この作家さんの他の作品群とパッと見にもジャンルのちがっている作品。宮崎夏次系の表紙に興味をひかれて手に取りました。
夏休み。突如告げられる従姉妹の存在。四半世紀の年月を冬眠状態で跳躍してきた女子高生。過去の出来事を原因に冷えきってしまった親子関係、何層もの安全柵を張り巡らせてお互いを遠ざけておくことを旨とするような人間関係、熱狂とは商業的にせよ政治的にせよ作為的で内容空疎なもの、熱心さ・ひたむきさとはそれが無害な暇つぶしのゲームに向けられているときだけリスクと無縁でありうるものというような主人公の思想。そういったものが彼女の登場によって動揺させられる。抽象化すればそんな感じです(抽象化しすぎ?)。
正直に言って主人公の「21世紀の私たち」の生き方は嫌いではありません。境界線を20世紀と21世紀の間に置くべきかどうかはともかくとして、何事にも過剰防衛的に冷めた態度で臨むことは、それはそれで真剣で切実な思想=実践であり、20世紀後期の社会・経済に希望と失望の双方を体験した世代の、その次の世代の態度としてとても合理的なものであるように感じます。またとくにコミュニケーションの距離感についていえばそれは今しも鋭意継続中の「文明化の過程」の歴史のなかにすんなり自然に位置づけられると思います。
まあしかしそのような日常が突拍子もない来歴の人物の闖入によってかき乱される様を見る(読む)というのも面白く、またひとつの「回復」「統合」として好印象を感じるのはなぜなのでしょうね・・・。
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きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫) Kindle版
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2025年7月。高校生の明日子と双子の弟・日々人は、いとこがいること、彼女と一緒に暮らすことを父から唐突に知らされる。ただでさえつまらない夏休み、面倒ごとが増えて二人ともうんざりだ。いとこの存在に、なんの楽しみも期待もない。退屈な日常はひたすら続いていく。けれど、彼女――今日子は、長い眠りから目覚めたばかりの、三十年前の女子高生だった…。
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2016/1/25
- ファイルサイズ2.9 MB
販売: 株式会社 集英社
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登録情報
- ASIN : B01CY3MFNU
- 出版社 : 集英社 (2016/1/25)
- 発売日 : 2016/1/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2.9 MB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 239ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 236,004位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
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- 2016年7月11日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2017年1月11日に日本でレビュー済みAmazonで購入思わず涙が出ました。宮崎夏次系さんの世界観と似ている感じでとても好きでした。と言ってもうっかり宮崎夏次系さんの新作だと間違えて買ったのですが思わぬ出会いで良かった。
- 2023年11月2日に日本でレビュー済みAmazonで購入1995年の女子高生が2025年に冷凍睡眠でスキップしてしまう話。
当時の流行や風俗が筆者らしい細かな描写でリアルな分、2025年の『いま』が現実と乖離しているのが残念です。
この本が書かれたのは2016年のようで、スラムダ○クがまた流行るとは予想できてなかったし、書かれている2025年にかなり違和感があるのが残念です。
なぜ、この本を書いた2016年を舞台にしなかったのか。もしくは決してたどり着けない未来にしなかったのか。
描写力が高いだけに筆者の書く2025年が微妙にズレていてそこに引っかかってしまいます。
- 2016年1月28日に日本でレビュー済み現在2025年夏、父子家庭の門司家に不思議ないとこがやってきた。
二卵性の双子、明日子と日々人(現:高校2年生)の夏休みは一生忘れられない時間になる。
1995年に火事で全焼した家から一人生き残り28年低体温治療で眠っていた堂上今日子(旧:高校2年生)の存在は母親の死から停滞していた門司家に家族のつながりを呼び戻す。
でも、今日子の存在はどこまでも謎に包まれて、そしてその謎が解けるときには・・・。
ポケベル、ソックタッチ、スーパーファミコンと聞いて懐かしさを感じたら、今日子を通じて思い出が蘇ること間違いなし。
そして30年という時を超えて未来を過ごす驚きと切なさもまた味わえる。
非現実で、ありえないお話なのに、この切なさはなんなのだ!
