田坂氏の著作は新著が出るたびに早々に読んできた。彼が時代を先進していると常々感じているからだ。「生命論パラダイム」「ガイア論」といった壮大な宇宙論や生命生成を扱ったもの、「弁証法」「未来予見」「複雑系」などの歴史や社会への深い洞察、「戦略論」「経営論」「社会起業家」「CSR」「仕事の思想」「プロ論」などのビジネス書ど真ん中といったものまで、極めて多岐にわたる。
私は理想社会実現を強く意識しているが、田坂氏の思想や存在は常に先を行っており、数多の示唆をいただいている。その著者の最近の著作が、「多重人格」「人間的成長」などの心の世界を扱ったものに収斂してきていることを少し疑問に思っていた。AI、シンギュラリティは新しい時代の到来を予見させるが、田坂氏の最近のトレンドを考慮すると、新しい時代には、人間的成長や心の世界がメインテーマになってくるような気がしてならない。
本書には成長を阻む7つの壁とそれに対する技法が洞察に満ちた智慧として語られている。個人的には、終話での覚悟に括目した。その境涯を目指したいと思う(意識しても出来ない今の私なのだが…)。
人間は、心の問題を解決できない限り、理想社会を実現することはできないのであろう。その王道(近道)は、成長、成熟した人間をたくさん生み出すことにあるのかもしれない。
全く書評になっていないかもしれないが、読了後にそんな考えが頭から離れなかった。
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