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![[佐藤航陽]のお金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)](https://m.media-amazon.com/images/I/61Zf0U6ha7L._SY346_.jpg)
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book) Kindle版
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言語日本語
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出版社幻冬舎
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発売日2017/11/29
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
「お金2.0」が普段ビジネス書を読まない人にもウケた理由
「お金」と「経済」が、インターネットの爆発的普及以上かもしれない大変化を迎えようとしている。中央銀行を介さない仮想通貨の流通、評価や信用を軸とした資本の形成。新たな「お金」や「経済」を、よりよい生き方のツールとして活用するための知識を、専門用語をなるべく避け、読み易く書いた本が大ヒット中だ。
「ブログの難解な文章の印象があって、著者ご自身も難しい方かと思っていました。ところがお会いしてみると、少年のようにキラキラした瞳をしていて、語り始めた『お金』の未来の話が思わず録音してしまったくらい面白かった。哲学者というか、思想家というか、本当にスケールが大きいことを考えている。その場で本を書いてもらおうと決めました」(担当編集者)
「お金」に「更新」を意味する「2.0」を付けたシンプルで印象的なタイトルも著者のアイデア。とにかく読者の間口を広げたいという意志の現れだという。
「最初に手にとったのは、圧倒的に学生や20代、30代の社会人の男性層でした。これからを生きる人のバイブルのような人気を獲得していました。大規模な電車広告を打ったことで更に勢いが増し、今は普段ビジネス書を読まないような人たちにまで届き始めています。著者は『新しい世界を作りたい』という考えが強い方。この本のヒットでその実現が少し早まったと思います」(担当編集者)
評者:前田 久
(週刊文春 2018年3月29日号掲載)--このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐藤/航陽
福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2015年に東証マザーズに上場。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「30 Under 30 Asia」などに選出。2017年には時間を売買する「タイムバンク」のサービスの立ち上げに従事。宇宙産業への投資を目的とした株式会社スペースデータの代表も兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2015年に東証マザーズに上場。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「30 Under 30 Asia」などに選出。2017年には時間を売買する「タイムバンク」のサービスの立ち上げに従事。宇宙産業への投資を目的とした株式会社スペースデータの代表も兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
内容(「BOOK」データベースより)
「資本主義」を革命的に書き換える「お金2.0」とは何か。2.0のサービスは、概念そのものを作り出そうとするものが多いので、既存の金融知識が豊富な人ほど理解に苦しみます。その典型がビットコインです。あまりにも既存社会の常識とは違うので「今の経済」のメインストリームにいる人たちにとっては懐疑や不安の対象になりやすいといった特徴もあります。そして、それこそが全く新しいパラダイムであることの証でもあります。本書ではまずお金や経済の仕組みから、テクノロジーの進化によって生まれた「新しい経済」のカタチ、最後に私たちの生活がいかに変わるか、の順番に解体していきます。
--このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
著者について
早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2011年にアプリ収益化プラットフォーム「Metaps」を開始、世界8拠点に事業を拡大。2013年より決済サービス「SPIKE」の立ち上げ。2015年に東証マザーズに上場。フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「Under 30 Asia」などに選出。2017年に宇宙開発を目的とした株式会社スペースデータを設立。
--このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B077N93YYV
- 出版社 : 幻冬舎 (2017/11/29)
- 発売日 : 2017/11/29
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2605 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 224ページ
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Amazonで購入
世の中の価値観がどう変化しているかを
いろいろな要素から考察したもの。
「お金2.0」というタイトルではあるが、
仮想通貨やキャッシュレスといった経済界の話題にとどまらず、
どちらかというと社会変化全般に関する話題を扱った内容。
金銭では測れない価値観や人々の満足感について
すでに起こっている新しい動きを断片的に紹介していくが、
全体的に広く浅くといった印象で
今後の社会変化をふんわりと予測するばかり。
経済的な知識を身につけたい人にとっては肩透かしな内容で、
「お金2.0」という大きな看板に見合うほどの
特別な知見が得られる部分はなかった。
中身が薄く、冗長気味ではあるが、
将来に向けた世の中の変化について興味がある人向け。
いろいろな要素から考察したもの。
「お金2.0」というタイトルではあるが、
仮想通貨やキャッシュレスといった経済界の話題にとどまらず、
どちらかというと社会変化全般に関する話題を扱った内容。
金銭では測れない価値観や人々の満足感について
すでに起こっている新しい動きを断片的に紹介していくが、
全体的に広く浅くといった印象で
今後の社会変化をふんわりと予測するばかり。
経済的な知識を身につけたい人にとっては肩透かしな内容で、
