著者は岩波新書「囲碁の世界」を読んで知っていたが、大和言葉の世界でも「いろはうた」など、造詣のある方だと改めて知った。
さらに、自ら「いろはうた」をたくさん考え出すなど、囲碁の詰めの世界にも通じるものなのかと大変面白く読んだ。
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いろは歌 大和言葉の奇蹟―囲碁いろは百吟 ペーパーバック – 2017/11/24
中山典之
(著)
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「色は匂へど散りぬるを…」で知られる「いろは歌」は、日本語の四十七文字を重複する事なく組みいれた七五調の歌として、千年以上の長きにわたり世界に冠たる日本の文化財でありつづけた。この四十七文字歌を新しく作ろうとした人は、千年以上の間に三十人ほどいたが、本書の著者はプロの囲碁棋士でありながら、生涯に千首以上のいろは歌を作った。本書収載の國語問題協議會での講演「實踐いろは歌」では、「どうすれば出来るか、こんな面白いものはない」とだれにでも作れるものとし、大和言葉の魅力を学校で教えることを勧めている。国語に深い関心があれば、学識豊かな著者の「いろは歌」に魅せられるだろうし、また囲碁好きの方は「囲碁いろは」が楽しめるであろう。さらに裏表紙にあるシチョウ(あたりの連続で最後には石をとられてしまう)を使って最終図形を描く著者創案の珍瓏(ちんろう:ハート型)には誰もが感嘆するだろう。著者略歴 昭和7年(1932)長野県生まれ、旧制上田中学校で飯島忠夫講師に漢文を学び、上田松尾高校(現上田高校)を卒業。上京して流浪。昭和37年(1962)日本棋院プロ棋士初段に合格。昭和57年(1982)海外への囲碁普及活動を始め、海外の弟子は約二千人に及ぶ。平成4年(1992)六段に進む。平成5年(1993)囲碁を材料とした四十八字歌を作り始める。平成22年(2010) 逝去 ・主な著書に『囲碁の世界』(岩波新書)、『完本実録囲碁講談』(岩波現代文庫)、『碁狂ものがたり』(日本棋院)、『囲碁の魅力』(三一書房)、『圍爐端歌百吟』(芸艸堂)などがある。囲碁ライターとしても活躍。目次 はしがき 序章 いろは歌の周邊 第一章 同じ文字なき圍碁を詠める四十八字歌を いろは順に竝べし四十八首ひとめぐり 第二章 大和言葉に魅せられて 第三章 圍碁以外の四十八字歌 第四章 實踐「いろは歌」一千首<講演録>
- 本の長さ166ページ
- 言語日本語
- 出版社文字文化協會
- 発売日2017/11/24
- 寸法14.81 x 1.07 x 21.01 cm
- ISBN-104990531264
- ISBN-13978-4990531263
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登録情報
- 出版社 : 文字文化協會 (2017/11/24)
- 発売日 : 2017/11/24
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 166ページ
- ISBN-10 : 4990531264
- ISBN-13 : 978-4990531263
- 寸法 : 14.81 x 1.07 x 21.01 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,373,269位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 4,146位古典文学 (本)
- カスタマーレビュー:
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2018年1月19日に日本でレビュー済み
