私はアルピニストの本が好きで、ラインホルト・メスナーにはじまり、山野井泰史、最近では石川直樹などを好んで読んでいます。
彼らは大変ストイックな登攀や冒険を続け、ある意味で特殊なヒーローであるからかも知れませんが、田部井さんの本は全編にわたって山を起点にした人と人のつながりに重きを置いている点が非常に好印象でした。
時代背景も少しはあるかもしれませんが、山に挑む姿勢はそのままに人と人を繋いでいる様子は、彼女ならではのものと感じます。
また中盤から闘病記に移るのかと思いきや、闘病のさなかに山がある、ひょっとすると山のさなかに闘病があるような姿勢も印象的です。
エッセーに近い構成ですが、本書は後々まで残るんじゃないでしょうか。
実はすぐ近所に住んでいたのに、私が山好きになってからプログラムに参加できず知己は得られませんでしたが、本書を読んで大変身近に感じられるようになりました。凄まじい功績を残している偉大なクライマーに対して不躾かもしれませんが。
最後になりますが、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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