アラビアンナイトは千夜一夜。松岡氏は、千夜一書で『千夜千冊』。
冒頭部分で、その『千夜千冊』とはどういったものかが語られる。
そこだけでも十分楽しく、この本を読み進む、意欲と期待感が高まっていく。
最初はウェブ上での記述だったが、それがページに組まれ縦書きでフィックスされると、
まったく違った見え方になり、彼は50%ほど加筆。そして1000冊すべてをシャッフルし、
全7巻に再構築。全集中、もっとも厚い第7巻は広辞苑よりもぶ厚くなってしまい、
製本できる機械がなくなってしまった。本体のカヴァーは赤一色と思っていたが、
微妙にすべて色が違う。各記述のラストには短歌が詠まれていること、十文字美信氏の写真が
付いていることなどを知った。
この本のインタビュアーは29歳の女性らしい。変に物知りでないところがかえってよくて、
松岡氏のトークの回転をスムースにしている。徐々に軽妙なかけあい漫才みたいになっていく。
その軽さがイヤだという人もいるかもしれないが、自分には好ましかった。
なおこの本には、松岡氏の書とイラストも掲載されている。彼のイラストを初めて見たが、
これが達者で、彼の個性をよく表しているように思えた。30ページほど読んだ頃には「千夜一夜」の
世界に心地よく浸って、松岡氏の語りによる「書物くだり」の旅路を愉しんでいる自分がいた。
ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝 (日本語) 単行本 – 2007/6/1
松岡 正剛
(著)
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本の長さ419ページ
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言語日本語
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出版社求龍堂
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発売日2007/6/1
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ISBN-104763007211
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ISBN-13978-4763007216
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
前人未到の読書案内『松岡正剛千夜千冊』の著者が贈る人生を変える読書術。この「一冊」で「千冊」が読める。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松岡/正剛
1944年、京都生まれ。オブジェマガジン「遊」編集長、東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授などをへて、現在、編集工学研究所所長、ISIS編集学校校長。日本文化、経済文化、物語、デザイン、文字文化、図像学、自然学、生命科学など多方面におよぶ研究成果を情報文化技術に応用する編集工学を確立。数多くの講演、企画、構成、プロデュース、監修、演出なども手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1944年、京都生まれ。オブジェマガジン「遊」編集長、東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授などをへて、現在、編集工学研究所所長、ISIS編集学校校長。日本文化、経済文化、物語、デザイン、文字文化、図像学、自然学、生命科学など多方面におよぶ研究成果を情報文化技術に応用する編集工学を確立。数多くの講演、企画、構成、プロデュース、監修、演出なども手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 求龍堂 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 419ページ
- ISBN-10 : 4763007211
- ISBN-13 : 978-4763007216
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 398,106位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 361位現代思想
- - 578位読書法
- - 11,779位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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上位レビュー、対象国: 日本
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殿堂入りベスト500レビュアー
Amazonで購入
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2008年8月27日に日本でレビュー済み
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本当は『千夜千冊』を購入したかったのだが、10万円という価格に尻込みしてしまい、『虎の巻』になってしまった。しかし、当代屈指の編集者であり思想家でもある松岡正剛がインタビュー形式で「すべてを語る」という試みにすっかり嵌ってしまった。まさに読書案内「高速ツーリング」(松岡氏の弁)である。ただ、ちょっと触れてみるだけというのは酷である。欲求不満は隠せない。結局、「全7巻+特別巻」を買うことになりそうだ。こうした流れを生み出すのも編集工学のなせる業なのか?