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2017年11月28日に日本でレビュー済み
「色は匂へど散りぬるを…」で知られる「いろは歌」は、日本語の四十七文字を重複することなく組み入れた七五調の歌として、千年以上の長きにわたり世界に冠たる日本の文化財であり続けた。この四十七文字歌を新しく作ろうとした人は、千年以上の間に三十人ほどいたが、本書の著者中山典之氏は囲碁のプロ棋士ながら、驚くべきことに生涯に千首以上ものいろは歌を作った。
本書は平成11年11月に発行された氏の著書『圍爐端歌百吟』を復刻するとともに、平成18年5月13日 、國語問題協議會の春季講演會で行われた『實踐「いろは歌」一千首』と題する氏の講演を収載したものである。国語に深い関心があれば、学識豊かな著者の「いろは歌」に魅せられるだろうし、また囲碁好きの方は「囲碁いろは」が楽しめるであろう。さらに裏表紙にあるシチョウ(あたりの連続で最後には石をとられてしまう)を使って最終図形を描く著者創案の「珍瓏(ちんろう):ハート型」には誰もが感嘆するだろう。
本書収載の國語問題協議會での講演では、氏は宇野精一先生(当時の同協議会会長、国語学者)の話を紹介し、その話に出て来たイギリスのブリタニカ百科事典のアルファベットの項目について語っている。世界に百の国があれば百の言語がある。民族が百あれば百のアルファベットがある。しかし、そのアルファベットが美しい歌で綴られているのは日本だけであると。「いろは歌」というのは世界に冠たる日本の財産である。イギリスにも「ABCD、EFG」という歌は有るには有るが、単なるメロディー。日本の方は、
色は匂(にほ)へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ
有爲(うゐ)の奥山けふ越えて 淺き夢みじ酔(ゑ)ひもせず
と、立派な歌になっている。氏はさらに宇野先生の話も交えながら、GHQが「ゐ」や「ゑ」を死刑にしてしまったから「いろは歌」が廃れてしまったこと、「いろは歌」は弘法大師作と錯覚しているが今から千年ぐらい前の詠み入知らずの名歌であること、宇野先生が東大生に「いろは歌」を書かせたところ完全に書けた人がたった三分の一だったこと等語っている。「いろは歌」は全ての仮名を一度しか使わずに、意味のある歌になっていて、しかも七五調になっていることを要求されるので、これを作るのは大変に難しい。講演の中で「いろは歌」を作る秘訣を二三挙げている。一番目は和歌俳句、そういう日本古来の七五調に親しむべきこと、これは「いろは歌」を作るための絶対条件とのこと。二番目は漢字に親しんで漢文を学ぶこと。漢文というのはボキャブラリーが豊富で、日本語で一瞬のうちに凝縮したような素晴しい表現がある。講演の内容は多岐にわたっている。
中山典之氏は日本棋院東京本院所属のプロ棋士で昭和七年生れの長野県上田市出身。鈴木五良八段に入門し、平成4年に六段に昇進。アマチュア出身で入段が遅く、タイトル戦などには縁がなかったが、文才に長け、『実録囲碁講談』『囲碁の世界』など囲碁界に関する多数の著作がある。平成22年2月、脳梗塞により77歳で死去。七段を追贈されている。
本書の構成は序章、第一章、第二章、第三章、第四章(『實踐「いろは歌」一千首』講演録)からなり、序章では「いろは歌」の蘊蓄を大いに語ってゐる。例えば「いろは歌」よりも古い時代にも四十七音または四十八音の歌を試みた例もあり、『阿女都千詞歌』は「あめ、つち、ほし、・・・・」と四十八音全て備えているが歌と言うより用語集である。これには「え」の文字が二度出てくるが、あ行のEとや行のYEであり、四十七字歌の「いろは歌」より古い証明になる、等と著者の造詣の深さが分かる。弘法太師が生きていた頃の古書によると幼児が「あめつちのことば」を手習いしたとは書いてあっても「いろは歌」を手習いしたとは一度も書いてなく、「いろは歌」は弘法太師の作に非ずとの証明になる。明治になって黒岩涙香が主宰する新聞社「萬朝報」が公募して最優秀になった作品も有名だが、著者は「いろは歌」に比べて名歌とは言えないと言う。
