ことばに関する珠玉のエッセイ集『お言葉ですが・・』最新刊。
岩波書店のPR誌「図書」で丸谷才一さんも絶賛されていたが、本書の白眉は前半部の「ことばと文字と文章と」にある。
その内容は「基礎日本語教科書」とでもいうべきもので、高島先生がこれまで『お言葉ですが・・』はじめ『漢字と日本人』や『漱石の夏やすみ』などで種々説明してきた日本語のなりたちについての文章をよりわかりやすく、一からかみくだいて説明する、というもの。すべての日本語話者(=日本人)に読んでもらいたいものだ。
話の「つかみ」がない分、エッセイとしての魅力はなくなっているが、それを補ってあまりある、「目からウロコ」感が待っている。
今まで、日常的に触れてきたことばという「道具」が高島氏の手にかかると丸裸にされてまったく違うもののように見えてくる、それはまるで魔法にかかったような感覚である。例えるなら、すべて理解しているように思っていた、親しい友人のまったく別の面を見せられるような感覚に近い。
本書で初めて高島氏の日本語解説に触れたかたは、ぜひとも前述の諸書を読んでほしい。さらに目からウロコが落ちます。
後半部は言葉に関するエッセイを集めたもので、いつもながら魅力的な題材で、うーんとうならされるものばかりだったが、同時に以下のような感慨も持った。
ソ連の満州侵攻に取材した「中華民国牡丹江省…?」という短文のなかで、「終戦後の戦死というのがどういう状況かわからない」と書いておられる。
実際のところ、終戦の玉音放送こそ8月15日であるが、中国大陸の各地では命令の不達やソ連が戦闘を継続したことから、9月初めまで各地で戦闘が続けられた。
少し調べればわかることではあるが、しかし、そもそも高島先生は中国文学の専門家であり、それ以外の分野では読者からの手紙によって補強され、ネタが提供されるというのが「お言葉ですが・・」という連載だったのだ。
間違い云々ということよりも、その良さが失われたことに一抹の寂しさを覚えたことだった。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。

Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。