「お金2.0」という大きな看板に見合うほどの
特別な知見が得られる部分はなかった。
中身が薄く、冗長気味ではあるが、
将来に向けた世の中の変化について興味がある人向け。
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ベスト500レビュアー
Amazonで購入
サブタイトルは「新しい経済のルールと生き方」です。
NHKスペシャル「マネー・ワールド ~資本主義の未来~」は爆笑問題がMCで現代のマネーに絡む様々なテーマを扱って楽しく有益な番組でした。
その中で、東証マザーズ上場企業メタックスの佐藤社長(31歳)がコメンテーターとして登場し、その発言が面白く、この著作を購入し読みました。
多くの示唆に富む本です。
先端のICT業界技術を知る本、マネーの役割を歴史的に解説した経済本。これからの仕事と生き方を考える上での人生論本、巨視的な文明論など様々な読み方ができる内容を盛り込んでいます。
言えることは、若い人の支持を受けるだろう、そして年配者や既成概念でガチガチの人は反発を覚えるだろうと言うことです。
読後、頭に浮かんだのはヴァレリーの「我々は後ずさりしながら未来に入っていく」の言葉です。
同時にマタイ福音書の「新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ」の言葉も浮かびました。
堺屋太一先生の「知価革命」、ドラッカーの「すでに起こった未来」も思い出しました。
また日本にインターネットを普及させ定着させた孫正義さんの先見力と行動も彷彿させます。
内容は、テクノロジーの進展による、世界のパラダイムシフトが起きている。
その事象の中身と、未来への影響、私たちは、どう理解し、対応し、生きるていくのか、というものです。
タイトルに使われている「お金」は従来の経済について、「2.0」は今後の、マネーについてです。
IT企業経営者としての体験、視点で経済にとどまらず文明論、人生論まで論じています。
この本は、賛否両論に満ちると思います。
細部での考察ではチャチャ入れは、いくらでも出来ます。
しかし、この本は、ドラッカーの言った、「すでに起こった未来」とこれから起こる未来の姿を描いており、それを過去現在のモノサシで測るのは無意味です。
書かれている内容の成否は、時間の経過のみが判断するべきものです。
トークン化する世界、資本主義に代わる価値主義、価値の一極支配から分散型に移行、時間通貨(タイムバンク)などなるほどと思わせてくれる概念説明も面白いです。
ソ連など共産主義がなぜダメになったのかの理由にも巨視的に言及しています。
私利私欲の否定・政府がコントロールする経済・競争の否定が自然の性質に反しているから崩壊しました。
自然の性質とは、物理学者プリゴジンの「散逸構造」、生物学者バトラーと経済学者ハイエクの「自生的秩序」です。
その内容は、「自然は、絶えずエネルギーが流れる環境にあり、相互作用を持つ動的なネットワークは、新陳代謝を繰り返しながら自動的に秩序を形成して、情報を内部に記憶することで、その秩序をより強固なものにする」です。
インターネットは、最初は、便利なツールぐらいにしか思われていませんでした。
しかし、この数十年で、あっという間に、従来の情報通信システムを陳腐化してしまいました。
いまや世界に不可欠のインフラになり、電気・水道・空気のようにインターネットのない世界は考えられません。
その情報量と情報ネットワーク、情報伝達のスピードの影響力は、日々、大きくなっています。
これだけインターネットが支持されたのは情報の中央集権管理型から分散管理型になったからです。
いわば情報の民主化で、誰でも手軽・気軽・安価に情報を扱えることが出来るようになったからです。
個人的には、インターネットに次ぐ世界に影響を与えるテクノロジーは、ブロックチェーンシステムで、それをベースにしたマネーワールドの大変革です。
インターネットによって世界の情報流通コストが劇的に安くなったのと同じようにブロックチェーン技術によるマネーの流通コストは従来に比べて激安になることは間違いありません。
この本に書かれている様々なテクノロジーとその未来への影響は、単にマネーにとどまらず、テクノロジーが文明、個人の生き方にまで、どのような影響を与えるのか可視的に論を展開しています。
NHKスペシャル「マネー・ワールド ~資本主義の未来~」は爆笑問題がMCで現代のマネーに絡む様々なテーマを扱って楽しく有益な番組でした。
その中で、東証マザーズ上場企業メタックスの佐藤社長(31歳)がコメンテーターとして登場し、その発言が面白く、この著作を購入し読みました。
多くの示唆に富む本です。
先端のICT業界技術を知る本、マネーの役割を歴史的に解説した経済本。これからの仕事と生き方を考える上での人生論本、巨視的な文明論など様々な読み方ができる内容を盛り込んでいます。
言えることは、若い人の支持を受けるだろう、そして年配者や既成概念でガチガチの人は反発を覚えるだろうと言うことです。
読後、頭に浮かんだのはヴァレリーの「我々は後ずさりしながら未来に入っていく」の言葉です。
同時にマタイ福音書の「新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ」の言葉も浮かびました。
堺屋太一先生の「知価革命」、ドラッカーの「すでに起こった未来」も思い出しました。
また日本にインターネットを普及させ定着させた孫正義さんの先見力と行動も彷彿させます。
内容は、テクノロジーの進展による、世界のパラダイムシフトが起きている。
その事象の中身と、未来への影響、私たちは、どう理解し、対応し、生きるていくのか、というものです。
タイトルに使われている「お金」は従来の経済について、「2.0」は今後の、マネーについてです。
IT企業経営者としての体験、視点で経済にとどまらず文明論、人生論まで論じています。
この本は、賛否両論に満ちると思います。
細部での考察ではチャチャ入れは、いくらでも出来ます。
しかし、この本は、ドラッカーの言った、「すでに起こった未来」とこれから起こる未来の姿を描いており、それを過去現在のモノサシで測るのは無意味です。
書かれている内容の成否は、時間の経過のみが判断するべきものです。
トークン化する世界、資本主義に代わる価値主義、価値の一極支配から分散型に移行、時間通貨(タイムバンク)などなるほどと思わせてくれる概念説明も面白いです。
ソ連など共産主義がなぜダメになったのかの理由にも巨視的に言及しています。
私利私欲の否定・政府がコントロールする経済・競争の否定が自然の性質に反しているから崩壊しました。
自然の性質とは、物理学者プリゴジンの「散逸構造」、生物学者バトラーと経済学者ハイエクの「自生的秩序」です。
その内容は、「自然は、絶えずエネルギーが流れる環境にあり、相互作用を持つ動的なネットワークは、新陳代謝を繰り返しながら自動的に秩序を形成して、情報を内部に記憶することで、その秩序をより強固なものにする」です。
インターネットは、最初は、便利なツールぐらいにしか思われていませんでした。
しかし、この数十年で、あっという間に、従来の情報通信システムを陳腐化してしまいました。