ベスト500レビュアーVINEメンバー
Amazonで購入
ちょっと『千夜千冊』を買うにはハードルが高すぎたのでこれは丁度いい感じですが、紐付いている本を全部読もうとしたら自分の専門とも目的とも違うところも重なるところもあるので、要するに彼の方法論の構造を理解するのに良いかなぁと思って読みました。当然、あまり関心のない分野の話しは通読しててキツかったりもします。そもそも『千夜千冊』のブログが検索に引っかかって、この人だれだろう?と思ったのは、川崎和男氏のお名前か著書名を検索していた時でした。世の中にはこういうマメな人も居るもんだと思っていましたが、昔から工作社が世に放つ邦訳本を愛読していたのであの本もあの本も松岡正剛氏の手によるものだったかと、彼に惹かれる合点がいきました。ただ、不勉強ながら氏をヴィジュアルで認識したのはNHKの『世界遺産1万年の叙事詩』と言う3篇構成の番組でして、それまではWebでこの人誰だろう〜?と思い続けていた方でした。遅めの邂逅ですが、それもまた良し。ただもっと早く詳しく知って彼の技術を盗みたかった。
2016年3月6日に日本でレビュー済み
Web上での『千夜千冊』は、興味があるところを読んでいたのですが、YouTubeで松岡正剛氏の解説を視聴し、ますます興味が出て、全体を俯瞰できる本書を読みました。結果、読書人生を変える程の衝撃を受けました。一冊一冊の本が、“編集”によって、相互に関連し合い、私の知らない壮大な知的宇宙を創造しているのです。異次元世界に入り込んだ錯覚に陥り、本書に埋没してしまいました。今、『松岡正剛 千夜千冊』を全巻熟読するとともに、取り上げられた千冊を全て熟読したい衝動に駆られています。
2016年7月29日に日本でレビュー済み
あの大部「千夜千冊」の案内書であり、虎の巻である。
編集スタッフの「親ごころ」により、インタビュアーに企業のPR誌の編集をしている29歳の女性が抜擢されている。名前はQちゃん。松岡のこともあまり詳しくなく、編集者だが読んできた本はわれわれとそう変わらない、このおおらかでちょっとお調子者の、愛らしい彼女の起用によって、この本がいきいきとしたトーンになっている。絶妙のやりとりと間が何カ所もあって、声を出して笑った。千冊もの「案内」をカタくやられたらたまらない。編集スタッフの狙いの確かさが覗える。
松岡によるイラストも多数収められている。本邦初公開らしい。
以下、要約。
人間は編集する動物で、どうしたら記憶と再生/記録と抽出がおこしやすいかと勘案して、いろんなことをやっている。
反応と応答の間には、必ず「場」が潜んでいて、そこに何かが加わって「知の相移転」、すなわち創発がおこる。
ユダヤ・キリスト教世界が提示したのは「原父の抹消」というテーマだった。重いテーマだがそれだけに揺るがなかった。しかし、はたしてそれは正しかったのか。それ以外に「世の初めから隠されていたこと」があったのではないか。「負の父」ではなくて「大いなる母」という発想だってある。
いま目の前にあるテキストというものは、それ以前の無数の文化の中心からやってきたテキストの引用の織物だから、本を読むということは結局様々に世界を間テキスト的に読むということでもある。
読書は自分のコンディションによって変わるものだから、そのコンディションを楽しむということであるし、食事であり、ショッピングであり、ファッションでもある。本は絶対に再読すること。そこに読書の醍醐味がいくらでもひそんでいる。
本を読むときは、まず我慢して目次読書する。それからキーワードだけを追ってパラパラめくる。自分の頭の中でその本の内容を想像/想定するのだ。そこから読みを開始するとまるで変わってくる。そして読みながらマーキングやメモする。各章を三箇条にまとめて、フローチャートやダイアグラムにする。自分の嗅覚にあう本に出会うと、そのテーマのタブロオが何十枚も浮かぶようになり、類書が一挙に読めるようになる。その嗅覚を確信すること。
