全国63館の小規模スタートながら話題を呼び、観客動員数や劇場公開館数を増やして、ミニシアター系としては異例のロングラン大ヒットとなり(2018年11月12日時点で興行収入27億円、6月15日時点で動員数210万人、累計最大公開館数300館を突破)、第90回キネマ旬報ベストテンでアニメ作品としては異例のベストワンを受賞し、数々の映画賞に輝いた2016年度最高のアニメ映画『
この世界の片隅に
』〈監督:片渕須直、主演:のん〉!
そして新たなカットを加え、40分の映像を追加して公開された最新版『
この世界の(さらにいくつもの)片隅に
』〈2019・12・20公開〉!
本書は本作の公式アートブックであるが、中身は元の
公式アート
と重複している。
原作者である
こうの史代
と監督である
片渕須直
との対談では、こうのはアニメ化に対し、片渕監督という方にいい人に見つけてもらったと感謝の念を述べているがまさに本作の肝として
すず
が夫である周作に語っているかのようだ(二人の関係がすずと周作のように思える)。
片渕監督も本作の演出に関して戦前、戦時中と区切るのではなく、何年何月何日と正確な日付をして1日1日の日常の出来事を描く事を心がけている。
最新作では新しいコマのカットを掲載したり、遊郭の女性であるリンとのシーンが多く挿入されるとの事だが、原作の中でも実験的な描写が多いのだが、映画の中でそれをいかにしてその面白さをとらえた演出にするか苦心されている様子がわかる。
作中では描かれていない部分にも世界があり、すずと姪の晴美が時限爆弾に巻き込まれる日に女学生に一団と遭遇するのだが、彼女たちはその後、同じ日に空襲を受けて海辺の防空壕で亡くなっているという話を片渕監督の口から聞かされて衝撃だった。主要人物だけでなく、この作品に何気なく登場する人物たちにもそれぞれの世界があるのだ。
すずの子どもの頃は街並みがにぎやかで皆がオシャレをしていて、甘い物が食べれたのに戦時下で嫁いで生活が苦しくなってくると食べ物にもそれが反映しているのが印象的だった。すずがやり繰りしながら献立を考えているのも本作の象徴する場面なのだ。
原画コレクションの中ではすずが描く幻の晴美や最も印象的な右手を失い左手で描かれ始める背景はすずの心情を表している。口紅で描いたリンの子ども時代、最終回のカラー原画で終戦後の夜景と星空に彩られた広島の街並みなど印象的な場面が多い。それも実験的かつ効果的に描かれているのでアニメもその原作の特徴を活かして上手に演出されたと思う。特に空爆のシーンで危険が迫ろうとする中、すずの中で脳内変換される描写は秀逸だった。物語の終盤の鷺のシーンもすずの気持ちを象徴する名シーンだ。
本作の成功は徹底した下調べにあると思う。決して戦争=暗い、着ている物ももんぺ姿のイメージがあるが決してそうではなかった事がわかるし、あの時代の人々も誰も好き好んであんなカッコ悪い物を着ているワケではないのだ。戦時中=もんぺというステレオタイプの戦争モノが多いが当時の人々の気持ちというものをもっと感じ取る気持ちも大事だろう。
本作でもそこは意識して作っており、きちんと時代考証をせず思い込みで作ってしまう事によって拡大再生産されていくと絵空事になり、戦時中の出来事がすでにわれわれの生きている時代と地続きではなくなってしまうことを懸念し、片渕監督以下スタッフたちが本作にすずさんが実在していたかのように感じてもらい、ひいては今の生活者から見ても、「普通」だと思える世界を描き出そうとするところに本作の成功がある。
だからこそ、登場人物の日常に訪れるささやかな幸福であったり、終盤に訪れる悲劇やそれを乗り越えて最後に終戦を迎えた後の穏やかな日常や灯りや星空が伴う夜の広島の街並みに心が打たれるのだ。
日常の何気ない一コマ一コマが見ている者に共感を与え、登場人物たちに投影しながら『この世界』の全体に大きな感動をもたらしていると思う。
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に 公式アートブック さらにいくつもの増補 単行本 – 2019/12/7
『このマンガがすごい!』編集部
(編集),
呉市立美術館
(その他)
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2016年に公開され、大きな話題を呼んだ映画『この世界の片隅に』から3年。
多くの声に応えて2019年12月20日に『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』がついに劇場公開!
そこで前作公開時に刊行した『「この世界の片隅に」公式アートブック』に60ページ以上を追加した増補改訂版が登場します。
新たに追加されるシーンのカラービジュアルはもちろん、片渕監督による各シーンの解説や、
原作者・こうの史代先生×片渕須直監督の対談、制作秘話がもりだくさんのインタビューなど、
新規コンテンツが満載! ファン必携の完全保存版です。
多くの声に応えて2019年12月20日に『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』がついに劇場公開!
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- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社宝島社
- 発売日2019/12/7
- ISBN-104800290112
- ISBN-13978-4800290113
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
新作『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の世界をさらに読み解く―新たなインタビューや資料もさらに追加!
登録情報
- 出版社 : 宝島社; さらにいくつもの版 (2019/12/7)
- 発売日 : 2019/12/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 223ページ
- ISBN-10 : 4800290112
- ISBN-13 : 978-4800290113
- Amazon 売れ筋ランキング: - 502,721位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 817位日本映画 (本)
- - 4,921位漫画・アニメ・BL(イラスト集・オフィシャルブック)
- - 6,689位演劇・舞台 (本)
- カスタマーレビュー:
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