いまや世界に不可欠のインフラになり、電気・水道・空気のようにインターネットのない世界は考えられません。
その情報量と情報ネットワーク、情報伝達のスピードの影響力は、日々、大きくなっています。
これだけインターネットが支持されたのは情報の中央集権管理型から分散管理型になったからです。
いわば情報の民主化で、誰でも手軽・気軽・安価に情報を扱えることが出来るようになったからです。
個人的には、インターネットに次ぐ世界に影響を与えるテクノロジーは、ブロックチェーンシステムで、それをベースにしたマネーワールドの大変革です。
インターネットによって世界の情報流通コストが劇的に安くなったのと同じようにブロックチェーン技術によるマネーの流通コストは従来に比べて激安になることは間違いありません。
この本に書かれている様々なテクノロジーとその未来への影響は、単にマネーにとどまらず、テクノロジーが文明、個人の生き方にまで、どのような影響を与えるのか可視的に論を展開しています。
2018年12月1日に日本でレビュー済み
一言で表現するなら「分かりやすい現状分析の中に、ぶっとんだ未来予測を混ぜ込んである、タチの悪い本」だった。
まったく価値がない本だとは思わない。
例えば第1章では分かりやすい言葉で社会ダーウィニズム(社会進化論)が解説され、社会科学と自然科学を橋渡しした上で、「有機的なシステム(96頁)」の合理性を指摘している。ここは1つの考え方として特に異存はない。
次に第2章では、トークンエコノミーや無人ヘッジファンド、無人コンビニなどの成功例を挙げて、「勝手に回り続ける経済圏を作る」ことで、「従来のビジネスの収益構造を根本的に変えてしまう破壊力がある(142頁)」としているが、トークンの仕組みすら知らない自分には非常に勉強になった。イマドキの用語解説が豊富で大変わかりやすい。
ただし2章後半からは大言壮語や言葉のあやによる誤魔化しが目立つようになる。いくつか例を挙げてみよう。
・かつて経済を作るのは国家の専売特許だったが、「今はスマホやブロックチェーンなどのテクノロジーを使えば、個人や企業が簡単に通貨を発行して自分なりの経済を作れてしまう(142頁)」「つまり(略)経済そのものの『民主化』なのです(同)」とあるが、こんなセリフを吐くからには、その「自分なりの経済」とやらが国家経済から独立した経済圏を確立していないといけないことになる。
でも実際はそうではないよね。仮想通貨は法定通貨に換金できるからこそ(←重要)価値が認められている。もし仮想通貨を法定通貨に換金できなくなったら、誰もそんなものにカネを出さないだろう。仮想通貨で直接モノが買える店もあるだろうと反論する人もいるかも知れないが、ビットコインで買い物ができるのも法定通貨との換金レートが存在するからこそである。また今この場で一億円分の仮想通貨市場を「作った」ところで、それは一億円分の日本円を仮想化してプールしただけである。もし誰かがそれを米ドルに換金したなら、やはり為替市場で日本円を米ドルに交換しただけ。つまり仮想通貨は法定通貨の一部でしかなく、上述の「自分なりの経済」とやらも国家経済の一部を区切ったものでしかない(複数通貨にリスク分散されてこそいるが)。したがって国家経済が破綻すればもちろん「自分なりの経済」だって連鎖崩壊する。
著者は上述の傾向をグーテンベルクの活字印刷による「知識の民主化」のように「万人が経済を自らの手で作れるようになる」と「お金そのものもコモディティ化し、今ほど貴重なものとは考えられなくなる」(144頁)とまで言っているが大風呂敷を広げすぎだ。
・実体経済を伴わない「資産経済」が肥大化した → 多額の投資資金が滞留している → 「資金調達が容易な環境にあるため、相対的にお金の価値そのものが下がり続けている」「お金で買えないものの価値が相対的に上がってきている(153頁)」という滅茶苦茶な論法があるが意味不明である。簡単に資金調達ができるならクラウドファンディングのような新しい調達の仕組みは必要いらないだろうし、投資資金は滞留などせず逆に流動的な状態になければいけない。そもそも「お金で買えないものの価値」と「お金の価値」を「相対的」にどう比較しろというのか?自分の解釈では「お金で買えないもの」っていうのは「お金と相対比較できないもの」だと思うのだが・・これって「定規で測れない事物の長さを定規と比較する」って言っているのと同じなんじゃね?例えば7月に「お金の価値」が下落すると相対的にスイカやアイスの値段は上昇するだろうが、それによって「彼女との夏の思い出」の価値も上昇するのだろうか?するとも言えるししないとも言えるだろう。直接の経済学的相関がないから当然だ。この両者は元々相対比較できるようなものではないのだ。まったく意味合いの違う「価値」という言葉を同列視すること自体無理があるのではないか?
・そこで登場する説明がこうだ。「価値には①資本転換可能な価値 ②個人の内面的な価値 ③功利的な価値の3つが存在し、資本主義では①のみを価値と見なしているが、価値主義では3つとも価値とみなす」(166-168頁要約)のだという。更に「価値主義こそが資本主義の発展版である」などとしているが、これは単に「価値」という言葉の定義を変えているだけで、別に経済の仕組みを変えているわけでも何でもない。例えば本書は②の例としてyoutuberを挙げているが、本当にそうだろうか?
youtubeのビジネスモデルは純粋に資本主義的なものだろう。消費者がいて広告があるからgoogleが収益を得て、その一部が投稿者に還元されているということぐらい小学生でも理解できる。どんなに好きなことを一生懸命()やっていようが、広告主がいなければ一円も儲からないし、購買者がいなければ一円も儲からないし、googleという営利企業が営利を上げていなければ一円も儲からない。本書では、youtuberにとってもっとも重要なのは「ファンやユーザーからの興味・関心という精神的な価値」であり「お金はその価値の一部を変換したものに過ぎない」(165頁)としているが、ここで変換という言葉が使われているのは単なる比喩にすぎない。「ファンやユーザーからの興味・関心」というのは収益を得るための前提条件でしかなく、それらが仮想通貨取引のように「お金」に即時変換されているわけではないからだ。繰り返すがyoutuberが収益を上げるための最も重要な条件はgoogle社がまず広告収入を得ることであり、youtuberの収益とはその一部を切り崩した「おこぼれ」でしかない。そして「おこぼれ」分配の直接的係数となるのは「PV数」(←重要)なのであって、フォロワー数や好感度などはそれを可視化するための指標に過ぎない。これらにお金を超越する価値があると力説するのは勝手だが、既存の資本の構造を置き換えるほどのものではない。したがって著者の提示する「価値主義」なるものは、きれい事のレイヤーを一枚隔てただけの資本主義1.0の一形態に過ぎないということだ。
