著者は、本書の「まえがき」でこう書いている:
<この本は、具体的な記述に特徴がある。正確な記述に気をつかっていない。というのは、私ははじめから偏微分方程式の厳密な理論など知らないのだ。あくまで偏微分方程式を使う立場から書いている。>
本書は、「まえがき」の言葉通りの内容だと思う。
成績優秀な学生、あるいは大学院へ進む学生には、本書は「お遊び」のように見えるかもしれない。
そのような学生は、四の五の言わないで、すぐに長沼 伸一郎氏の『物理数学の直観的方法』を読まれたらよろしかろう。
因みに、私は勉強しない学生だったから、本書でもやや骨が折れるのだ。
参考に、目次は以下のようである:
まえがき
プロローグ ちっとも変じゃない偏微分方程式
第1章 準備に時間がかかる偏微分方程式
1の1 偏微分方程式をたてるモチベーション
1の2 偏微分方程式をつくる基本原理
1の3 座標系、微小空間、そして微分
1の4 基本アイテムは流束
1の5 ドヤドヤ流束の表現述
1の6 マヘモのジワジワ流束と勾配三人衆
1の7 この章のまとめ
第2章 つくるのがおもしろい偏微分方程式
2の1 「〇〇な△△に、突然、□□」現象
2の2 単純化して本質を抽き出すモデリング
2の3 放物型偏微分方程式の誕生
2の4 時間なら初期条件、空間なら境界条件、ただそれだけ
2の5 無次元とアナロジー
2の6 キュウリとスイカを冷蔵庫で冷やす
2の7 この章のまとめ
第3章 つくるのがたいへんな偏微分方程式
3の1 「消」がゼロでない収支式
3の2 直角座標での収支の一般式
3の3 円柱座標での収支の一般式
3の4 双曲型偏微分方程式
3の5 この章のまとめ
第4章 ふしぎに解けていく偏微分方程式
4の1 偏微分方程式の解法の分類
4の2 ラプラス変換表をつくる
4の3 放物型偏微分方程式をラプラス変換法で解く
4の4 常微分方程式をラプラス変換法で解く
4の5 この章のまとめ
第5章 解をグラフで味わう偏微分方程式
5の1 プリンカラメルのしみ込み
5の2 キュウリとスイカの冷やし
5の3 中華鍋の把手でのジワジワ
5の4 この章のまとめ
べんりな付録
付録1 本書で使用したギリシャ文字の一覧
付録2 微分と積分の公式
付録3 様々な座標でのナブラとラプラシアンの公式
付録4 三角関数と双曲線関数
付録5 ラプラス変換の基本
付録6 少し高度な関数のラプラス変換表
付録7 ラプラス逆変換表
参考書の紹介
おわりに
なっとくする偏微分方程式ワールド
索引
お終い
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なっとくする偏微分方程式 (なっとくシリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2005/11/29
数学者には書けない!
