、
その上、アメリカの側は、「キリストに祝福されて」そういうことをやっているわけですから、
言葉では表せない憤りを感じます。
今朝もミサで祈っておりましたが、
「もし今大阪上空に核が爆発したら」ということを考えておりましたが、
まさに、これはキリストの御受難そのものではないか、と思うようになってきました。
筆舌に尽くしがたい死も、そこで終わることなく、キリストの生命に打ち勝つことはできません。
はだしのゲンは、
政治的にかなり論争を呼んでおり、私の故郷の島根県では自由に閲覧できない処置が取られるようになりました。
歴史を調べていく上で、
アメリカの教科書がどのように書いているかも読みました。
「戦争を早く終わらせるために」という口実は今でも書かれています。
しかし、街に住んでいた人々がどうなったかは全く書かれていません。
一方、ヤルタで連合国がどのような協定を結んでいたか、
アメリカは、必要がなかったのに、人体実験のために二種類の爆弾を投下したということも。
開戦や終戦に関する天皇陛下の想いも。
通州事件や南京事件に関する証言も読みました。
はっきり言って、「はだしのゲン」の歴史認識にも主張にも私は賛成していません。
それでも、
やはり遺しておかねばならない作品だと考えています。
日教組系の雑誌に連載された時期もあります。
しかし、
「反戦、反核、反日、反宗教のプロパガンダのために描かれた漫画」
ではなく、
やはりテーマは、
「踏まれても踏まれても麦のように強く生きる生命」であり、
政治的主張や描写は二次的なものとして脇にのけておく必要があるかも知れません。
いや、政治的主張も、ゲンの叫びと渾然一体となっているのかもしれませんが。
ゲンは
「道徳的な漫画」ですらないと思います。
孤児たちは、生き残るためなら、愛する人を守るためなら、
盗み、詐欺、暴力も厭わない。
教科書では絶対に描くことのできない実体験としての物語、記録、
不条理への怒り、嘆きがあります。
「道徳的」ではないが、
ゲンは、進んで被差別者の友となります。
ピカで皮膚がお化けのようになり誰からも気持ち悪がって近寄らなくなった被爆者らと真剣に向き合い、友となり、時にその皮膚まで舐め、生きるようにと、励まします。
一緒に笑い、一緒に泣き、一緒に怒ります。
(私たちのような)正論をいい、同情だけ寄せる傍観者と天と地の違いがある。
また、ゲンらは、一方的な原爆の悲惨な被害者というわけでもなく、
悲惨な中でも、たくましく、そして底抜けの明るさを持ちながら、
恐るべきバイタリティを持って生きていきます。
「間違った歴史認識を植え付けているから、ひどい漫画だ」
「反戦反核、平和を唱えているから素晴らしい漫画だ」
「原爆の悲惨さ」
という次元ではない、
ましてや「こう生きるべきだ」ですらない。
「原爆を経験した生命の一つの記録」です。
教科書では、
「何千度の光が発生して、街が廃墟と化し、一気に何万人もの人が死に、後遺症で苦しむ人も多数」
以上のことは書けない。
数字と写真と記録で遺された客観的で抽象的な悲惨さから、
私たちは、その時ヒロシマにいた家族も友人もいた同じ人間の物語に巻き込まれて、恐怖、悔しさ、哀しさ、不条理、怒りなどの感情を共にします。
ゲンは
「歴史の勉強」のために読まれるべきものでは決してないでしょう。
主張には全く賛成しませんが、
純粋に漫画として、面白い、というか、
「素直に」読めばいいと思います。
戦争の恐ろしさや不条理さに考え、
原爆に恐怖し、家族との離別に涙し、
「これが実際に75年前にあったことなのか」とトラウマを植え付けられ、
時たま出てくるギャグに笑い、
「ゲン、あんたの言うとることは誤認や」と漫画の外から語りかければいい。
私たちは、ほとんど戦争や核をリアルで体験していません。
紙の上や映画や誰かからの話です。
それゆえ、もし再びこのようなことが起こったら、
私たちの身にどのようなことが起こるかということは想像できません。
年齢に応じた配慮は必要でしょうが、トラウマや残酷な描写は必要です。
これが戦争なのだということは知っておかないと、
痛みや恐怖を知らないまま、私たちはくだらない理由で戦争に突入していくのですから。
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