いい歳したオッサンです(笑)
かつての若人が外に向けて発散していたエネルギーを、規制だマナーだモラルだ、と同じだけの熱量で内側に向けざるを得なかった今の人たちの、閉塞感と孤独感と厭世観と自身への皮肉を、美しい旋律と疾走感、そして意外なポップさで表現するAmazarashiが好きでした。
今作を購入する際にAmazonのレビューを見て、「変わった」との意見が多かったので、少し不安を抱きながら楽曲を聞きました。確かに変わったと思います。「終わりで始まり」は特に顕著だと思います。
秋田ひろむがどんな気持ちで今作を作成したか、理解しようもありません。でも、たとえば何日も引きこもって、この六畳間が世界の全てだと思い込んでた自分が、ふとした切っ掛けで玄関を開けて目に飛び込んだ意外な眩しさに、ああこの世界も悪くないじゃないか、と思った瞬間の気持ち、その気持ちで歌ったのが今作に収録された「終わりで始まり」なのではと感じました。
そう考えてから、今作全体に「悪くないじゃないか」という、自分と世間への「許し」を感じるようになり、いい歳して不覚にも涙してしまいました。心根は変わらないし、変えられないと思います。でも、世界と自分への心の許容量は変えられると思います。
もしこの作品に、アイツらは変わったよ、もう駄目だ、という思いがあるのであれば、その気持ちを許してあげて下さい。Amazarashiもあなたも、誰も悪くないです。そうすればきっと「悪くないじゃないか」という気持ちで、この作品を受け入れられると思います。
今では、今作がAmazarashiで一番好きな作品です。