この本は、JVCという日本を代表するボランティアセンターの
企画です。イラクでボランティア活動をしているJVCの活動は
評価されるべきだし、
現地で子どもたちとふれあい、絵を書いてもらい、アラビア語から
翻訳したりすることは、本当に大変だったと思います。
でも、その絵を並べたものに、
どうして谷川俊太郎の詩をのせたのか、その意図が理解できません。
たとえば谷川俊太郎自身が一緒にイラクに行って、
現地の子どもたちとふれあい、そこから何かを感じて詩を書いた
というのなら、意味はあるでしょう。
でも、この本はそうではありません。
谷川俊太郎の詩は旧作からの抜粋にすぎません。
詩の言葉ひとつひとつには力があり、
国や時代がちがっても、変わることのない戦争のおろかしさや
人間のかなしさが胸にひびいてきます。
「人間としての思いは同じ」という意味で、谷川俊太郎の詩と、
イラクの子どもたちの絵を組み合わせたのかもしれません。
でも、どうしても、
谷川俊太郎という大詩人のネームバリューで話題を集めて、
イラクの子どもたちの絵を、さし絵程度にしか扱っていない、
という印象はぬぐえません。
掲載されている絵はあまりにも数が少ないし、
ひとつひとつの絵に添えられた言葉も、内容が薄すぎます。
実際に戦争で被害にあっているのはイラクの子どもたちです。
必ずしも戦争や悲しみを描いた絵ばかりではなく、
楽しい絵もあり、とても載せられない下手な絵もあったでしょうが、
そのままの絵を主役として見せてほしかったと思います。
大詩人の言葉を借りて、「戦争の悲しみ」というテーマのもとに
編集してしまっては、かえってイラクの現実が見えなくなって
しまうのではないかと思います。
わたしは、谷川俊太郎氏の詩は好きだし、
イラクや中東の世界も大好きです。
だからこそ、このような中途半端な企画本は、正直言って残念です。
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