電子書肆さえ房の管理人にして、そのブログCommentarius Saevusで古今東西の物語や文物に鋭く切り込み、シェークスピアほか、文芸、演劇、映画がそれぞれに持つその多彩さやその生きた魅力を現代に見出す批評を記している北村紗衣さんの洒落たエッセイ集です。
何が洒落た本かといえば、まずは表紙の意味ありげなサイレントサイン。例えばヴァージニア・ウルフ🐈からアナと雪の女王☃️のエルザに至る、クローゼットに入っているキャラクターについて、それはそれでいいじゃないか、としつつ、その社会的な着地点に、アナ雪はじめさまざまな物語や人物の在りようを、主観と客観の境を越えて、公平に語りかけてくれます。また時には、腐女子というスラッシャーな視点で「嵐が丘」のキャサリンとヒースクリフにボーイズラブのバディとしてのセクシーな関係という、アクロバティックだが腑に落ちる読み方を開示してくれたりします。このほか本表紙のタイトル劇である「十二夜、または御意のままに」におけるジェンダーロールの逆転が、通常の物事のきまりを祝祭的に逆転させてくれます。
ここでは、そうした話術に長けた多彩な北村紗衣さんの語りが文字で読めるという、クローゼットのお話の部屋に入っていける、ちょっとした今様な文芸サロンにもなっていて、シンデレラに民話理論を具体的に援用したりしながら、単なるカテゴリー論に収斂せず、物語そのものの持つ意味や魅力を、さりげなく広げてくれます。
いきなり真面目に読んでも民話理論のほかにもクレオパトラやサロメについて学術的に得るところが多々ありますし、ある意味で不真面目にパラパラと読んでも、そのページごとに何がしかの視点のヒントがもらえます。映画や演劇、文芸読書の幕間、合間に読むと、書名どおり、作品に隠れているお砂糖とスパイスと爆発的な何かを、あなたは見つけるでしょう。そんな洒脱な一冊です。
お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2019/6/16
北村紗衣
(著)
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本の長さ240ページ
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言語日本語
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出版社書肆侃侃房
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発売日2019/6/16
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ISBN-104863853653
-
ISBN-13978-4863853652
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商品の説明
著者について
1983年、北海道士別市生まれ。
専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。
東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、
2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。
現在、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授。
著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち──近世の観劇と読書』(白水社、2018)、
訳書にキャトリン・モラン『女になる方法──ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記』(青土社、2018)など 。
専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。
東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、
2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。
現在、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授。
著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち──近世の観劇と読書』(白水社、2018)、
訳書にキャトリン・モラン『女になる方法──ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記』(青土社、2018)など 。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
北村/紗衣
1983年、北海道士別市生まれ。専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。現在、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1983年、北海道士別市生まれ。専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。現在、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社より

各メディアで話題!