数寄というのは、こだわりのために自分を透かせて趣向を漉くことだ。遊び人とはちがう。マイナーアートや芸能に取り組まない日本の近代思想史は貧しい。
今の世界に必要なのは、二つ以上の焦点をもった歪んだ物語のぶつかり合いをどう表現できるかということ。
われわれの自画像は何なのか。資本主義社会というひとくくりになっているのではないか。
千夜千冊の最後は柳田圀男の「海上の道」。
人びとはなぜ鼠の浄土という話を伝えようとしたのか。それがわからなくて日本のことなど語れない。もっと本を読んでいかなければいけない。
編集スタッフの「親ごころ」により、インタビュアーに企業のPR誌の編集をしている29歳の女性が抜擢されている。名前はQちゃん。松岡のこともあまり詳しくなく、編集者だが読んできた本はわれわれとそう変わらない、このおおらかでちょっとお調子者の、愛らしい彼女の起用によって、この本がいきいきとしたトーンになっている。絶妙のやりとりと間が何カ所もあって、声を出して笑った。千冊もの「案内」をカタくやられたらたまらない。編集スタッフの狙いの確かさが覗える。
松岡によるイラストも多数収められている。本邦初公開らしい。
以下、要約。
人間は編集する動物で、どうしたら記憶と再生/記録と抽出がおこしやすいかと勘案して、いろんなことをやっている。
反応と応答の間には、必ず「場」が潜んでいて、そこに何かが加わって「知の相移転」、すなわち創発がおこる。
ユダヤ・キリスト教世界が提示したのは「原父の抹消」というテーマだった。重いテーマだがそれだけに揺るがなかった。しかし、はたしてそれは正しかったのか。それ以外に「世の初めから隠されていたこと」があったのではないか。「負の父」ではなくて「大いなる母」という発想だってある。
いま目の前にあるテキストというものは、それ以前の無数の文化の中心からやってきたテキストの引用の織物だから、本を読むということは結局様々に世界を間テキスト的に読むということでもある。
読書は自分のコンディションによって変わるものだから、そのコンディションを楽しむということであるし、食事であり、ショッピングであり、ファッションでもある。本は絶対に再読すること。そこに読書の醍醐味がいくらでもひそんでいる。
本を読むときは、まず我慢して目次読書する。それからキーワードだけを追ってパラパラめくる。自分の頭の中でその本の内容を想像/想定するのだ。そこから読みを開始するとまるで変わってくる。そして読みながらマーキングやメモする。各章を三箇条にまとめて、フローチャートやダイアグラムにする。自分の嗅覚にあう本に出会うと、そのテーマのタブロオが何十枚も浮かぶようになり、類書が一挙に読めるようになる。その嗅覚を確信すること。
数寄というのは、こだわりのために自分を透かせて趣向を漉くことだ。遊び人とはちがう。マイナーアートや芸能に取り組まない日本の近代思想史は貧しい。
今の世界に必要なのは、二つ以上の焦点をもった歪んだ物語のぶつかり合いをどう表現できるかということ。
われわれの自画像は何なのか。資本主義社会というひとくくりになっているのではないか。
千夜千冊の最後は柳田圀男の「海上の道」。
人びとはなぜ鼠の浄土という話を伝えようとしたのか。それがわからなくて日本のことなど語れない。もっと本を読んでいかなければいけない。
2011年12月6日に日本でレビュー済み
娯楽としての読書か実用のための読書しかしてこなかった私がこの本を手に取ったのは、松岡氏のような人がどのように読書をして、本を語っているのかを垣間見たかったからである。その目的は達成できたが、出てくる本の題名すら半分くらいしか聞いたこともないような浅学の私には少し難しい内容だった。千夜千冊を手にとっても豚に真珠状態になりそうだ。この虎の巻だけで満腹状態である。
読んでいて少しいらいらしたのは、インタビュアーの興味と私自身の興味がかなり異なっていたことだ。そんなところを詳しく聞いて、ここをスキップするの?というとことが多発して少し欲求不満なとこともある。インタビュアーが若い女性で、私が中年の男という属性の違いもあるのかもしれない。
