ASDやADHD、アスペルガー症候群といった発達障害と診断された人はもちろんのこと、診断されないまでも
その兆候がみられるグレーゾーン上の人々をも対象に、対人関係をうまくこなす方法を具体的な
例とともに提示している。
健常者にしてみれば今更学ぶことではなく、息をするようにやれていることが、程度の差こそあれど当事者には
難しい作業であり、うまくやっていくにはトライアル&エラーで成功と失敗を経験するか、本書の内容を頭に
入れることによってひとつひとつのケースを脳内データベースに蓄積し、適切な対応を取っていくという非常に
面倒な方法をとらなければ世の中を生き抜くことができない『絶対的コミュニケーション能力至上主義』という
発達障害者にとって無理ゲー(人によってはクソゲーだろう)以外何物でもない世界で生きることを
強いられており、いわば『ありのままに生きていくことができない障害』でもあるのだ。そして
残念ながらそれに対応する根本的な解決策は存在せず、本書のように『擬似的に健常者に合わせる』、
もっと悪い言い方をすれば『死ぬまで健常者のふりをする』ということでしかうまく対応することができない。
当然健常者がやらないようなことを発達障害者ないしグレーゾーン上の人々に強いることとなるため、
健常者の想像を超える精神的疲弊が彼等を襲うこととなり、その反動としてちょっとしたことでも
疲れやすくなってしまう。
果たして発達障害者やグレーゾーン上の人々がここに書かれているようなことから解放され、
本当の意味でありのままに生きることができる日が来るのだろうか。
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