偏微分方程式をつくって、解いて、味わう本
大学で受けた数学の講義も、そこで使った教科書も、私にははじめからまったくわからなかった。「なんじゃこれは」と内心思っていた。わからない理由は、具体的な例の記述がないから、イメージを与える絵がないからだとずっと後になってわかった。この本では私のこれまでのすべてを注いで、偏微分方程式の似合う場面の具体例を書くことを心がけた。……この本は、具体的な記述に特長がある。正確な記述に気をつかっていない。というのは、私ははじめから偏微分方程式の厳密な理論など知らないのだ。あくまで偏微分方程式を使う立場から書いている。――<本書「まえがき」より>
“「難解な数学」感”を一掃。身近な現象から偏微分方程式をつくることで、数式のもつ物理的な意味をたちどころになっとくさせる、画期的な入門書。
偏微分方程式をつくって、解いて、味わう本
大学で受けた数学の講義も、そこで使った教科書も、私にははじめからまったくわからなかった。「なんじゃこれは」と内心思っていた。わからない理由は、具体的な例の記述がないから、イメージを与える絵がないからだとずっと後になってわかった。この本では私のこれまでのすべてを注いで、偏微分方程式の似合う場面の具体例を書くことを心がけた。……この本は、具体的な記述に特長がある。正確な記述に気をつかっていない。というのは、私ははじめから偏微分方程式の厳密な理論など知らないのだ。あくまで偏微分方程式を使う立場から書いている。――<本書「まえがき」より>
“「難解な数学」感”を一掃。身近な現象から偏微分方程式をつくることで、数式のもつ物理的な意味をたちどころになっとくさせる、画期的な入門書。
- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/11/29
- ISBN-104061545582
- ISBN-13978-4061545588
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/11/29)
- 発売日 : 2005/11/29
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 222ページ
- ISBN-10 : 4061545582
- ISBN-13 : 978-4061545588
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2018年7月8日に日本でレビュー済み
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一見、簡単そうにかいてある。
実は何の解決にもなっていないし、解説にもなっていない。
このあたりの仕掛けは長沼伸一郎の「物理数学の直感的方法」に詳しい。
なぜ、この手の「マンガで読む微分方程式」みたいなタイトルが売れるわりに分かりにくいか。
それは難しいところは全て、人のセリフの中に押し込められていて、ちっとも解説になっていないからである。
本質的な理解の難点というのは、単に絵を増やしたからと言って解決しない。
おまけにだが、「マヘモ」とか独特の用語を理解する必要があり、そのようなことなら偏微分方程式の本質をずばっとつくべきである。
なぜ、ローテーションか、なぜダイバージェンスか、なぜ偏微分方程式にならざるを得ないかきちんと論理立てて説明できていないからだ。これさえ理解できれば、ほとんどの微分方程式は理解できる(もちろんだが全部ではない)。
わたくしはこの本より、長沼伸一郎の「物理数学の直感的方法」を推薦したい。
実は何の解決にもなっていないし、解説にもなっていない。
このあたりの仕掛けは長沼伸一郎の「物理数学の直感的方法」に詳しい。
なぜ、この手の「マンガで読む微分方程式」みたいなタイトルが売れるわりに分かりにくいか。
それは難しいところは全て、人のセリフの中に押し込められていて、ちっとも解説になっていないからである。
本質的な理解の難点というのは、単に絵を増やしたからと言って解決しない。
おまけにだが、「マヘモ」とか独特の用語を理解する必要があり、そのようなことなら偏微分方程式の本質をずばっとつくべきである。
なぜ、ローテーションか、なぜダイバージェンスか、なぜ偏微分方程式にならざるを得ないかきちんと論理立てて説明できていないからだ。これさえ理解できれば、ほとんどの微分方程式は理解できる(もちろんだが全部ではない)。
わたくしはこの本より、長沼伸一郎の「物理数学の直感的方法」を推薦したい。
VINEメンバー
本書の著者にとって、偏微分方程式は、箸(はし)の様な物なのだろう。日本人が箸を使ふ様に、著者は、偏微分方程式を自由自在に使って居る。その点については、数学音痴の私などは感嘆するばかりだし、何より、偏微分方程式を語る事への著者の情熱が、一行一行から伝わる熱い本である。しかし、この本は、高校から大学に入ったばかりの学生には、却って、分かりにくい本だと、私は思ふ。著者が、多くの比喩や例えを引き合いにして、読者に偏微分方程式を理解させようとする情熱には脱帽する。しかし、その中には、著者の独りよがりの部分が有り、比喩が回りくどくて、却って分かりにくくなって居る。(「マヘモ」などと言ふ表現は、却って分かりにくくないだろうか?)
