本書は『週刊大衆』での60回にわたった連載をまとめたもので,「個人的な『時間のひねりつぶし方』のレシピだったといえる」そうです。すらすら読めますが,ちょろっと引っかかったことを覚書。
「幸福を知るまでは人は不幸ではない」という諺がある(114ページ)
確かに。熊本で美味しい馬刺を何度も食べてしまったわたくしは,東京で美味しい馬刺になかなか出会えなくなってしまいました。佐世保で食べた以上のイサキを食べたこともありません。
世の識者の人たちはよく若い人たちの活字離れを嘆いてみせる。(中略)いまの若い人たちがテレビやビデオの映像メディアに走るのは,そのメディアに面白味と説得力があるからで,必要な情報はすべてそこから汲み取れているのだから,活字メディアに閑古鳥が鳴くのは理の当然なのだ。(中略)我々が必要とするのは水=情報なのであって,それを水道から汲むか井戸から汲むかは問題ではない。(155〜156ページ)
これは頭に置いておきたい。一方,テレビを見ていて思うのは,見る価値があると思える番組があまりにも少ないということ。ニュース・天気予報・交通情報を除くと,あとはほとんどが一過性でいい加減な,たれ流し的な番組という感じがします。「うまい馬刺を食べるまで人はマズイ馬刺がわからないし欲しない」。「お下劣テレビ番組の影響大→お下劣視聴者増加→お下劣視聴者ニーズ増加→お下劣テレビ番組増加→お下劣テレビ番組の影響大→」という,「お下劣フロンティア開拓・掘下げ」というか「お下劣スパイラル」というか「自分の尻尾を食うヘビ」みたいになっているような気がします。
とうとう馬鹿が馬鹿を笑って安心するような,“多くの人が亡くなった戦後約70年,俺らは一体何をやってきたんだろう?”と情けなくなるほどの,まさに品のない超お下劣番組まで出現してきております。お利口ぶるつもりはもちろんなく,お下劣を全否定するつもりもありませんが,今のテレビ番組はひどすぎる。頑張ってくれよ〜,テレビ屋さん。海外の映像とか(元気だった頃の?)活字メディアに学んでいただきたい。
なんてことをそこここで考えさせてくれる本でして,時間がひねりつぶせるんですね,これで。
とほほのほ (日本語) 単行本 – 1991/1/1
中島 らも
(著)
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本の長さ246ページ
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言語日本語
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出版社双葉社
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発売日1991/1/1
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ISBN-104575280984
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ISBN-13978-4575280982
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登録情報
- 出版社 : 双葉社 (1991/1/1)
- 発売日 : 1991/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 246ページ
- ISBN-10 : 4575280984
- ISBN-13 : 978-4575280982
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