鷄(とり)啼(な)く聲(こゑ)す 夢さませ 見よ明け渡る 東(ひんがし)を
空色榮(は)えて 沖つ邊(へ)に 帆船(ほふね)群れ居(ゐ)ぬ 靄(もや)の中(うち)
第一章では囲碁のことを詠んだ「同じ文字を一度しか使わない」四十八字歌を四十八首載せている。しかも最初の文字が同じものがなくいろは順にならべてある。著者はこの種の歌を数年の間に既に一千余首作っていて、その中から百首選んで載せている。歌の下段に歌に因んだ短い隨筆も載せているのが楽しい。評者も囲碁をいささか嗜むので、興味深く読めた。例えば碁を打つ人には呆け老人がいないので呆け対策になるとか、「二目の頭 見ずはねよ」とは有名な囲碁の格言だが念には念を入れて十秒ほど考えてから打つ等。第二章にも更に四十八首の囲碁いろは歌(二)が掲載されている。
第三章には囲碁以外の四十八字歌が掲載されている。第九十七番の「新いろは歌」は名作だ。平安の「いろは歌」が荘重難解とすれば、この「平成いろは歌」は軽快平明だ。「この歌が古歌に優っているのは文法上の誤りがないことだ」と著者は自慢している。因みに「いろは歌」の「わかよたれそ」の「そ」は文法的に間違っていて、正しくは「か」でなければならないが、格調の高さと流れるような名調子が欠点を補っている。
色は空(くう)なり すべて無爲(むゐ) 常に非(あら)ざる 世を侘(わ)びぬ
み佛まかせ 稚兒(ちご)の夢 重き縁(えん)知れ 誰(た)そや醉(ゑ)ふ
第百番の「擬 琵琶湖周航歌」も秀逸である。三高の寮歌を想いつつ作った歌で、三高の卒業生の集りで講演した時に披露したところOBたちは大喜びしたとのこと。
我も海より さすらひて 艪(ろ)を任せ居(ゐ)ぬ 沖つ潮(しほ)
笛の音(ね)夢幻(むげん) 誰(た)そや漕(こ)ぐ 花散るゆゑに 雨いとへ
本書は平成11年11月に発行された氏の著書『圍爐端歌百吟』を復刻するとともに、平成18年5月13日 、國語問題協議會の春季講演會で行われた『實踐「いろは歌」一千首』と題する氏の講演を収載したものである。国語に深い関心があれば、学識豊かな著者の「いろは歌」に魅せられるだろうし、また囲碁好きの方は「囲碁いろは」が楽しめるであろう。さらに裏表紙にあるシチョウ(あたりの連続で最後には石をとられてしまう)を使って最終図形を描く著者創案の「珍瓏(ちんろう):ハート型」には誰もが感嘆するだろう。
本書収載の國語問題協議會での講演では、氏は宇野精一先生(当時の同協議会会長、国語学者)の話を紹介し、その話に出て来たイギリスのブリタニカ百科事典のアルファベットの項目について語っている。世界に百の国があれば百の言語がある。民族が百あれば百のアルファベットがある。しかし、そのアルファベットが美しい歌で綴られているのは日本だけであると。「いろは歌」というのは世界に冠たる日本の財産である。イギリスにも「ABCD、EFG」という歌は有るには有るが、単なるメロディー。日本の方は、
色は匂(にほ)へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ
有爲(うゐ)の奥山けふ越えて 淺き夢みじ酔(ゑ)ひもせず