【新聞】
週刊読書人(2019年7月26日)/リビング京都(2019年7月27日)/北海道新聞(2019年7月28日)/東京新聞(2019年7月30日)/好書好日(2019年7月30日)/共同通信(2019年8月10日・11日)/ふぇみん(2019年12月5日)/デーリー東北(2020年3月3日)
【雑誌】
婦人公論(2019年9月24日号)/週刊読書人(2019年9月27日号)/AERA(2019年9月30日号)/CREA(10月号)/週刊読書人(2019年9月27日号)/書標(2019年10月号)/ハヤカワミステリマガジン(2019年11月号)/クロワッサン(2019年10月25日号)/エル・ジャポン(2020年7月号)
【ラジオ】
アフター6ジャンクション (2019年4月10日、7月3日、12月27日) ほか
登録情報
- 出版社 : 書肆侃侃房 (2019/6/16)
- 発売日 : 2019/6/16
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 240ページ
- ISBN-10 : 4863853653
- ISBN-13 : 978-4863853652
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 36,849位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 18位フェミニズム
- - 50位文学理論
- - 3,436位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2019年6月19日に日本でレビュー済み
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101人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年8月21日に日本でレビュー済み
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フェミニスト、フェミニズムに興味がありますが初心者で色々勉強中です。その中で、映画が好きでインターネットなどでもそういう切り口のレビューを読んでなるほどと思うこともあるので、この本を手に取りました。でもこの本だけでいうなら、映画のフェミニスト批評は面白くないと思ってしまいました。色んなことを一方的に決めつけて語っているように感じられる点が、一番疑問に思ったことでしょうか。なるほど、そういう見方もあるのかという発見や啓蒙よりも、フェミニスト批評に結びつけようとするこじつけ、強引さを感じて反発を覚えたり、本当にそうなのか?フェミニストとは、この映画に対してこういう見方をするものなのか?と考えてしまいました。もちろんフェミニストといっても多種多様でしょうし、みんなが同じ見解である、見方をするというわけでもないとは思いますが。SNS上ではトランスジェンダーのパートについての小さな議論がありましたが、すごく考えさせられました。むしろそのSNS上のやりとりの方が、問題提起をされたトランスジェンダーの方の発言の方が個人的には勉強になったようにも思います。そういう意見があがること自体に、この本の価値があったとは言えるとは思います。机上の理論とまでは言わないですが、どこか現実的ではなく、何かしらを実感できる批評では私にはなかったです。結論として、この本のように映画を見ることを自分は追求しなくてもいいなと思える内容でした。
2019年7月23日に日本でレビュー済み
評判から予想していたより内容が薄かった。エッセイという体裁だからか、様々な映画や小説について「この作品はこんな見方もできるよね」とサジェストする程度の内容であり、何か特定のテーマについて深く掘り下げたり、一つの作品を多面的に分析したりしているわけではない。やたらと使われている「セクシー」「エロい」等の用語を何を意図して使っているのかもイマイチ不明であり、フェミニストとして何を言いたいのかわからない。不真面目といえば不真面目だと思う。英文学における女性の性欲の描かれ方など、文学史知識的なこともごく表面的な常識レベルの話なので、得られるものは少ない。批評史や演出の意図をふまえて作品を解釈する楽しみを一般向けに伝えたかったのだと思うが、普段からそういう鑑賞に慣れている人には大して面白くないと思う。
2019年10月28日に日本でレビュー済み
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・広く深く勉強した研究者の立場から、切れ味鋭く中身は手加減せず、かつ専門家でなくとも楽しく読める内容に書かれている非常に良い本です。退屈せずに次から次へとページを繰ってしまい読みやすく感じますが、難解な内容が、筆者の力量により平易な言葉へうまく翻訳されているからこそ、そう感じるようです。
・一般向け本でもちゃんと参考文献がついていて、興味を持ってもっと知りたくなった人がさらに勉強しやすいのがありがたい。
・著者の正直さと真摯さが伝わってきて好感が持てました。「不真面目な批評家」という文言は、柔らかさを演出するために入れたのだと思いますが、実際は違うと思います。
・随所で笑えるのでさらに読みやすいです。冷笑ではなく温かい系の笑いです。最近、研究者の手になる一般向け良書で笑いがちゃんと入っているのが多い気がしていますが、これはフェミニズム関連書のトレンドなのか、書籍一般のトレンドなのか、全世界の各界のトレンドなのか、こういう研究はないのでしょうか。(これは独り言です。)
・一般向け本でもちゃんと参考文献がついていて、興味を持ってもっと知りたくなった人がさらに勉強しやすいのがありがたい。
・著者の正直さと真摯さが伝わってきて好感が持てました。「不真面目な批評家」という文言は、柔らかさを演出するために入れたのだと思いますが、実際は違うと思います。
・随所で笑えるのでさらに読みやすいです。冷笑ではなく温かい系の笑いです。最近、研究者の手になる一般向け良書で笑いがちゃんと入っているのが多い気がしていますが、これはフェミニズム関連書のトレンドなのか、書籍一般のトレンドなのか、全世界の各界のトレンドなのか、こういう研究はないのでしょうか。(これは独り言です。)