ピリオド楽器ならではの語りかけるようなフレージングが、原曲のテキストの抑揚とメロディーの輪郭にうまく寄り添う。曲によっては(たとえば「オットーネ」)、旋律の骨格を“器楽的”に敷衍(ふえん)した即興性豊かなパッセージが配され、もともと合奏協奏曲風に書かれた伴奏声部との応答がひときわコンチェルタンテな趣を強めたりもする。と、まあこんな具合に、バロック期の音楽に基づくアレンジをバロック期の楽器を手にした21世紀の音楽家が実に真っ当な態度で演奏してのける。面白い時代になったものだと思いませんか?(木幡一誠)