この本には出会いがあふれている。
生徒・保護者との出会い、特別支援教育との出会い、そして養護教諭という職との出会い。
その出会いの一つ一つが一貫した教育観で掘り下げてあり、読み応えがある。
「生徒との出会い」「保護者との出会い」「私を育ててくれた体験」の項では、
保健室(仕事)や人生での出会いが書かれている。
特筆なのは、著者の失敗(?)談を中心に書かれていること。
読んでいて胸が熱くなるエピソードばかりだが、ただの「苦い思い出」で終わらせていないところに学びが多い。
「私の養護教諭論」「特別支援教育との出会い」の項では、「養護教諭の専門性」や「他職種とチームで働く」といった
養護教諭が一度は悩む事柄について、的確な指摘と提案がなされている。
(著者は文科省の『発達障害支援モデル事業校』での実践経験がある)
根底に流れている教育観がシンプルであるのに核心をついており、なおかつ押しつけがましくない。
教員を含む他職種にも支持されている理由はここにあるのだなと納得。
著者はいう「人のこころの扉をひらくことなど至難の業だ」。同感である。
そもそもまず、本当の意味で“出会う”こと自体が難しいと思うのだが、
この本にはその「出会い」があふれている。
追記:
『養護教諭の職とは何か』−答えを求めている人は、著者が在職校の教員対象に行った
「養護教諭の役割に関するアンケート」の結果が参考になるのでは。
きっと自分なりの答えを見つけるヒントが得られると思う。
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