冒頭から、「いのち」について、自分の奥深い深い場所に陽がさしていくような感覚になる。
自分の中にある「細胞」や「いのち」と、知らずのうちに対話しているような温かみさえ感じ。日本の西洋医学の最高峰ともいえる東大医師が書いている著書とは思えない、西洋医学とは全く別の視点を持った素晴らしい著書である。
「いのちの力」、「健康という全体性を取り戻す」ことについて伝統医学や芸術から捉えているアプローチは、真に「いのち」とは何なのかを、深く考えさせられる。
特に、第三章の「医療と芸術」の中の「アール・ブリュット」の世界については、人間本来の母胎となる「いのち」の究極の感性ではないかと、何度も読み返した。
現代社会で失いつつあるこの心の深い層にこそ、人間が原始の自然の中で生きた時代に持っていた魂の感性が宿っているのではないかと思う。
著者の「いのち」に対する愛情が伝わってくる本当に素晴らしい内容であり、いま、今日の社会にこそ即座に必要となる本ではないかと思う。
抜粋
現代は、外向きの社会的な自分と、「いのち」を司る内なる自分とが分断されようとしている時代だ。多くの人は、外の世界に向けた自分をコントロールすることに明け暮れている。
・・・
なぜなら外へ外へと視点が向きすぎると、自分自身の内側とどんどん離れていくことが多く、自分自身との繋がりを失うと他者との繋がりは空疎で実態のないものになるからだ。
見るべき世界は外側だけではなく、自分自身の内側にもある。自分自身は、外ではなく、
常に「ここ」にいるからだ。
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