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すごい物理学講義 単行本 – 2017/5/22
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だれもが興奮できる究極の世界原理
初めて理解できる最新物理の「ループ量子重力理論」まで
これほどわかりやすく、これほど感動的な物理本はなかった−−
長い物理学の歴史から導き出された最前線の宇宙観!
世界的な名著、ついに邦訳刊行!
本書で「メルク・セローノ文学賞」「ガリレオ文学賞」を受賞
* * *
世界の人びとに伝えたい、素晴らしい、とっておきの物理世界
著者ロヴェッリの言葉は、「なぜ科学を学ぶのか」という問いかけに対するもっとも適した回答になっている。科学はわたしたちに、世界という書物の読み方を教えてくれる。わたしたちは科学をとおして、「自分の目に映る世界だけが世界ではない」ことを知る。科学的探究の起源には、より遠くへ行ってみたい、より遠くを見てみたいという好奇心がある。そして、そうした願いは、「生に意味を与える輝かしい営み」だとロヴェッリは主張する。
このように、本書は現代物理学の概説書という枠を超え、人間と、科学と、世界のかかわりについて多くを考えさせてくれる書物である。イタリアや欧米各国で広範な読者に受け入れられたのも、本書がもつこうした性格に起因するところが大きいと思われる。
————「訳者あとがき」より
* * *
目次
第1部 起 源
第1章 粒−−古代ギリシアの偉大な発見
物はどこまで分けられるのか? 事物の本質−−世界は原子からできている
第2章 古 典−−ニュートンとファラデー
アイザックと小さな月−−宇宙を支配する重力 マイケル−−場と光−−電磁気力の発見
第2部 革命の始まり
第3章 アルベルト−−曲がる時空間
拡張された現在 もっとも美しい理論−−一般相対性理論の魔法
アインシュタインと数学の厄介な関係 詩と科学の宇宙像
第4章 量 子−−複雑怪奇な現実の幕開け
ふたたび、アルベルト ニールス、ヴェルナー、ポール−−量子力学の養父たち
場と粒子は同じもの 量子1 情報は有限である 量子2 不確定性
量子3 現実とは関係である ほんとうに、納得しましたか?
第3部 量子的な空間と相対的な時間
第5章 時空間は量子的である
マトヴェイ−−最小の長さの発見 ジョン−−確率の雲 ループの最初の歩み
第6章 空間の量子
体積と面積のスペクトル 空間の原子 スピンの網−−空間の量子の状態
第7章 時間は存在しない
時間はわたしたちが考えているようには流れない
脈拍と燭台−−ガリレオの時間 時空間の握り鮨 スピンの泡−−量子の時空間構造
素粒子の標準模型 世界は何からできているのか?
第4部 空間と時間を越えて
第8章 ビッグバンの先にあるもの
「先生」−−アインシュタインとローマ教皇の過ち 量子宇宙論
第9章 実験による裏づけとは?
自然が語りかけていること 量子重力理論につながる窓
第10章 ブラックホールの熱
第11章 無限の終わり
第12章 情 報−−熱、時間、関係の網
熱の時間 現実と情報
第13章 神 秘−−不確かだが最良の答え
訳者あとがき/参考文献/原 注
- 本の長さ286ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2017/5/22
- 寸法13.7 x 2.5 x 19.5 cm
- ISBN-104309253628
- ISBN-13978-4309253626
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
ループ量子重力理論とは? 物理学の歴史をたどる
物質の根源は何であるか。この疑問は古代ギリシャの自然哲学者たちが提起して以来、今も多くの物理学者が挑戦し続けている難問である。私たちが生きるこの宇宙そのものの起源の問題でもあるから、「私たちは何処より来たのか」という問いへの答探しとも言える。
現在の物理学では、強い重力場を記述する一般相対性理論と微視的世界の物理法則である量子論が確固として成立し、それぞれ別個に成功を収めている。ところが、物質の根源を論ずるためには、一センチの一兆分の一兆分の一〇億分の一程度のサイズであるプランク長と呼ばれる超微視的世界に分け入らねばならず、そこでは素粒子自身が作り出す重力場は非常に強く、一般相対性理論と量子論の双方が対等に寄与する運動理論を構築しなければならない。それが量子重力理論で、宇宙の誕生を記述する究極理論と目されている。
本書は、「ループ量子重力理論」を研究するロヴェッリの物理学入門の書で、物理学の歴史をたどるうちにループ理論に導かれていくという巧みな工夫がなされていてわかりやすい。
彼は、古代ギリシャのデモクリトスによる無限の空間に原子が自由運動しているという描像が物理学の出発点と説く。その後、ニュートンの絶対時間・絶対空間における粒子の運動、ファラデーとマクスウェルの場の概念の提唱、アインシュタインの特殊相対論的要請を満たす共変的な時空間への拡張、その共変場における量子論的粒子の運動、という歴史をたどる。ならば空間も時間も連続的ではなく離散(量子)的で、決定論ではなく確率的とすれば、一般相対論の時空間と量子場が合体させられるだろう。その自然な帰結として、有限のサイズの(粒のような)空間と一方向には流れない時間という量子的な時空、つまりループにたどり着くというわけだ。