読んでいて少しいらいらしたのは、インタビュアーの興味と私自身の興味がかなり異なっていたことだ。そんなところを詳しく聞いて、ここをスキップするの?というとことが多発して少し欲求不満なとこともある。インタビュアーが若い女性で、私が中年の男という属性の違いもあるのかもしれない。
2010年3月22日に日本でレビュー済み
とにかくたくさんの本の量であり、それを力強い流れで追っていきます。千冊を概観していく過程で、新たな読書ジャンルを発見できるんじゃないかと思います。
ブックガイドという観点から言えば、本を押し付けてくるのではなく、全体の流れから自分で選べるように導いてくれるので、あまりうるさくない点がいいところかと思います。読者の自由度が高く、それでいて参照するときには参考になります。ただ松岡さんになろうと思ってもしょうがないので、この本全部読まなきゃ、とはまったく思いませんが。
千夜千冊はすごいんですけど、買えないんですよね。そういう意味ではwebの方が便利で、この虎の巻、そのwebの補完資料としても使えると思います。むしろそうやって使うのがふつうなのかもしれない。最後に少し引用を。
いま、環境のバランスとか、格差社会の是正とかいったことが世界全体を覆っているけれど、真に重要なのは二つ以上の焦点をもった歪んだ物語のぶつかり合いを、誰がどう表現できるかということなんです。バランスばかり気にしたり、格差をなくそうとばかりしたんじゃ、何も創発しない。・・・p.303
ブックガイドという観点から言えば、本を押し付けてくるのではなく、全体の流れから自分で選べるように導いてくれるので、あまりうるさくない点がいいところかと思います。読者の自由度が高く、それでいて参照するときには参考になります。ただ松岡さんになろうと思ってもしょうがないので、この本全部読まなきゃ、とはまったく思いませんが。
千夜千冊はすごいんですけど、買えないんですよね。そういう意味ではwebの方が便利で、この虎の巻、そのwebの補完資料としても使えると思います。むしろそうやって使うのがふつうなのかもしれない。最後に少し引用を。
いま、環境のバランスとか、格差社会の是正とかいったことが世界全体を覆っているけれど、真に重要なのは二つ以上の焦点をもった歪んだ物語のぶつかり合いを、誰がどう表現できるかということなんです。バランスばかり気にしたり、格差をなくそうとばかりしたんじゃ、何も創発しない。・・・p.303
ベスト500レビュアー
千夜千冊の松岡正剛が、そこで取り上げた本と読書術のエッセンスを語る。
本については、テーマに沿って千夜千冊の本が次から次へと出てくるが、読書法については、「そもそも読書するとは・・・要約するということなんです。・・・第一に目次をよく見て感じる。第二にマーキングしながら読む。第三に要約をしてしまう。これらをできれば同時連携的にするということです。」とシンプルに語っている。
本好きの多くにとって松岡正剛は師匠のような存在と言えようが、これまでに読んだ膨大な書物が有機的に繋がり、千夜千冊の中でも、一冊の本を解説する際に多数の本が引用されるところに何とも圧倒される。そして、私としてはそのような読み方を倣いたいと思う。
千夜千冊の雰囲気だけでも感じられる本である。
(2008年8月了)
本については、テーマに沿って千夜千冊の本が次から次へと出てくるが、読書法については、「そもそも読書するとは・・・要約するということなんです。・・・第一に目次をよく見て感じる。第二にマーキングしながら読む。第三に要約をしてしまう。これらをできれば同時連携的にするということです。」とシンプルに語っている。
本好きの多くにとって松岡正剛は師匠のような存在と言えようが、これまでに読んだ膨大な書物が有機的に繋がり、千夜千冊の中でも、一冊の本を解説する際に多数の本が引用されるところに何とも圧倒される。そして、私としてはそのような読み方を倣いたいと思う。
千夜千冊の雰囲気だけでも感じられる本である。
(2008年8月了)