なぜ人はショッピングモールが大好きなのか 著者は様々な業種・業態の店舗と、そこを訪れる顧客の行動を研究する米国のマーケティングコンサルタントだ。時代の潮流に乗って売り上げを伸ばす店の秘密を実地調査を通じて探った前作『なぜこの店で買ってしまうのか』は、全米でミリオンセラーを記録した。2年前からは日本にもコンサルティング事業の拠点を置いて活動している。
本書は複合商業施設「ショッピングモール」の吸引力とそこに集う顧客の購買行動を、世界中の事例を基に解読していくもの。
著者は、時にモールで大金を使う女性客の心理を読み、巨大モールに迷ってうんざりする客の心理を代弁し、モールの特性を生かして売り上げを伸ばす店の店員から集客のコツを聞き出す。個々の店舗はもちろん、モールの外観、駐車場、トイレ、サインに至るまで、訪れた顧客の立場になって良い作りと悪い作りを見分けていく。
「男性はモールを愛せない」という分析もユニークだ。モールのジャングルのような構造は、目的の店へとまっしぐらに向かいたい男たちにとっては厄介であると指摘。また、日本の実地調査にも熱心で、渋谷の街や安売り店チェーン「ドン・キホーテ」などについても言及している。
(日経ビジネス 2004/06/14 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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日本でもこれまで、郊外の大型ショッピング施設をはじめ、ヴィーナスフォートやイクスピアリなどの女性向けモール、御殿場や多摩のアウトレット・モール、そして丸ビルや六本木ヒルズなどの都市型モールなど、だいぶ多くのモールができてきました。「とりあえずモール」くらいのノリでこういう施設で時間を過ごすことは年々増え、もはや文化と言ってもよいくらいです。 しかし、人の文化的行動の場、そして小売の場として、ショッピングモールやデパートは実際にはどこまでの役割を果たすことができ、また果たすべきなのでしょうか。前作に続き本作も、著者が提案する「売れる店をつくる方法」には目からウロコなのですが、いっぽうで文化的行動としてのショッピングとは何か、その将来にあるものは何か、といったことを考察しているところこそ、この本の真骨頂と言えます(「小売の人類学者」と呼ばれるだけのことはある)。
とはいえ、著者が個性的な客、店員、専門家たちとともに繰り広げるモール探検の様子は掛け値なしに面白く、まったく飽きるところがありません。「売る人」にとっても「買う人」にとっても役に立つ一冊です。
内容(「BOOK」データベースより)
休日には人でごった返し、いまや一つの文化でもあるショッピングモール。でもよく観察すると、困っている客やイライラしている客も。本書では読者は「小売の人類学者」と呼ばれる著者とともに、各店舗だけでなく駐車場やトイレなどモールのすみずみまで歩き回り、さまざまな問題点や売るための妙案を発見してゆく。
内容(「MARC」データベースより)
休日には人でごった返し、いまや一つの文化でもあるショッピングモール。でもよく観察すると、困っている客やイライラしている客も…。複合商業施設で売る秘策を明かす、小売業者からメーカーまで必読のビジネス書。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
アンダーヒル,パコ
マーケティング・コンサルタント会社エンバイロセル社の創業者兼CEO。ニューヨークを拠点に世界中のあらゆる業種・形態の店舗で顧客行動を追跡、そこから導き出す店作りのノウハウは多くの一流企業で活用されている。2002年にはエンバイロセルジャパンを設立し、日本での事業を開始。著者自身は博報堂と顧問契約を結び、セミナーやコンサルテーションも積極的に行なっている
鈴木/主税
翻訳グループ牧人舎代表。1934年東京生まれ。マンチェスター『栄光と夢』で翻訳出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)