本書は日本のネット文化の礎を作った2ちゃんねるの創設者、西村ひろゆき氏の人物像を妻目線で漫画化したものになります。
2チャンネルといえば今のfacebookやツイッターなどのＳＮＳの先駆的存在であり、過去に法律が未整備の状態で数々の訴訟を無視することで奇跡的に日本で成立していた言論の自由空間です。
毀誉褒貶半ばする、そんな掲示板を創設し、維持運営していた人間の生態に少なからず興味を持ち本書を手にしました。
本書を読むと、そんな一見すると「やばそう」な西村氏の家庭における意外と人間らしい面、抜けている部分などがかいま見れて何だかほっこりとしてしまいます。
ただ、今現在はユーチューブの切り抜きやコメンテーターとして全国区になった西村氏ですが、損害賠償を無視する、不法行為を公の場で平気でアドバイスするなど常識的な倫理観では計れない人物なのは間違いないと思います。
もちろん2ちゃんねるに限らず、ニコニコ動画の運営初期に果たした役割や、今現在も米国最大の掲示板４ちゃんねるの管理人であることなど、ネット分野における彼の実力や才能は傑出しているといえるでしょう。
だからといって、この漫画に描かれるようなほんわかした面だけが彼の全てではない、ということは注意喚起しておきたいです。
ウィキリークスを創設したジュリアンアサンジはある面からみれば歴史に残る偉人かもしれないが、
彼が数々の犯罪も同時に犯したと起訴され、国際指名手配されてアメリカに追われている事実。
2チャンネルや4チャンネルでの数々の事件を鑑みるに、西村氏が後年同じように指名手配されないと言う保証はないと思っています。表向きの理由はどうあれ、彼がフランスに移住しているのも実際にはそういったリスク回避の面が大きいでしょう。
なのでこの漫画はそういう簡単な善悪では計り切れない特異な人物の、意外と人間味のある一面をのぞかせてくれる、という意味で非常に貴重な資料といえます。
実際本書を読むと２ちゃんねるやひろゆき氏が大嫌いだった人でも、何か意外と悪い人じゃないのかも…と思ってしまいます。実際自分がそうでした。
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