・更に③の例としてグラミン銀行を上げ、「慈善事業を持続可能なビジネスとして成功させた(181頁)」とし、社会事業的な「ソーシャルビジネス」の考えを紹介している。この点に関してはもっともだと思うが、直後の「スマホやブロックチェーンなどのテクノロジーの普及によって、(略)独自の経済圏を誰でも簡単に構築できるようになると、この流れは一気に加速します」は意味が分からない。だいたい非営利事業を主導するポテンシャルが最も強いのは各国の政府や政府系の機関、あるいは公益法人なのだから、それらの直接的関与を受けない経済圏を経由しても資金調達が難しくなるだけだと思うのだが。ちなみにグラミン銀行はトークンとも仮想通貨ともまったく関係がない(苦笑)。更に「社会的に価値のある取り組みは利益を出しやすくなってきてい」るから「数十年後には『営利』と『非営利』の区別はなくな(182頁)」ってすべて価値として捉えられる、とのことだが、まったく根拠がない。なぜ世の中が自動的に性善説的な方向に向かうと言えるのだろうか。ネットのデマなんかを見ると20年前より今の方がよっぽど量質ともに悪化しているぞ。デマやリンチで金儲けができる仕組みすら出来上がってしまっている。知識のコモディティ化なんて全然されていないのだ。ソーシャルビジネスはそういう仕組みを作る人がいなければ機能しないのに、技術の進歩が勝手にやってくれると考えているのなら他力本願に過ぎる。
・第3章後半の未来予測に至ってはもう「重傷」と言うほかない。「AIが発達すると、大半の労働が価値を失う→そうなると大半の人が失業してしまう→国家がベーシックインカムを導入する(あるいは企業がサービスを無償提供する)」→お金の価値が急速に目減りする→お金に依存しない新しい経済圏を自由に選択する(価値主義=経済の民主化)時代が来る(185-189頁要約)」のだそうだ。
第2章では経済の国家依存を解消して民主化だとか叫んでいたくせして、今度は手のひらを返して国家による生活保護を前提にしているあたりは失笑モノだが、もっと致命的なのは「労働」と「貨幣」が衰退した後にも今よりもっと完成度の高い経済圏が存在しうると本気で思い込んでいることだろう。では質問だが「労働」と「貨幣」の価値が縮小した世界で、国家は一体どのように財源を確保しているのだろうか?まさか仮想通貨市場とか言わないでくれよ。仮想通貨は成長などしない。参加者が増えればプールされている金額が大きくなってレートが上がるだけで、社会の冨の総量を変化させるものではないから、全世界の冨が仮想通貨に集まれば当然頭打ちになる。仮想通貨市場によって国債を代替することは不可能だし、その意味もない。税収もないのにいったいどうやって生活保護費出すんだろうねw そもそも人間がカネへの興味をなくしたら誰も仮想通貨なんて欲しがるわけないだろう。巨大な個人資産の滞留が起こるだけだ。ヘタしたらまた金本位制に逆戻りしかねない。「労働」と「貨幣」の縮小は経済全体の停滞以外の何物でもないのだ。それどころか競争力を喪失した産業が衣食住を満たせる製品をまともに作れるのかも怪しくなってくる。また186頁で指摘されているような購買意欲の極端な低下が全世界に波及したならば、googleやfacebookのような広告収入型のビジネスモデルももちろん機能しなくなる。こいつらが持っている膨大なデータは広告型ビジネスという内燃機関にとっての燃料のようなものであり、個人情報そのものが即時換金できるわけじゃないし、ましてや何もないところに金を生み出せるわけでもないのだ。著者は本当に考えて文章書いてるのか?
・「タイムバンク」なるサービスによって時間を取引できるとしているが、これも単なる言葉遊びである。例えば100円/秒のレートがついている人が居たとして、その人が密室で10秒間を過ごしたらそこに1000円を払う人がいるだろうか?・・・いないだろう。1000円を払う人がいないということは、市場価格が1000円に満たないのだから、この10秒間の価値は1000円未満であるということである。
ではなぜ「タイムバンク」で時間の売買が成立するのかといえば、その時間を使って登録者が何らかのサービス(労働)を行うからである。このサイトで実際に売買されているのは「時間」そのものではなく「労働力」であり、「時間」はそれを量り売りするための単位にすぎない。「タイムバンク」は自由市場の形をとっている点で物珍しいかも知れないが、労働力を商品として売買するという点では、新しい経済の形でも何でもない。
「タイムバンク」に登録している人は明確な労働行為によって報酬を得ているのだから、時間をカネに自動変換しているわけではない。スローガン・理念としては「時間の売買」でもいいのだろうが、社会科学的な説明としては全く間違っている。したがって「時間を資産として持つ者がそこから定期収入を得ることができるようになれば、働かなくても生きていける人が増えるかもしれません(197頁)」といった説明は的外れでしかなく、まったくのデタラメだ。
もし時間が取引対象になり得ると仮定するのだとしてもせめて「商品」と呼ぶべきだろう。なぜ無理してまで「通貨」なんて単語を使いたがるのだろうか?著者の理屈が成立するなら、お米屋さんは「質量を通貨として取引している」ことになるし、運転手さんは「距離を通貨として取引している」ことになり、地主さんは「面積を通貨として取引している」ことになるが、これらが言葉遊びの域を出ないことは明白だろう。「労働」や「商品」を媒介する以上、これらは既存の商行為と何ら変わるものではない。もし「労働」や「商品」を媒介せずに、「時間」「質量」「距離」「面積」をそのまま使って「経済を動かす」ことが本当に可能だというのなら実際にやってみてもらいたい。何だか懐かしの「スカラー波(数学的概念)によって健康被害(生理現象)が起こる」ってやつと変わらない気がするが・・・・。要するに本書は「労働」の存在を無視しているだけではなく、「通貨」と「商品」と「計数単位」をゴッチャにするという誤りを冒してしまっているのだ。何が何でも仮想通貨取引にこじつけてプレゼンしようとするからこんな破綻が生じるのではないか。
・自分とそれ以下の若い世代に対して「モノやサービスといった価値は既に飽和状態で新規参入が難しいが、内面的な価値は経済を動かす原動力であり大きなチャンスがある(220-221頁要約)」としているが、その例としてゲームやライブ配信を挙げているのには吹き出してしまった。 ゲーム制作やライブ配信がモノやサービスでなくて 一 体 何 だ と い う の だ ? 「経済を動かす」ということは、何らかの商品や行為によって正統な報酬を受け取ることではないのか?経済活動を行うには、内面的な価値をコンテンツに変換する作業が必ず必要なのだ。内面的な価値それ自体が経済を動かすわけではない。このコンテンツというのは紛れもなく「モノやサービス」の一種だ。モノでもサービスでもないものを使って一体どうやって「経済を動かす」のか?まさか「『マンガ家になりたい』という熱意が多数に伝われば、マンガを未来永劫1mmも描かなくても寄付金で食えてしまう」みたいな事が言いたいのだろうか(失笑)。著者はシニア世代の頭の作りを批判する前に、自分の頭の中を整理した方がいいだろう。