日本ではあまり紹介されていないループ量子重力理論の入門編として読むことができ、興味がそそられた。
評者:池内 了
(週刊文春 2017.07.27号掲載)内容(「BOOK」データベースより)
著者について
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1956年、イタリアのヴェローナ生まれ。ボローニャ大学で物理学を専攻、パドヴァ大学の大学院に進む。その後、ローマ大学や米国のイェール大学、イタリアのトレント大学などを経て、米国のピッツバーグ大学で教鞭をとる。現在は、フランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いている。専門は“ループ量子重力理論”で、この分野の第一人者。理論物理学の最先端を行くと同時に、科学史や哲学にも詳しく、複雑な理論をわかりやすく解説するセンスには定評がある
竹内/薫
東京生まれ。東京大学理学部物理学科、マギル大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。長年、サイエンス作家として科学の面白さを伝え続ける。NHK「サイエンスZERO」の司会などテレビでもお馴染み
栗原/俊秀
翻訳家。1983年生まれ。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科修士課程を経て、イタリアに留学。カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒業。2016年、カルミネ・アバーテ『偉大なる時のモザイク』(未知谷)で第2回須賀敦子翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2017/5/22)
- 発売日 : 2017/5/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 286ページ
- ISBN-10 : 4309253628
- ISBN-13 : 978-4309253626
- 寸法 : 13.7 x 2.5 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 84,674位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 136位物理学一般関連書籍
- カスタマーレビュー:
著者について

1960年、東京都生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。カナダ・マギル大学大学院博士課程修了。理学博士。ノンフィクションとフィクションを股にかける 科学作家。小三から小五までニューヨークの現地校に通ったせいで、帰国後、カルチャーショックに悩まされ、学業も落ちこぼれる。現在は妻子とともに裏横浜 に在住(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『思考のレッスン』(ISBN-10:4062165082)が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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イタリア語の原題は «La realtà non è come ci appare: La struttura elementare delle cose» で、直訳すれば『現実 (実在) は私たちに見えているとおりではない――事物の基本構造』となるか (訳者あとがきの表現では『現実は目に映る姿とは異なる』、文庫版 350 頁)。もっともこれとていくぶんキャッチーさのために正確な情報を犠牲にしている感はある。
本書の内容を端的に要約するならば、「ループ量子重力理論に至る物理学の歩みとその展望」というところではないか。物理学全体にわたるバランスのよい概論講義ではなく、著者が主導者の 1 人であるループ量子重力理論のアイデアを理解するための最短の道筋をたどろうとするもので、理論そのものの直観的解説と歴史的エピソードの紹介が半々というところ。数式はほとんど出てこず、著者がこれぞと考えた美しい基本方程式だけ紹介される。
前半部では古代ギリシアの自然哲学から説き起こし、古典力学と古典電磁気学についてほんのさらっと必要な事柄 (ほとんど伝記的ならびに科学史的事項) を確認したあと、特殊および一般相対性理論と量子論のわかりやすい概説を経て、中盤で重力の量子化に至る。
