「くの一忍法帖」シリーズの4作目に当たる作品。Vシネマである。原作は山田風太郎の同名小説。
パッケージの安さに比べると、本編の作り込みはそんなにひどくない。とはいえ、面白いわけでもない。
浅野内匠頭の松の廊下での刃傷が冒頭でザッと流される。しかし、物凄く端折っているので、忠臣蔵を知らない人には不親切な作りだ。赤穂事件の時の米沢上杉の殿様は上杉綱憲。吉良上野介の息子さんである。綱憲は、自分の親父が赤穂浪士に狙われているということを知り、配下の忍びたちに、吉良邸討ち入りの血判状に署名した者たちの始末を命じる。一方、上杉家家老・千坂兵部は綱憲の動きを知ると「今、このタイミングで赤穂の浪人たちが不審な死を遂げれば、世間の疑いの眼は、間違いなく吉良か上杉に注がれる」と判断。しかし、討ち入りを許すわけにはいかない。そこで、子飼いのくの一たちに「有力な浪士たちを忍法(助平なものばかりなので、実質色仕掛け)で骨抜きにして脱盟させろ」と命じる。綱憲配下の忍び、兵部配下の能登くの一、赤穂浪士の三つ巴の戦いが始まる…というお話。
これはAVにも言える事なのだが、コスプレというのは脱いだら終わりなんですよ。くノ一といやあ全身網タイツなんだし、このコスでいかにいやらしいことになるかにこだわってほしかった。なのにいやらしいシーンと言えばすぐ素っ裸になって節操もなければ工夫も無い。ヌードが素晴らしいわけでもない。
忍法も別にビジュアル的にそそるものも出てこず、もうひとつアイディア不足。AVとも違うのでエロに徹底してるわけでもない。この「くノ一シリーズ」のファンはどこがツボなのかもうひとつわからない。やるなら、本作と同じく山田風太郎を原作にした「くノ一忍法」くらいやってもらわないと。あれは色んな工夫がしてあったし、表から見ても裏から見ても画期的な面がいっぱいござんしたよ。
遊女と心中したり梅毒にかかったりした、実際にエロにからんだ浪士は出てこずじまい。大石内蔵助もエッチはするが乱交しないし、もともとあるエロなお膳立て=忠臣蔵を利用しないのがもったいない。
くの一が苦心惨憺して色仕掛けで赤穂浪士にアタックするが、抵抗する浪士たちは自ら眼を潰したりチ○ポを斬り落としたり(映像で観ると、やっぱりエグい)、煩悩と戦うアイディアは良かったと思いました。