・・・さて、すっげー長文を書いてしまったが、ここまで読んで下さった方にはもうお分かりだと思う。著者はこれといって革新的なシステムを提示しているわけでもないのに、「価値」という言葉を使うことで、生産条件・生産能力・カネ・精神的充足・公共の利益といったもろもろの概念をゴッチャ混ぜにしてしまっているのだ。コンテンツ産業でいうなら、決して「営利と非営利の境界が曖昧になってきている」わけでも何でもなく、著者が勝手に「趣味で楽しんでやってる人(ex:222頁・動画配信者)」と「仕事でやってる人(ex:223頁・ザリガニ女)」を同一視しておいて、作り手の労力の話をする時は前者を例に出し、成功モデルの話をする時は後者を例に出しているだけの話だ。この飛躍をごまかす上で「価値」という抽象概念を持ちだしているに過ぎない。こういうのを【子供だまし】という。
<金融商品の実体経済からの乖離を批判(148頁)しながら仮想通貨を推す><経済圏の自然淘汰をうたいながら、トークン経済圏を安定成長する前提でしか見ていない(193頁)><「個人の内面的な感情と結びついた価値」を提示しておきながら、お金から感情を切り離せ(257頁)と書いてある><「理論的な美しさを重視して最初から実現する気のない思想論文(64頁)」というブーメラン発言>など、著者の主張には自己矛盾が多く、いまいち論理武装できていない感がある。物事を深く考えないで思いついたまま漠然と書き綴ったような文章が多すぎる。何度も書くが広告の商品にカネを払う人(消費者)がいなければ広告型ネットサービス(google、Facebook...)は潰れるのだ。また仮想通貨市場で100万円儲けた人が一人いればどこかで何人かが合計100万円分損をしているのだ。「労働やカネに依存しない経済」や「モノやサービスを媒介しない経済」や「資産経済に依存しないカネ」が実現可能だというのならそういうモデルを提示すべきだが、観念的にそれっぽいモノを夢想しておきながら具体的なモデルを提示できず、そうでない<モロに資本主義的な>実例をあげる以上のことができていないから、「価値主義」も言葉遊びの域を出ていない。特にyoutubeの広告収入の仕組みにまともに言及せず「熱意がみんなに伝われば報酬が得られる」といった幼稚園の先生みたいな抽象的な説法に落とし込むあたり、【世の中のお金の仕組みを無視した本】と言われても仕方がない。
著者と私は同年代のようだし、売れてる本だからそれなりにもう少し説得力のあることが書いてあると期待していた。せめて「仮想通貨の何がすごいのか」が書いてあれば御の字だったのだが、そちらの説明があまりなく、仮想通貨技術にこじつけて意味の通らない未来予測を垂れ流している本だったので得るものは少なかった。
私は著者の思想や経営者としての手腕までは否定しない。仮想通貨の(法定通貨を稼ぐ手段としての)ビジネスモデルとしての価値も否定しない。本文中には正しいこともいい事もたくさん書かれている。しかし本書の主要なテーマに関わるところにこれほどの論理破綻が含まれている以上、これ以外の評価をつけようがない。後の章になるほど酷くなっていくので、最初の2章半程度で書くネタが尽きたのではと予想するが真実はいかに。こんな本が二〇万部も売れてしまうのだから仮想通貨もYoutuberもまだまだ安泰だろうが、私としては電車の中吊り広告に対する不信感が強まっただけだった。
なお第4章後半以降は、タイトルとほとんど無関係な<経営者本によくある人生論><自己啓発的な説教><門外漢による未来の科学予測>が続く(しかもかなり散漫)のでレビューの対象外とするが、1つ指摘するならギロチン台導入の歴史的経緯が間違っていること。ギロチンが導入されたのはフランス革命勃発後だ。せめて検索して調べてから文章書いた方がいいんじゃないの?「知識のコモディティ化」なんてまだまだ全然できていないということを、著者自身が証明してしまっているのだ。
まったく価値がない本だとは思わない。
例えば第1章では分かりやすい言葉で社会ダーウィニズム(社会進化論)が解説され、社会科学と自然科学を橋渡しした上で、「有機的なシステム(96頁)」の合理性を指摘している。ここは1つの考え方として特に異存はない。
次に第2章では、トークンエコノミーや無人ヘッジファンド、無人コンビニなどの成功例を挙げて、「勝手に回り続ける経済圏を作る」ことで、「従来のビジネスの収益構造を根本的に変えてしまう破壊力がある(142頁)」としているが、トークンの仕組みすら知らない自分には非常に勉強になった。イマドキの用語解説が豊富で大変わかりやすい。
ただし2章後半からは大言壮語や言葉のあやによる誤魔化しが目立つようになる。いくつか例を挙げてみよう。
・かつて経済を作るのは国家の専売特許だったが、「今はスマホやブロックチェーンなどのテクノロジーを使えば、個人や企業が簡単に通貨を発行して自分なりの経済を作れてしまう(142頁)」「つまり(略)経済そのものの『民主化』なのです(同)」とあるが、こんなセリフを吐くからには、その「自分なりの経済」とやらが国家経済から独立した経済圏を確立していないといけないことになる。
でも実際はそうではないよね。仮想通貨は法定通貨に換金できるからこそ(←重要)価値が認められている。もし仮想通貨を法定通貨に換金できなくなったら、誰もそんなものにカネを出さないだろう。仮想通貨で直接モノが買える店もあるだろうと反論する人もいるかも知れないが、ビットコインで買い物ができるのも法定通貨との換金レートが存在するからこそである。また今この場で一億円分の仮想通貨市場を「作った」ところで、それは一億円分の日本円を仮想化してプールしただけである。もし誰かがそれを米ドルに換金したなら、やはり為替市場で日本円を米ドルに交換しただけ。つまり仮想通貨は法定通貨の一部でしかなく、上述の「自分なりの経済」とやらも国家経済の一部を区切ったものでしかない(複数通貨にリスク分散されてこそいるが)。したがって国家経済が破綻すればもちろん「自分なりの経済」だって連鎖崩壊する。
著者は上述の傾向をグーテンベルクの活字印刷による「知識の民主化」のように「万人が経済を自らの手で作れるようになる」と「お金そのものもコモディティ化し、今ほど貴重なものとは考えられなくなる」(144頁)とまで言っているが大風呂敷を広げすぎだ。
・実体経済を伴わない「資産経済」が肥大化した → 多額の投資資金が滞留している → 「資金調達が容易な環境にあるため、相対的にお金の価値そのものが下がり続けている」「お金で買えないものの価値が相対的に上がってきている(153頁)」という滅茶苦茶な論法があるが意味不明である。簡単に資金調達ができるならクラウドファンディングのような新しい調達の仕組みは必要いらないだろうし、投資資金は滞留などせず逆に流動的な状態になければいけない。そもそも「お金で買えないものの価値」と「お金の価値」を「相対的」にどう比較しろというのか?自分の解釈では「お金で買えないもの」っていうのは「お金と相対比較できないもの」だと思うのだが・・これって「定規で測れない事物の長さを定規と比較する」って言っているのと同じなんじゃね?例えば7月に「お金の価値」が下落すると相対的にスイカやアイスの値段は上昇するだろうが、それによって「彼女との夏の思い出」の価値も上昇するのだろうか?するとも言えるししないとも言えるだろう。直接の経済学的相関がないから当然だ。この両者は元々相対比較できるようなものではないのだ。まったく意味合いの違う「価値」という言葉を同列視すること自体無理があるのではないか?