と、立派な歌になっている。氏はさらに宇野先生の話も交えながら、GHQが「ゐ」や「ゑ」を死刑にしてしまったから「いろは歌」が廃れてしまったこと、「いろは歌」は弘法大師作と錯覚しているが今から千年ぐらい前の詠み入知らずの名歌であること、宇野先生が東大生に「いろは歌」を書かせたところ完全に書けた人がたった三分の一だったこと等語っている。「いろは歌」は全ての仮名を一度しか使わずに、意味のある歌になっていて、しかも七五調になっていることを要求されるので、これを作るのは大変に難しい。講演の中で「いろは歌」を作る秘訣を二三挙げている。一番目は和歌俳句、そういう日本古来の七五調に親しむべきこと、これは「いろは歌」を作るための絶対条件とのこと。二番目は漢字に親しんで漢文を学ぶこと。漢文というのはボキャブラリーが豊富で、日本語で一瞬のうちに凝縮したような素晴しい表現がある。講演の内容は多岐にわたっている。
中山典之氏は日本棋院東京本院所属のプロ棋士で昭和七年生れの長野県上田市出身。鈴木五良八段に入門し、平成4年に六段に昇進。アマチュア出身で入段が遅く、タイトル戦などには縁がなかったが、文才に長け、『実録囲碁講談』『囲碁の世界』など囲碁界に関する多数の著作がある。平成22年2月、脳梗塞により77歳で死去。七段を追贈されている。
本書の構成は序章、第一章、第二章、第三章、第四章(『實踐「いろは歌」一千首』講演録)からなり、序章では「いろは歌」の蘊蓄を大いに語ってゐる。例えば「いろは歌」よりも古い時代にも四十七音または四十八音の歌を試みた例もあり、『阿女都千詞歌』は「あめ、つち、ほし、・・・・」と四十八音全て備えているが歌と言うより用語集である。これには「え」の文字が二度出てくるが、あ行のEとや行のYEであり、四十七字歌の「いろは歌」より古い証明になる、等と著者の造詣の深さが分かる。弘法太師が生きていた頃の古書によると幼児が「あめつちのことば」を手習いしたとは書いてあっても「いろは歌」を手習いしたとは一度も書いてなく、「いろは歌」は弘法太師の作に非ずとの証明になる。明治になって黒岩涙香が主宰する新聞社「萬朝報」が公募して最優秀になった作品も有名だが、著者は「いろは歌」に比べて名歌とは言えないと言う。
鷄(とり)啼(な)く聲(こゑ)す 夢さませ 見よ明け渡る 東(ひんがし)を
空色榮(は)えて 沖つ邊(へ)に 帆船(ほふね)群れ居(ゐ)ぬ 靄(もや)の中(うち)
第一章では囲碁のことを詠んだ「同じ文字を一度しか使わない」四十八字歌を四十八首載せている。しかも最初の文字が同じものがなくいろは順にならべてある。著者はこの種の歌を数年の間に既に一千余首作っていて、その中から百首選んで載せている。歌の下段に歌に因んだ短い隨筆も載せているのが楽しい。評者も囲碁をいささか嗜むので、興味深く読めた。例えば碁を打つ人には呆け老人がいないので呆け対策になるとか、「二目の頭 見ずはねよ」とは有名な囲碁の格言だが念には念を入れて十秒ほど考えてから打つ等。第二章にも更に四十八首の囲碁いろは歌(二)が掲載されている。
第三章には囲碁以外の四十八字歌が掲載されている。第九十七番の「新いろは歌」は名作だ。平安の「いろは歌」が荘重難解とすれば、この「平成いろは歌」は軽快平明だ。「この歌が古歌に優っているのは文法上の誤りがないことだ」と著者は自慢している。因みに「いろは歌」の「わかよたれそ」の「そ」は文法的に間違っていて、正しくは「か」でなければならないが、格調の高さと流れるような名調子が欠点を補っている。
色は空(くう)なり すべて無爲(むゐ) 常に非(あら)ざる 世を侘(わ)びぬ
み佛まかせ 稚兒(ちご)の夢 重き縁(えん)知れ 誰(た)そや醉(ゑ)ふ
第百番の「擬 琵琶湖周航歌」も秀逸である。三高の寮歌を想いつつ作った歌で、三高の卒業生の集りで講演した時に披露したところOBたちは大喜びしたとのこと。
我も海より さすらひて 艪(ろ)を任せ居(ゐ)ぬ 沖つ潮(しほ)
笛の音(ね)夢幻(むげん) 誰(た)そや漕(こ)ぐ 花散るゆゑに 雨いとへ