読者をポジティブな気分にさせてくれるし、ベクトル的には間違ったことは書いてない本だとは思う。が、気になった点は以下。
-1. マーケティングの専門家を自称する著者だが、シェア市場の規模が幾らくらいなのかをこの人は語らない。何人かの大学教授と対談をしているのだから、計量系の経済学者も入れて波及効果も入れて計算してもらうくらいのことは簡単だったはずだ。
-2. 他のレビュアーの方が指摘している通り、この人のシェア・ビジネスの定義は中古売買(服や車)なんかも含めて、大変広い。一方で、ページ数の殆どはシェアハウスの話に集中している。
-3. シェアハウスの市場が拡大し始めた頃、僕はたまたまこの形態の住居で半共同生活をしていたことがある。僕も当時は無職だったが、他の入居者も短期滞在の外国人の他は、無職・バイト、派遣の人なんかが多かった。(要するに、本書で著者があんまり語りたがらない、経済的理由でそこに来るような人達が多かった。)周囲に馴染まない人や世話のかかる住人もいたし、ソリの合わない連中同士がたまに揉めたり。とんでもなく金が無くて、貧乏人同士なのにやっぱり面倒見なくちゃなんなくなる人もいたり。なんかこの人が外から眺めて語ってるようなバラ色の話ばかりじゃないんだよね。(それでも、僕の場合は、今でも大事な思い出なんだけど。)
以上のようなケチは付けたが、(著者が指摘しているような)日常的なコミュニケーションを楽しむようなライフスタイルに惹かれる人達、そしてやっぱり経済的に苦しい人達の間で、シェア・ビジネスというのは今後も進化を続けるんだろうなと思う。「円」じゃなく「縁」で生きるということは多分、デジタルな二者択一ではなく、入り混じった個々人なりのバランスの中で選択可能なはずだ。そして、色んなバランスの取り方ができる時代というのが既に始まってることには気づかせてくれる本ではあるので、この話題について全く知らない方にとっては、やっぱり手に取る価値は結構あるとは思う。
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