「細胞・血液・がんとは何か」をわかりやすく伝える方法
病理学。著者の言葉を借りれば〈病気はどうしてできてくるのかについての学問〉だそうだ。医療情報が氾濫する昨今、正しい情報を手に入れるには、病気のメカニズムを理解したほうがいい。本書はそんなニーズに応えてくれる。
「著者は長年、大阪大学医学部で病理学を講義しておられます。その経験を活かし、わかりやすく、読んでいて飽きないおもしろさのある病理学の入門書を書いていただきました」(担当編集者)
本筋の周辺に豊富な雑学を取り混ぜ、難解な専門用語を使った説明はみずから「わかりにくい」とつっこみを入れてから噛み砕く。脱線に満ちたユーモア溢れる語り口は、純粋に読み物として楽しい。
主な参考文献は、著者が講義でも使用している、病理学の教科書では世界的ベストセラーのロビンス『Basic Pathology(基礎病理学)』。その全24章中の3章分にあたる、病理学の基礎中の基礎となる細胞、そして血液の構造と、読者の切実なニーズがあるがん(腫瘍)の解説を取り上げた。
「医学的な正確性や厳密性を担保するには、それなりの文章量が必要になります。しかしあまり大部の本となると読書のハードルが上がってしまうので、内容を絞りました。図版をおさえ目にしたのも、論理でまず理解していただきたかったから。ビジュアル化することで逆に誤解を生む可能性もあるんです」(担当編集者)
評者:前田久
(週刊文春 2018年04月05日号掲載)
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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
仲野/徹
1957年、「主婦の店ダイエー」と同じ年に同じ街(大阪市旭区千林)に生まれる。大阪大学医学部医学科卒業後、内科医から研究の道へ。ドイツ留学、京都大学医学部講師、大阪大学・微生物病研究所教授を経て、大阪大学大学院・医学系研究科・病理学の教授に。専門は「いろんな細胞がどうやってできてくるのだろうか」学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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内容(「BOOK」データベースより)
ひとは一生の間、一度も病気にならないことはありえません。ひとは必ず病気になって、死ぬんです。だとすれば、病気の成り立ちをよく知って、病気とぼちぼちつきあって生きるほうがいい。書評サイト「HONZ」でもおなじみ、大阪大学医学部で教鞭をとる著者が、学生相手に行っている「病理学総論」の内容を、「近所のおっちゃん・おばちゃん」に読ませるつもりで書き下ろした、おもしろ病理学講義。しょもない雑談をかましながら病気のしくみを笑いとともに解説する、極上の知的エンターテインメント。
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