ゲーム攻略法の伝授で涙がこぼれるなんて(笑)
「じゃーん!やったね。」と、笑う未来を信じている。
沖津視点の物語は、時間軸が安定してるのでより今日子という存在が重みを増して切ない。
過去にむかって話しかけるのはなぜこんなにも胸を締めつけられるのか。
本物の便利さ&豊かさとはなあに?とそこここで聞いてくる語り口が大好きです!
- 2018年2月7日に日本でレビュー済みAmazonで購入表紙のような、ひそやかで静かなひと夏の・・といったどこか清涼感のある雰囲気で読んでいて心地の良い作品でした。
ただ、展開バレのようになってしまうのですが、最後の展開‥‥は、そうかぁ…という感じで良いのですが、一言が蛇足なんですよね。
清涼感あるまま、ひそやかに終わってほしかった。
それ、必要だったの?と思わずにはいられない文章に、まぁ、学生が主人公ならそういうものかな、とも思える。。
きれいに終わらせないところも含めて人間味というのを味わうべき作品なのかな?
色々納得しようとしましたが、欲しかった清涼感の、あと少しその静けさが足りなかったような、そんな気がしました。
けれども、それでも十分に表紙のイメージのまま読めました。面白かったです。
文章は好きでした。この作者の他の作品も読んでみたいです。
- 2016年2月8日に日本でレビュー済み自分にも女子高生だったころがあって、そのころはスーパーマリオで壁キックだってできた。
夏休みは徹夜でRPGをして、オバさんになることなんて想像もつかなくて、あと10年くらいで死んでもいいやって思っていた。
でも実際は普通に年をとって、子どももいて、ちゃんとオバさんになったわけですが(笑)
過去の不便さの便利さと、未来の便利さの不便さを両方理解できる私には、とても入り込みやすいストーリーでした。
父親の不器用さ、子どもなりの想い。
全部に心当たりがあって、それを一穂先生が文章にしてくれました。
いまどきの若い子が読んだらどんなレビューを書いてくれるのだろうと、それも読んでみたいです。君たちもやっぱり泣けるかな?
誰でも聴いたことのあるだろうフレーズ
「きょうの日はさようなら」
みんなが共感できる作品だと、私はオススメします!
- 2016年9月7日に日本でレビュー済みたまたま表紙とタイトルに惹かれて手に取ったのですが...本屋大賞1位とかじゃないですよね。
オレンジ文庫ってライトノベルなんですね。最近のラノベってこんなにクオリティーが高いのですか?
とにかくうまいです。会話もいまどきの若者の生態描写も。プロットは非現実的なのに登場人物の何気ない発言や行動がものすごくリアルです。
友情、成長、家族の回復、そして別れ。てんこ盛りの青春小説です。
作者は相当の手練と思われます。ほかの作品も読んでみよう...と思ったらボーイズラブとは。
- 2021年9月4日に日本でレビュー済み一穂さんの本は他のものもいくつか読んでいます。
いい点としては、軽い読み口。
気負わずに、するすると文章を読み解いていける。
それがいいと思うパターンとそうでないものがあるなと感じているのですが、私はこれは微妙なところ。
軽すぎて、するっと終わってしまう印象がありました。
ただ、基本的には読みやすく、面白いというラインを保っているのですが、このオレンジ文庫の読者層は中高生、昔のコバルト文庫の位置かと思っていたのですが、本当は30〜50代でしょうか??
一穂さんは、BL小説の方の読者を持っていて、私もそのひとりなわけですが、そこを狙っているのかな。
この軽さと読みやすさ、少し物足りなく感じるけれど、中高生がターゲットなら合うのでは、と思ったのですが、大人には少し物足りなく感じます。
けれど題材で、「過去」を取り扱っているため、今の30〜50代くらいならばそれが何であるかわかる、現実のことをモチーフとしたものがいくつも出てくるのですが、これは中高生が読んで面白いのかな?という疑問がありました。単なるモチーフとして出してくるのには、知っている人が読めばあれだなとわかるくらいにはかなり具体的です。
また、この時代の高校生がそう思うというのはそうなのかもしれませんが、御巣鷹の航空機墜落についての記述のあたりは、読んでいるだろう30〜50代が読むには、こう書くのか……と軽い失望感がありました。
創作だとわかっています。けれど、そう思うのはあまりにも「名を伏せているけれど実際に存在しているもの」を中に出しているからでしょう。
そこは創作のものではいけなかったのかな?と思います。