以前から評判のいい作品で、春からドラマも始まるということで読んでみました。
面白いです。
絵は上手くて丁寧、それぞれのキャラが魅力的で、ストーリーもギャグも心地よく。
主人公の筧史朗はクールキャラなのですが、それで刺々しくなるまでいかない加減が素晴らしい。
(とぼけるときに口笛ってパターンが……(笑))
お料理のパートが素晴らしく、史郎(山岡ではない)は節約家なので買えないようなモノは出てこないし、絵と文章での説明が非常に分かりやすいです。
私は料理は下手なのですが、料理マンガで真似しようと思ったのはこれが初めてです。
普通のレシピ本より分かりやすいし、録画しておいた料理番組みたいにリモコン操作はいらないし、クックパッドは慣れている人向けなので説明不足。
こうして毎回料理を考えて丁寧に作品に仕上げるだけで、想像を絶する苦労があるかと思いますが、本気で料理をやっている人達は感覚が違うのかもしれませんね。
主人公がゲイのカップルということで、当然予想される無理解の話も出てきます。
ただもしそこをメインにして深刻に描くと、読んでるほうも姿勢を正さないといけない気持ちになるわけで。
「マンガを読もう」って時点で、気楽に他人事を楽しむつもりなのでこっちは。
この作品のように楽しく軽快に読ませて頂いたほうが、結局は心に残るように思う不思議はあります。
ゲイ物だからって警戒する必要はまったくないし。
寝床でFire7で読みながら途中で寝ちゃう、みたいな心地よさは好きです。
こんな風に楽しく読ませて頂いていたのですけど、#7の後半、逸見が筧にお礼を言うシーンで涙腺崩壊してしまいました。
筧のように、仕事も料理もきちんとすること、それが自分も周囲も幸せにしていくのだということに感動したのです。
そう、「きちんとする」というただそれだけのことが、どうして中々出来ないのでしょうか。
逸見はきちんとお礼を言って頭を下げますが、こういうことが出来ない人がなぜこうも多いのか……
このマンガが心地いいのは、きちんとした人が中心にいるからなのですね。
実は私は、マンガから離れてしまって十年以上経っています。
私が子供の頃に比べたらマンガは多様化・高度化し、物凄く大きな樹のようになってきているのに、読んでいる私は全然楽しくなくなってしまって。
それで毎月何冊も買って読んでいたマンガをやめてしまい、本の大半は売ってしまいました。
その後もたまに勧められて読むことはありましたが、「読んでよかった」と思えることはありませんでした。
今日たまたま気まぐれで読んでみたこの作品が、「読んでよかった」と思えるもので本当に嬉しいです。
内容紹介
鮭とごぼうの炊き込みごはん、いわしの梅煮、たけのことがんもとこんにゃくの煮物、栗ごはん、トマトとツナのぶっかけそうめん、鶏肉のオーブン焼き、ナスとトマトと豚肉のピリ辛中華風煮込み、いちごジャムetc.……