・そこで登場する説明がこうだ。「価値には①資本転換可能な価値 ②個人の内面的な価値 ③功利的な価値の3つが存在し、資本主義では①のみを価値と見なしているが、価値主義では3つとも価値とみなす」(166-168頁要約)のだという。更に「価値主義こそが資本主義の発展版である」などとしているが、これは単に「価値」という言葉の定義を変えているだけで、別に経済の仕組みを変えているわけでも何でもない。例えば本書は②の例としてyoutuberを挙げているが、本当にそうだろうか?
youtubeのビジネスモデルは純粋に資本主義的なものだろう。消費者がいて広告があるからgoogleが収益を得て、その一部が投稿者に還元されているということぐらい小学生でも理解できる。どんなに好きなことを一生懸命()やっていようが、広告主がいなければ一円も儲からないし、購買者がいなければ一円も儲からないし、googleという営利企業が営利を上げていなければ一円も儲からない。本書では、youtuberにとってもっとも重要なのは「ファンやユーザーからの興味・関心という精神的な価値」であり「お金はその価値の一部を変換したものに過ぎない」(165頁)としているが、ここで変換という言葉が使われているのは単なる比喩にすぎない。「ファンやユーザーからの興味・関心」というのは収益を得るための前提条件でしかなく、それらが仮想通貨取引のように「お金」に即時変換されているわけではないからだ。繰り返すがyoutuberが収益を上げるための最も重要な条件はgoogle社がまず広告収入を得ることであり、youtuberの収益とはその一部を切り崩した「おこぼれ」でしかない。そして「おこぼれ」分配の直接的係数となるのは「PV数」(←重要)なのであって、フォロワー数や好感度などはそれを可視化するための指標に過ぎない。これらにお金を超越する価値があると力説するのは勝手だが、既存の資本の構造を置き換えるほどのものではない。したがって著者の提示する「価値主義」なるものは、きれい事のレイヤーを一枚隔てただけの資本主義1.0の一形態に過ぎないということだ。
・更に③の例としてグラミン銀行を上げ、「慈善事業を持続可能なビジネスとして成功させた(181頁)」とし、社会事業的な「ソーシャルビジネス」の考えを紹介している。この点に関してはもっともだと思うが、直後の「スマホやブロックチェーンなどのテクノロジーの普及によって、(略)独自の経済圏を誰でも簡単に構築できるようになると、この流れは一気に加速します」は意味が分からない。だいたい非営利事業を主導するポテンシャルが最も強いのは各国の政府や政府系の機関、あるいは公益法人なのだから、それらの直接的関与を受けない経済圏を経由しても資金調達が難しくなるだけだと思うのだが。ちなみにグラミン銀行はトークンとも仮想通貨ともまったく関係がない(苦笑)。更に「社会的に価値のある取り組みは利益を出しやすくなってきてい」るから「数十年後には『営利』と『非営利』の区別はなくな(182頁)」ってすべて価値として捉えられる、とのことだが、まったく根拠がない。なぜ世の中が自動的に性善説的な方向に向かうと言えるのだろうか。ネットのデマなんかを見ると20年前より今の方がよっぽど量質ともに悪化しているぞ。デマやリンチで金儲けができる仕組みすら出来上がってしまっている。知識のコモディティ化なんて全然されていないのだ。ソーシャルビジネスはそういう仕組みを作る人がいなければ機能しないのに、技術の進歩が勝手にやってくれると考えているのなら他力本願に過ぎる。
・第3章後半の未来予測に至ってはもう「重傷」と言うほかない。「AIが発達すると、大半の労働が価値を失う→そうなると大半の人が失業してしまう→国家がベーシックインカムを導入する(あるいは企業がサービスを無償提供する)」→お金の価値が急速に目減りする→お金に依存しない新しい経済圏を自由に選択する(価値主義=経済の民主化)時代が来る(185-189頁要約)」のだそうだ。
第2章では経済の国家依存を解消して民主化だとか叫んでいたくせして、今度は手のひらを返して国家による生活保護を前提にしているあたりは失笑モノだが、もっと致命的なのは「労働」と「貨幣」が衰退した後にも今よりもっと完成度の高い経済圏が存在しうると本気で思い込んでいることだろう。では質問だが「労働」と「貨幣」の価値が縮小した世界で、国家は一体どのように財源を確保しているのだろうか?まさか仮想通貨市場とか言わないでくれよ。仮想通貨は成長などしない。参加者が増えればプールされている金額が大きくなってレートが上がるだけで、社会の冨の総量を変化させるものではないから、全世界の冨が仮想通貨に集まれば当然頭打ちになる。仮想通貨市場によって国債を代替することは不可能だし、その意味もない。税収もないのにいったいどうやって生活保護費出すんだろうねw そもそも人間がカネへの興味をなくしたら誰も仮想通貨なんて欲しがるわけないだろう。巨大な個人資産の滞留が起こるだけだ。ヘタしたらまた金本位制に逆戻りしかねない。「労働」と「貨幣」の縮小は経済全体の停滞以外の何物でもないのだ。それどころか競争力を喪失した産業が衣食住を満たせる製品をまともに作れるのかも怪しくなってくる。また186頁で指摘されているような購買意欲の極端な低下が全世界に波及したならば、googleやfacebookのような広告収入型のビジネスモデルももちろん機能しなくなる。こいつらが持っている膨大なデータは広告型ビジネスという内燃機関にとっての燃料のようなものであり、個人情報そのものが即時換金できるわけじゃないし、ましてや何もないところに金を生み出せるわけでもないのだ。著者は本当に考えて文章書いてるのか?