若い頃、数学の劣等生であった私の経験から言へば、偏微分方程式の勉強で苦労した物の一つは、全微分を理解する事であった。全微分は、熱力学におけるエントロピーを理解する上で必須の概念である様に、偏微分方程式を学ぶ過程でとても重要な箇所である。この全微分を理解する為には、接平面の幾何学的意味を正確に理解する事が絶対に必要であるが、過去の日本の教科書の多くは、この接平面について十分な記述(説明)をして来なかった。その結果、全微分の意味が正確に理解出来無い学生は少なくなかったと思ふし、全微分が分からなければ、エントロピーの数学的意味を理解出来る訳は無いのだから、日本の理科系の学生は、実は、意外にエントロピーの数学的意味を理解して居なかったのではないか?と、私は、思って居る。(現に、理科系の専門家の中には、そう言ふ人が居る)偏微分方程式に限らず、物理数学の勉強で重要なのは、こうした数学的な説明である。偏微分方程式の場合も例外ではなく、接平面などの数学上の周辺概念をきちんと厳格に教えられれば、物理学的な事柄は、おのずと理解出来るものである。物理数学の本だから、数学的解説をはしょっていいと言ふのは錯覚であって、物理数学の教科書こそは、数式の直感的概念を詳しく説明しなければならないのである。例えば、渋谷仙吉・内田伏一『物理数学コース・偏微分方程式』(裳華房・2000年)などと読み較べて頂きたい。この本には、接平面を視覚的に理解させる為の図が豊富に有る。本書の著者と出版社は、偏微分方程式の理解には役立たないイラストよりも、接平面や全微分の図を沢山載せて、読者が、偏微分方程式の幾何学的意味を直感的に理解出来る様にするべきであったと思ふ。著者は、分かり易い本を書いた積もりかもしれないが、劣等生を代表して言はせて頂ければ、この本は、分かりにくく、学生には推薦出来無い。「マヘモ」等と言ふ回りくどい説明よりも、数学的な説明にもっと多くの紙面を割いて欲しかったと言ふのが、私の感想である。学生たちの為に、厳しい批評を書かせて頂く非礼を著者にお詫び申し上げる。
(西岡昌紀・内科医)
若い頃、数学の劣等生であった私の経験から言へば、偏微分方程式の勉強で苦労した物の一つは、全微分を理解する事であった。全微分は、熱力学におけるエントロピーを理解する上で必須の概念である様に、偏微分方程式を学ぶ過程でとても重要な箇所である。この全微分を理解する為には、接平面の幾何学的意味を正確に理解する事が絶対に必要であるが、過去の日本の教科書の多くは、この接平面について十分な記述(説明)をして来なかった。その結果、全微分の意味が正確に理解出来無い学生は少なくなかったと思ふし、全微分が分からなければ、エントロピーの数学的意味を理解出来る訳は無いのだから、日本の理科系の学生は、実は、意外にエントロピーの数学的意味を理解して居なかったのではないか?と、私は、思って居る。(現に、理科系の専門家の中には、そう言ふ人が居る)偏微分方程式に限らず、物理数学の勉強で重要なのは、こうした数学的な説明である。偏微分方程式の場合も例外ではなく、接平面などの数学上の周辺概念をきちんと厳格に教えられれば、物理学的な事柄は、おのずと理解出来るものである。物理数学の本だから、数学的解説をはしょっていいと言ふのは錯覚であって、物理数学の教科書こそは、数式の直感的概念を詳しく説明しなければならないのである。例えば、渋谷仙吉・内田伏一『物理数学コース・偏微分方程式』(裳華房・2000年)などと読み較べて頂きたい。この本には、接平面を視覚的に理解させる為の図が豊富に有る。本書の著者と出版社は、偏微分方程式の理解には役立たないイラストよりも、接平面や全微分の図を沢山載せて、読者が、偏微分方程式の幾何学的意味を直感的に理解出来る様にするべきであったと思ふ。著者は、分かり易い本を書いた積もりかもしれないが、劣等生を代表して言はせて頂ければ、この本は、分かりにくく、学生には推薦出来無い。「マヘモ」等と言ふ回りくどい説明よりも、数学的な説明にもっと多くの紙面を割いて欲しかったと言ふのが、私の感想である。学生たちの為に、厳しい批評を書かせて頂く非礼を著者にお詫び申し上げる。
(西岡昌紀・内科医)