「ハナヤマタ」が完結した浜弓場双先生のおちフル3巻です。
【おちフル打ち切り…か!】
埼玉でのライブを無事に終えたフルーツタルトですが、打ち上げ後に利音から番組改編期の打ち切り危機を知らされるところから始まります。
第8回のレコーディングか第9回の打ち上げが視聴率0%を叩き出し、スポンサーも降りて大変な中、キャットプロ社長代理の小金 乙が持ち込んだ企画に乗ることでスポンサーである貫井家の援助を手に入れるため、喧嘩してしまっているはゆとはゆパパを仲直りさせるため、企画「リアルアイドル甲子園」に参加することになります。
…とまぁ、ストーリー自体は進んで行くわけなのですが3巻では多々引っかかるところがありました。
2巻までと3巻からはキャラクターが悪い意味で様変わりしてしまっています。
(4/27追記)これは後で分かったのですがアニメ化するんですね。そうなるとキャラクターの様変わりにもある程度、説明が付きます。
ハナヤマタもアニメ放送分の5巻までは青春部活系でアニメが終わった6巻から作者の趣味全開というテイストになったのでおちフルのアニメも2巻分+オリジナルと見てもいいかもしれません。2巻の埼玉ライブでちょうどいい区切りになりますし。
【5分間のミニ番組が背負わされた借金と無謀な企画】
そもそもたった「5分間」のミニ番組に何を背負わせてるんだ、という感じですが。作中ではちょいちょいと色んな理由でお金を使っていくのでなかなか減りません。個人のお金だと思いたいのですがホホがソシャゲに10万ぶっこんだりもしています。
漫画「おちこぼれフルーツタルト」は『5分間番組「おちこぼれフルーツタルト」を1年間深夜帯で放送して、それまでの間にネズミ荘取り壊しを防ぐための1億円を稼がないといけない』という設定があります。ただし、5分間は相当短いです。その例として日テレの日曜夜に放送されている『パワーフレーズ』を見ていただければ分かるかと(あれもスポンサー付きです)。スポンサーがいるということはCMも放送されているかもしれないわけです。しかも、撮影スタッフがホホ1人(これは1巻で説明されています)なので彼女がいないと撮影すらままなりません。
そして、中盤でアイドル甲子園予選敗退になり面々が1週間もの間、ネズミ荘に引きこもるという展開になるのですが、その時の放送はどうしたんでしょうか。「まさか、隔週だとか月一だとかってわけじゃあるまいし」と思い、1巻を読み直したら「毎週深夜」に放送しているとのことでした。尚更ダメなのでは。因みにホホはリリの家に転がり込んでヒモ生活をしていた、というオチでした。
会社からの連絡をガン無視して自堕落まみれの汚部屋に住み、尚且つライバルプロダクションの社長の手で更生する……これでも番組を打ち切りにしないラットプロは懐が深すぎます。悪い意味で。
【ニナ は ようじょ に もえだした !】
ニナは1巻から「匂いが好き」というキャラ付けをされていたのですが3巻では突然前振りも無くイノと一緒に涎を垂らしながら幼女に萌え出すという「突然、幼稚園児の女児に萌え出すが結局、何の展開にも繋げられなかった」ハナヤマタのマチを思い出させます。本当にアレは何だったんでしょうかね。特に乙がタルトの面々と初めて会った時のニナには軽くショックを受けました。「フライングで抱きしめたくなった」とかロコに対する態度もそんなんでしたっけ…
彼女の「匂いが好き」もポン、と出た設定ではありますが自然な流れで出ましたし、2巻のレコーディング回でも「レコーディングルームの匂いが気になって集中できなかった」と上手く使われてたのであまり気になりませんでした。
が、正直、今巻から出たニナの「幼女萌え」に関しては今後に繋がらないまま終わりそうで何とも言えません。むしろ3巻で終わってほしい限り。その幼女萌えがスキンシップ程度ではなく、涎を垂らしてガチで萌え出したり、「本物の幼女の香り!?」とかマチより悪化しているのがキャラ的に致命傷ですね。百歩以上譲ってニナに「幼女好き」という属性を付与するのであれば、遅くても2巻中盤までにその役割をさせるべきでした。「イノが砂糖吐きそうとコメントするぐらいロコに構っているんだから役割は果たしているのでは?」と思われそうですが3巻のニナは「見知らぬ幼女」に対して涎を垂らしていたので全く説得力がありません。
ついでに言ってしまえば3回目の東小金井ライブの際にイノも「幼女は世界を救うんです!」とか言い出したりするのでキャラ付けが今更大いに迷走してる感はあります。せめて、『私たちに憧れている子供たちのためにも頑張りましょう!』とかで良かったのではと思います。
イノは確かに「女の子が(友達的な意味で)好き」と明言しているキャラではありますが、ニナと一緒に幼女に対して涎を垂らして興奮して犯罪紛いの発言をして、アイドルを侍らすために芸能プロ社長になることを企むことでアイドル甲子園敗退のショックから立ち直る…とかそんなキャラでしたっけ…?と唖然としてしまいました。そんな状態で「お世話になった人のために東小金井でライブをやりたい!」と言われても「コイツなに綺麗ごと言ってるんだ」なのですが。ファンレターを男子生徒から貰ったと勘違いして「お嫁さんになるとかまだ考えてません…」とマジ照れしていたイノはどこに消えてしまったのでしょうか…
変装しているロコと乙を見てイノ「小学生の姉妹みたいで美味しそうですよね…」ニナ「わかる!」とか気持ち悪い通り越して可哀想としか言いようが無いです。特にニナは3巻の該当シーンに差し掛かるまで幼女に萌えることは一切ありませんでした。
【過度な変態描写は必要か】