・「タイムバンク」なるサービスによって時間を取引できるとしているが、これも単なる言葉遊びである。例えば100円/秒のレートがついている人が居たとして、その人が密室で10秒間を過ごしたらそこに1000円を払う人がいるだろうか?・・・いないだろう。1000円を払う人がいないということは、市場価格が1000円に満たないのだから、この10秒間の価値は1000円未満であるということである。
ではなぜ「タイムバンク」で時間の売買が成立するのかといえば、その時間を使って登録者が何らかのサービス(労働)を行うからである。このサイトで実際に売買されているのは「時間」そのものではなく「労働力」であり、「時間」はそれを量り売りするための単位にすぎない。「タイムバンク」は自由市場の形をとっている点で物珍しいかも知れないが、労働力を商品として売買するという点では、新しい経済の形でも何でもない。
「タイムバンク」に登録している人は明確な労働行為によって報酬を得ているのだから、時間をカネに自動変換しているわけではない。スローガン・理念としては「時間の売買」でもいいのだろうが、社会科学的な説明としては全く間違っている。したがって「時間を資産として持つ者がそこから定期収入を得ることができるようになれば、働かなくても生きていける人が増えるかもしれません(197頁)」といった説明は的外れでしかなく、まったくのデタラメだ。
もし時間が取引対象になり得ると仮定するのだとしてもせめて「商品」と呼ぶべきだろう。なぜ無理してまで「通貨」なんて単語を使いたがるのだろうか?著者の理屈が成立するなら、お米屋さんは「質量を通貨として取引している」ことになるし、運転手さんは「距離を通貨として取引している」ことになり、地主さんは「面積を通貨として取引している」ことになるが、これらが言葉遊びの域を出ないことは明白だろう。「労働」や「商品」を媒介する以上、これらは既存の商行為と何ら変わるものではない。もし「労働」や「商品」を媒介せずに、「時間」「質量」「距離」「面積」をそのまま使って「経済を動かす」ことが本当に可能だというのなら実際にやってみてもらいたい。何だか懐かしの「スカラー波(数学的概念)によって健康被害(生理現象)が起こる」ってやつと変わらない気がするが・・・・。要するに本書は「労働」の存在を無視しているだけではなく、「通貨」と「商品」と「計数単位」をゴッチャにするという誤りを冒してしまっているのだ。何が何でも仮想通貨取引にこじつけてプレゼンしようとするからこんな破綻が生じるのではないか。
・自分とそれ以下の若い世代に対して「モノやサービスといった価値は既に飽和状態で新規参入が難しいが、内面的な価値は経済を動かす原動力であり大きなチャンスがある(220-221頁要約)」としているが、その例としてゲームやライブ配信を挙げているのには吹き出してしまった。 ゲーム制作やライブ配信がモノやサービスでなくて 一 体 何 だ と い う の だ ? 「経済を動かす」ということは、何らかの商品や行為によって正統な報酬を受け取ることではないのか?経済活動を行うには、内面的な価値をコンテンツに変換する作業が必ず必要なのだ。内面的な価値それ自体が経済を動かすわけではない。このコンテンツというのは紛れもなく「モノやサービス」の一種だ。モノでもサービスでもないものを使って一体どうやって「経済を動かす」のか?まさか「『マンガ家になりたい』という熱意が多数に伝われば、マンガを未来永劫1mmも描かなくても寄付金で食えてしまう」みたいな事が言いたいのだろうか(失笑)。著者はシニア世代の頭の作りを批判する前に、自分の頭の中を整理した方がいいだろう。
・・・さて、すっげー長文を書いてしまったが、ここまで読んで下さった方にはもうお分かりだと思う。著者はこれといって革新的なシステムを提示しているわけでもないのに、「価値」という言葉を使うことで、生産条件・生産能力・カネ・精神的充足・公共の利益といったもろもろの概念をゴッチャ混ぜにしてしまっているのだ。コンテンツ産業でいうなら、決して「営利と非営利の境界が曖昧になってきている」わけでも何でもなく、著者が勝手に「趣味で楽しんでやってる人(ex:222頁・動画配信者)」と「仕事でやってる人(ex:223頁・ザリガニ女)」を同一視しておいて、作り手の労力の話をする時は前者を例に出し、成功モデルの話をする時は後者を例に出しているだけの話だ。この飛躍をごまかす上で「価値」という抽象概念を持ちだしているに過ぎない。こういうのを【子供だまし】という。
<金融商品の実体経済からの乖離を批判(148頁)しながら仮想通貨を推す><経済圏の自然淘汰をうたいながら、トークン経済圏を安定成長する前提でしか見ていない(193頁)><「個人の内面的な感情と結びついた価値」を提示しておきながら、お金から感情を切り離せ(257頁)と書いてある><「理論的な美しさを重視して最初から実現する気のない思想論文(64頁)」というブーメラン発言>など、著者の主張には自己矛盾が多く、いまいち論理武装できていない感がある。物事を深く考えないで思いついたまま漠然と書き綴ったような文章が多すぎる。何度も書くが広告の商品にカネを払う人(消費者)がいなければ広告型ネットサービス(google、Facebook...)は潰れるのだ。また仮想通貨市場で100万円儲けた人が一人いればどこかで何人かが合計100万円分損をしているのだ。「労働やカネに依存しない経済」や「モノやサービスを媒介しない経済」や「資産経済に依存しないカネ」が実現可能だというのならそういうモデルを提示すべきだが、観念的にそれっぽいモノを夢想しておきながら具体的なモデルを提示できず、そうでない<モロに資本主義的な>実例をあげる以上のことができていないから、「価値主義」も言葉遊びの域を出ていない。特にyoutubeの広告収入の仕組みにまともに言及せず「熱意がみんなに伝われば報酬が得られる」といった幼稚園の先生みたいな抽象的な説法に落とし込むあたり、【世の中のお金の仕組みを無視した本】と言われても仕方がない。