関わった物理学者の伝記的エピソードを含み、なぜそのような理論の発展がなされたのか・必要だったのかが手際よくかつ興味深く書き進められており、読む者を飽きさせない。そうした過程で同時に、空間および時間に対して一般に抱かれている素朴な理解 (著者いわく「ピントの外れた大まかなイメージ」、251 頁) が解体されてゆき、ループ量子重力理論が描く新たな時空間の描像、それからビッグバンやブラックホールなどへの応用とそこから導かれる展望が解説される。
本書の白眉といえるのは第 7 章と第 12 章で、そこでは「時間は存在しない」こと (それが第 7 章のタイトルである)、それなのになぜ私たちの知覚する時間は存在するのかということについて「熱の時間」という概念でもって物理学的な起源が明かされる。著者にはつい最近邦訳された、その名もまさに『時間は存在しない』という新著があり、評者は未読だがそちらでこの問題がさらに多角的に (物理学以外の観点からも) 掘り下げられているようだ。(なお、後者の書名は訳者による判断であって原題は «L’ordine del tempo»『時間の順序』だけれども、前者の章題は原文 «Il tempo non esiste» のとおりである。)
ループ理論については著者じしんが創始者の 1 人である第一線の研究者なだけに解説には信頼が置けるし、要点は何度も繰りかえし説明してくれるので理解しやすくなっている。その反面、同じ量子重力理論としてのライバルである超ひも理論に関しての解説は薄いのだが、日本語では超ひもについての解説書は溢れかえっているのでループ理論の貴重な入門書としても本書は価値が高いといえる。
時間と空間に関する旧来の常識的イメージを一変させる現代物理学の世界観を真に感得するのはこの本の解説をもってしても容易でないが、こうしたことを本当に理解するにはやはり手を動かして頭を悩ませながら数式を追うのが本道なのであって、言葉だけによる説明としては本書は最善を尽くされていると思う。
本書の特徴のひとつに、古代ギリシアの自然哲学、とりわけアナクシマンドロスとデモクリトスをきわめて高く評価しているという点があげられる。もう 1 人あげるとすればルクレティウス (こちらはラテン作家だが実質はエピクロスの思想) に対してもそうだ。ある点ではほとんど牽強付会ではないかとも危ぶまれるくらい、著者は古代の哲学者の思想のなかに、相対論、量子論から量子重力理論に及ぶ最新の現代物理学との関連を見いだしている。
たしかに著者が「当然ながら、わたしはなにも、二千年におよぶ物理学の歩みはすべて無意味だったとか、実験も数学も無益であるとか、デモクリトスの思想には現代科学がもつ確実性が宿っているとか主張したいわけではない。そんなことはありえない」(222–3 頁) のように自覚的に断っている箇所はあるにもせよ、一方で「共変的量子場は、今日のわたしたちが獲得した、『アペイロン』のもっとも有力な候補である」(252 頁) のような言いかたで、古代哲学を引きあいに出す箇所があまりに多いのである。
このあたりは好みが分かれそうというか、純粋に「理系」の読者には胡散臭く思われそうなところだが、ヨーロッパの博識な大学者の書くものにはありがちな傾向といえる。こうしたことは古代哲学そのものの理解に関して言えば勇み足というほかないであろうが、現代物理学から見た古代哲学の再解釈としてはたいへん興味深い読み物である。
じつは原著者は科学史・科学哲学にも造詣の深い人で、この本に先立って «Che cos’è la scienza: La rivoluzione di Anassimandro»『科学とはなにか――アナクシマンドロスの革命』という著書さえ出している。彼は (タレスではなく) アナクシマンドロスを「最初の科学者にして最初の哲学者」と呼んでいる。こちらは未邦訳なのでぜひとも訳されてほしいと思っている。
翻訳はまったく文句のつけどころのない自然な訳文で、論理の運びに突っかかる箇所もないので正確に訳されているのだと思う。イタリア語の原著から直接訳されているところもうれしい。
カルロ・ロヴェッリは本書の最後で「知の限界の自覚」について語った。あらゆる探究にとって、そして人生そのものにおいて最も重要なこととの一つとして。そのことをループ量子重力理論から帰結する「無限の終わり」と「情報の最小単位の存在」とともに語り得たのは彼だけである。
ここで想起するが、アメリカに、そして世界に禅 ZENを広めた鈴木俊隆もまた「必ずしもそうではない」という語りで知の限界の自覚について語っていた。
以下鈴木俊隆の言葉
「あなたが自分自身について何を語ろうとも、あなたはあなた自身という唯一の存在である。あなたはどこにも逃げることはできない。なぜなら全世界があなたのものだからだ。これは私たちが語り得る真理を超えている。このことが究極の真理なのである。 」
個人的にこういう本は悩んだり落ち込んだりしている時に読むと良いと思います。この世界は自分の認識により投影された仮想現実だと思うと、悩んでいることも、自分の認識が作り出す幻想だと思える。量子論の世界観では、あらゆる事象は相互作用によって生じるもので、単独で存在する事象はない。仏教の諸法無我に通じる話。
しかしながら、書名から宇宙物理の最先端理論の本だとは想像できず、読者を逃す、若しくはなんじゃこりゃと放り投げられるのではないだろうか?
