以前から読みたいと思っていたら、文庫化していたので購入。
こんなことを言っては不謹慎だが、本当に面白いノンフィクション。文章も上手いし、よく取材しているのが分かる。中盤以降はスリリングな犯罪小説を読んでいるみたいで、ミステリ要素もありノンフィクションとは思えない出来だ。
被害者の利恵さんは私と同世代で、大学~社会人になるあたりの苦悩が私のそれと一致している、いわゆるロストジェネレーションである。30を過ぎて囲碁を始めようとするのも共感できる。著者の筆力のせいもあり、読んでいて苦しくてたまらなくなった。
この作品は完全に被害者目線であり、加害者の視点が抜けている。そこに疑問を持つ方、違和感を持つ方もおられるだろう。しかしこの作品のテーマは「被害者感情を理解することがいかに難しいか」であるのでそこは論ずるべきではないように思う。
利恵さんが大好きだったGLAYを久々に聴いてみた。20代の頃、苦悩した日々を思い出した。
内容紹介
2007年8月24日、深夜。名古屋の高級住宅街の一角に、一台の車が停まった。車内にいた3人の男は、帰宅中の磯谷利恵に道を聞く素振りで近づき、拉致、監禁、そして殺害。非道を働いた男たちは三日前、携帯電話の闇サイト「闇の職業安定所」を介して顔を合わせたばかりだった。車内で脅され、体を震わせながらも悪に対して毅然とした態度を示した利恵。彼女は命を賭して何を守ろうとし、何を遺したのか。「2960」の意味とは。利恵の生涯に寄り添いながら事件に迫る、慟哭のノンフィクション。
内容(「BOOK」データベースより)
2007年8月24日、深夜。名古屋の高級住宅街の一角に1台の車が停まった。車内にいた3人の男は帰宅中の磯谷利恵に道を聞く素振りで近づき、拉致、監禁、そして殺害。非道を働いた男たちは3日前、闇サイト「闇の職業安定所」を介して顔を合わせたばかりだった。車内で脅されながらも悪に対して毅然とした態度を示した利恵。彼女は何を守ろうとし、何を遺したのか。利恵の生涯に寄り添いながら事件に迫る、慟哭のノンフィクション。