百合というか単なる変態化といった方が早いのでしょうか3巻は全体的にそういったテイストが多めです。というより、これを百合と呼ぶのは本職の百合漫画家さん達に失礼なのでは…
へもやチコは多少ズレていますが元のキャラからして平常運転(結構脱線気味)かなとも思えるのですが、ぬあ・るあまでそういったキャラ変をするとは思いませんでした。るあはSっ気があるのでまぁ、百歩ぐらい譲ってそういう態度もあるかなと思いましたが、ぬあは2巻までの描写でロコへのあの行動は違和感ありありです。明らかなテンプレツンデレしたり、ロコが憧れのアイドルというのは2巻で確かに語られていましたがその憧れのアイドルに対して涎を垂らしたり、るあに縄で縛られて悶えるのはどうなんでしょう。自分が風呂に入っている姿を盗撮された時にはあんなに激怒していたのに。少なくともるあに邪険に扱われて悦に浸るキャラクターでは無かった気がします。
【キャラ変をすることによる弊害】
前述のニナ・イノもそうなのですが長期連載にあたって、特長を出すためにキャラ付け・キャラ変をする、というのは悪いことではないのでしょうが、ハナヤマタがそっちの路線(例:急にカップルみたいにイチャイチャしだすなるとマチ)に行ってからよさこい要素が一時的に消えたのを鑑みるとおちフルのキャラ変態化は個人的に悪手だと感じました。
利音も番組AD・タルトのファンというよりかは厄介オタクのような狂信者染みた行動が目立ち、2巻までちょっとズレてたけどフルーツタルトの見習いADとして働いていた彼女はどこに行ってしまったのでしょうか。
3巻中「まだ」まともだったのは、ロコとはゆぐらいで4巻以降ではどうなっているか不安しかありません。
ただ、きらフォワードに篭絡されるロコはその前の回で正体を知っているはずなのにされるがままになったのは少々納得行きませんが…
【アイドル甲子園とは…うごご】
3巻ではソシャゲのリアル版と称してファンからの投票でのし上がっていくという展開になるのですが、何しろ作中で登場しているアイドルが「フルーツタルト」と「クリームあんみつ」の2組だけで他のアイドルグループの「ア」の字もモブの「モ」の字も無いので「競い合っている感」がなかなか感じられません。
そんな感じで「フルーツタルトはアイドル甲子園を予選落ちしました」と言われてもやはりそこに「誰か」と競っている感というものは無く、それどころか敗者復活の「新人枠」獲得のために身内の力を借りて東小金井ライブであんみつと組む・あんみつの初のデイリー1位の歌を歌うという勝ち確を得る。そして敗者枠で本選出場…と、フルーツタルト・クリームあんみつ内で完結してしまっているのが「アイドル作品」としては相当痛いところです。最初のライブも場所は違えどあんみつとの「共演」ですし、埼玉ライブのCDもライバルプロダクションの社長である乙が1000枚中300枚買ったり、上述した東小金井ライブでも商店街からスピーカーを不注意で壊したらキャットプロが高級品を貸し出すなど誰かしらが関わってサポートしている形になってしまっているわけです。せめて敗者枠の獲得ぐらいはチコや乙の暗躍無しにフルーツタルト「だけ」で何とかしてもらいたかったものです。
そもそものスマホゲーム版アイドル甲子園にしてもレアリティNがオリジナルキャラでRから作中実在のアイドル、クリームあんみつが(恐らく最高の)SSSSRと言われても「まぁ、他に登場しているアイドルグループいないしそうなるしかないよな」というのがあります。これは言ってしまえば作中であんみつ以外にトップに立つ・近づいているアイドルグループが劇中に存在しないことの証左になっているわけです。
登場人物の名前がいろは歌から取られているので全部出すかといえば、多分それはないという感じでしょうか。単行本2ケタの超長期化あるいはアイドル甲子園本選になればそういったキャラクターたちが出てくるはず!…だと思いたいのですが仮に決勝まであるとしてもタルトVSあんみつでしょうし。
本作が仮に週刊連載モノで、いろは歌縛りがなかったのであったなら、他アイドルグループと交流しながら競い合っていくということもできたのでしょうが、これは月刊連載なので他に話を割くより…という点ではスムーズなのでしょうが何か違うような…
【もうそろそろ終わりそう?】
一応、本編はこのまま4巻に続くみたいですが3巻の最後の話で綺麗に終わりそうだったので少々油断してしまいました。
2巻で利音が乙にアイドルとして誘われたのですが3巻では特に動きはありませんでした。4巻で何かあるんでしょうか…
借金問題も貫井家の直接スポンサーで解決しそうな感がありますし。
もし、作品が続くのであれば「リアルアイドル甲子園編」が終わった後も勢いを「4コマ漫画としての面白さで」キープできるのか不安なところがあります。
「プラス要素」の部分(この場合は「変態」)が強くなりすぎるとグダグダになってしまうので本筋の要素である「アイドルモノ」から反れないようにしていただきたいです。
【最後に】
思わぬ急展開から始まった3巻ですがきちんとアイドルモノとして完結できるのか気になるところです。
一応、最終巻まではハナヤマタ同様に付き合う覚悟ではありますが4巻の展開次第ではギブアップしてしまいそうです。
【余談】
あとこれは本当に細かいことなのですがイノがニナのことを「ニナさん」と呼ぶのは明らかに間違いなのでは(「ニナ先輩」のはず)。
アニメの子供向けイベントで中の人(この場合は声優)を紹介するとか正気かって思いましたがどうなんでしょう。アンパンマンのショーでアンパンマンの着ぐるみ出さずに戸田恵子さん呼ぶようなもんですよ。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