すごい~講義みたいな書名は幾つか見かけるし、何冊かは読了しているが、出版社は安易にならず、より良い書名を考えて欲しいものだ。
まず「はじめに」で、「より遠くを見ようとすると…わたしたちは混乱する。遠くを見ることに、慣れていないから。それでも、わたしたちは遠くを見ようと試みる。それが科学である」(13頁)と、なかなか思索的な言葉で読者を引き込む。この後最初に惹かれるのが、「点をいくつ重ねても、点それ自体に広がりにがないのだから、寸法は決して形成されない…物質の欠片は…『有限の』個数の小片から構成される…『有限の(下限の)』寸法…その小片が原子である」(33~4頁)と言う帰納的「論証」が、既にデモクリトス以前のBC5世紀にあったらしいから驚きである(34頁)。この基本的論理は後の量子的空間概念で再び登場する(220~227頁)。ニュートン→ファラデー・マクスウェル→アインシュタインの「空間/時間」及び「粒子」に関する概念の変遷は判りやすい解説と簡明な図表があるものと評価したい(88~106・166~171頁)。
他方1つ気付いた疑問点ながら、113頁に恐らく“イコール・アース図法”の世界地図があり、同地図内に「ローマからニューヨークへ向かう飛行機の航路を書きこんでみると、飛行機がまっすぐに飛んでいない…北に弧を描いて飛んでいる…同じ緯度を飛びつづけるより、北を通った方が短い飛行距離で済むからである」(112頁)とあるが、ここでのトピックである“屈曲した空間での高度差に基づく時間の乖離”と如何なる関係性があるのか曖昧である。前記地図はいわゆる正積図法であり、赤道から高緯度へ行くほど任意の2点の地図面上の(東西方向の)距離差は大きくなる(正距図法ではないため)。従って右地図上でほぼ同緯度のローマ・ニューヨークの航路軌跡を書いても、緯線上の直線で示すのは距離・時間の表象として然したる意味が見出せない(最短軌跡を表示しない)。地球は球形なので前記地図に表されたように「北に弧を描いて飛んでいる」“ように見える”のは、採用している“地図投影法”に起因すると言うべきであって(※注)、本トピックに引き合いとしている意義が些か不明である。
【※注】
当該(投影)図法では、地球面上での同緯度の2地点間の“最短距離”は、地球球体中心の(楕)円孤になるので、これを平面に投影すれば北(南)半球では北(南)寄りの(楕)円弧の軌跡を作るのは当該投影図法の特性である。従って赤道以外の地点では、その(楕)円弧は北(南)へ行くほど緯線から乖離する。蓋し、緯線は地球の南北極点を結ぶ直線上に中心を持つ垂直交差面の円であり、(赤道を除き)地球球体中心の円ではないからである。当該地図の両極地域付近を見れば、同緯度間の距離が(実距離に対して)間延びしているのが判る。
他方アインシュタインが量子(私見では“光子”)について述べた一節を引用しているが、「光線のエネルギーは、空間のなかに連続的に分布しているのではない。光のエネルギーは…有限な数の『エネルギーの量子』によって構成される。この量子は分割されることなく移動し、独立した完全な単体としてでなければ、生成されることも吸収されることもない」とある(149頁)。この1節判りやすいように見えながら、実は(私にとっては)大きな疑問がある。それは「独立した完全な単体」の意味するモノである。これを“独立した粒子”と見れば、では波としての性質は如何なる連関と観るべきなのか?との別の疑問に至るからである。更に学説史(前半部)の仕上げとして、量子力学の3側面(要旨)に①粒性、②不確定性、③相関性を挙げ、その基本を判りやすい論旨で解説している(166~179頁)。但し私見では、“判りやすい”のは右前半部(第5章)までで、本格的な量子・時空間(量子力学各論・場の量子論・ループ量子重力論等)を統合的に展開する第6~7章などは、文系人間の私ではかなりの難物であった。
例えば少し長いが…「量子重力理論の基盤を形づくる方程式…が、時間を変数に含んでいないからと言って…万物が不動であり、この世界は不変であることを意味しているのではない…方程式における時間の不在は、世界のいたるところに変化が分布している…量子的な事象が展開する過程は、万物にとって共通の、一瞬一瞬の積み重ねの中に位置付けられるのではない…時間の起源は量子的な事象の関係性である…世界そのものであり、各事象がそれぞれに固有の時間を生成する」(232~3頁の1節抜粋)では、私にはその論旨は判ったようで実は良く判っていない。更に「量子力学は量子電磁気学と同様に素粒子の標準模型の一構成要素である…陽子の内部においてクォークとクォークの間に働いている力を記述する」(246頁)と、「クォーク」(素粒子論)の前置きなく登場する。このようなレベルの思索的解説が続くのだが、第9・10章以降はいわゆる「ビッグバン理論」、「ブラックホール」論であり、最新宇宙論外郭を知っていれば通読できるだろう。文系人間に過ぎない私見でしかないが…本書は学説史部分と論理解説部分がそれほど明確でないところ、平坦な叙述の傾向がありながらもトピックにより難度の質的相違が大きい印象がある。