著者と私は同年代のようだし、売れてる本だからそれなりにもう少し説得力のあることが書いてあると期待していた。せめて「仮想通貨の何がすごいのか」が書いてあれば御の字だったのだが、そちらの説明があまりなく、仮想通貨技術にこじつけて意味の通らない未来予測を垂れ流している本だったので得るものは少なかった。
私は著者の思想や経営者としての手腕までは否定しない。仮想通貨の(法定通貨を稼ぐ手段としての)ビジネスモデルとしての価値も否定しない。本文中には正しいこともいい事もたくさん書かれている。しかし本書の主要なテーマに関わるところにこれほどの論理破綻が含まれている以上、これ以外の評価をつけようがない。後の章になるほど酷くなっていくので、最初の2章半程度で書くネタが尽きたのではと予想するが真実はいかに。こんな本が二〇万部も売れてしまうのだから仮想通貨もYoutuberもまだまだ安泰だろうが、私としては電車の中吊り広告に対する不信感が強まっただけだった。
なお第4章後半以降は、タイトルとほとんど無関係な<経営者本によくある人生論><自己啓発的な説教><門外漢による未来の科学予測>が続く(しかもかなり散漫)のでレビューの対象外とするが、1つ指摘するならギロチン台導入の歴史的経緯が間違っていること。ギロチンが導入されたのはフランス革命勃発後だ。せめて検索して調べてから文章書いた方がいいんじゃないの?「知識のコモディティ化」なんてまだまだ全然できていないということを、著者自身が証明してしまっているのだ。
2018年8月29日に日本でレビュー済み
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はしがきによるとこの本はお金や経済とは何かを理解してもらうために書いた本らしい。
佐藤さんは優秀な経営者で、テクノロジー周りの最新事情にはとても詳しいのだろうが、資本主義や貨幣の本質について語るには思索が浅いように感じた。脳科学で聞きかじったような話や自分で感じたことを論拠として話を展開している部分もあり、今一つ説得力に欠ける。
ご本人の思索が浅いせいなのか、出版社のせいなのかは分からないけれど、長く読み継がれることはなさそうな本だった。題名のつけ方や表紙、宣伝の仕方は凄くセンスがあると思うけれど、肝心の本の中身について言えば、例えば村上世彰氏『生涯投資家』などに比べると凄く薄くて説得力がなかった。まぁ、売れれば本の中身はそれほど「肝心」ではないのかもしれないが、、
佐藤さんは優秀な経営者で、テクノロジー周りの最新事情にはとても詳しいのだろうが、資本主義や貨幣の本質について語るには思索が浅いように感じた。脳科学で聞きかじったような話や自分で感じたことを論拠として話を展開している部分もあり、今一つ説得力に欠ける。
ご本人の思索が浅いせいなのか、出版社のせいなのかは分からないけれど、長く読み継がれることはなさそうな本だった。題名のつけ方や表紙、宣伝の仕方は凄くセンスがあると思うけれど、肝心の本の中身について言えば、例えば村上世彰氏『生涯投資家』などに比べると凄く薄くて説得力がなかった。まぁ、売れれば本の中身はそれほど「肝心」ではないのかもしれないが、、
2019年1月4日に日本でレビュー済み
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この本は、凄いです。蒙を啓かれました。
5章だてで、先の先の先を見通す。もう、10個くらい先の。ロジカルでクリアな論理展開。先生、しびれました。
1. お金の正体/で、経済システムを解説。
2. テクノロジーが変えるお金のカタチ/現在起きているのは、「分散化」と喝破。すげぇ。
3. 価値主義とは何か?/資本主義から次へ。
4. 「お金」から解放される生き方/人生の意義を持つことが「価値」になった世代。
5. 加速する人類の進化/「お金」は単なる「道具」である。トークンネイティブ。。。
鳥肌モノの、読書体験でした。
5章だてで、先の先の先を見通す。もう、10個くらい先の。ロジカルでクリアな論理展開。先生、しびれました。
1. お金の正体/で、経済システムを解説。
2. テクノロジーが変えるお金のカタチ/現在起きているのは、「分散化」と喝破。すげぇ。
3. 価値主義とは何か?/資本主義から次へ。
4. 「お金」から解放される生き方/人生の意義を持つことが「価値」になった世代。
5. 加速する人類の進化/「お金」は単なる「道具」である。トークンネイティブ。。。
鳥肌モノの、読書体験でした。
2019年1月3日に日本でレビュー済み
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テレビ番組を見るその3時間をこの本に使うだけで今後の世界の見方が変わってくると思います。
1. これまで可視化されてこなかった個人の無形固定資産(フォロワーや信用度)がテクノロジーの発展により顕在化された。目的ではなく、好きなことに没頭している結果として、フォロワーや信用が得られ、お金がついてくる時代。
2. 中央集権から分散化へ。これまでは国家に準備された経済で生きるしかなかったが、今後は個人により作られた小さな経済圏の中で、トークンでの経済活動が主流になってくるのではないか。
3. ベーシックインカムが導入されたら、お金のコモディティ化が加速し、マネーの価値が下がってくる。AI、ロボットの普及により生活コストは下がるので、お金の為に働くのではなく、自分の価値を高める為に働いた方が良い。
1. これまで可視化されてこなかった個人の無形固定資産(フォロワーや信用度)がテクノロジーの発展により顕在化された。目的ではなく、好きなことに没頭している結果として、フォロワーや信用が得られ、お金がついてくる時代。
2. 中央集権から分散化へ。これまでは国家に準備された経済で生きるしかなかったが、今後は個人により作られた小さな経済圏の中で、トークンでの経済活動が主流になってくるのではないか。
3. ベーシックインカムが導入されたら、お金のコモディティ化が加速し、マネーの価値が下がってくる。AI、ロボットの普及により生活コストは下がるので、お金の為に働くのではなく、自分の価値を高める為に働いた方が良い。
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