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あの頃映画 有りがたうさん [DVD]
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登録情報
- アスペクト比 : 1.33:1
- Is Discontinued By Manufacturer : いいえ
- 言語: : 日本語
- 製品サイズ : 25 x 2.2 x 18 cm; 83.16 g
- EAN : 4988105066526
- 監督 : 清水宏
- メディア形式 : ブラック&ホワイト, ドルビー, モノ, 字幕付き
- 時間 : 1 時間 18 分
- 発売日 : 2013/5/29
- 出演 : 上原謙, 桑野通子, 築地まゆみ, 二葉かほる, 忍節子
- 字幕: : 日本語, 英語
- 言語 : 日本語 (Mono)
- 販売元 : 松竹
- ASIN : B00BKRBAE2
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 34,603位DVD (の売れ筋ランキングを見るDVD)
- カスタマーレビュー:
商品の説明
内容紹介
小津安二郎や溝口健二という名立たる名匠をして“天才"と言わしめた清水宏監督の作品が、 お得な価格で再登場!
川端康成の原作を清水宏監督が独特な演出力で映画化。
“有りがたうさん"と呼ばれ愛されるバス運転手と乗客たちとの触れ合いと、その道中で繰り広げられる人間模様を、伊豆の自然美を背景に描く。
当時の日本映画界では画期的であった全編ロケーションでの撮影を敢行、日本の原風景をそのままに映し出した。
名優・上原謙(加山雄三の父)の主演デビュー作。
<ストーリー>南伊豆のとある港町。一台の乗り合いバスが待合室の前に止まっている。美しい娘を連れた老母が乗り込み、淋しそうに運転手に言う。「有りがとうさんに乗せて行って貰うなら、この娘も幸せです…」。貧しい老母は遠くの町に娘を売りに行くのだ。そして、いわくありげな黒襟の娼婦、娘を鄙猥な目つきで見る保険の勧誘員らを乗せてバスが走り出す。時折、娘の視線が運転手の背中に止まる。娘は以前から運転手に好意を寄せていた。
バスが馬車に追いつくと、道端に寄った馬車の横を「有難う」と運転手が窓から顔を出しながらすり抜ける。また、荷車が横に寄る。「有難う」。だから人々はこの丁寧な運転手を“有りがたうさん"と呼ぶ。
バスは様々な人生を乗せ、様々な人生とすれ違って走っていく・・・。
★バリアフリー再生機能つき(日本語・英語字幕)
★HDテレシネ、画像修復を施したニューマスターを使用!
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
小津安二郎らと並び、戦前より松竹大船人情劇の基礎を築いた巨匠・清水宏監督の人情ドラマ。“有りがたうさん”と呼ばれて親しまれているバス運転手と乗客や行き交う人々との触れ合いを、自然の写実的描写を背景に心温まるユーモアを交えて描く。
内容(「Oricon」データベースより)
小津安二郎や溝口健二という名立たる名匠をして“天才”と言わしめた清水宏監督の「有りがたうさん」が遂にDVD化。“有りがたうさん”と呼ばれるバスの運転手と乗客たちとの触れ合い、道中で繰り広げられる人間模様を描いた異色のロードムービー。
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
星5つ中の4.4
17 件のグローバル評価
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年8月22日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
伊豆の路線バスの運転手と乗客との交流と街道を歩く人たちとのふれあいを描いた「駅馬車」型の作品。川端康成の小説にほれ込んだ「按摩と女」「花ある雑草」などの清水宏監督が映画化。昭和11年松竹蒲田作品。全編オールロケで撮られた本作品は、当時話題となった。
主人公の青年運転手(上原謙)は前方に歩いている人がいると、警笛を鳴らし、道を譲ってくれた人に「有りがたう」と声をかける。その丁寧さ優しさに対し、彼を知る人たちは親しみをこめて「有りがたうさん」と呼ぶ。
始発の下田から東京へ売られる七軒町の娘(築地まゆみ)とその母(二葉かほる)、有りがたうさんをお目当てに次の盛り場に向かう黒襟の女(桑野通子)らが乗る。有りがたうさんにドラマ的に絡む乗客は、この哀れな娘と勝気な黒襟の女だけである。意外とシンプルな人物関係である。
路線バスなので、乗客は行商人など何らかの用事のある人たちである。なので、本来の意味での旅を目的とする人たちではない。東京へ売られる娘などは、河津の停車場で行き違った顔見知りの父娘から東京でターキーを観てきたなどと楽しそうに話しかけられる。本当のことは言えず、辛い思いをする。およそ旅とはかけ離れた車中の人である。しかしながら、登場人物にとって旅をしている意識はなくても、観ている方は旅を感じるのである。車中での旅を感じる代表的な場面は、娘の母親がようかんを他の乗客におすそ分けする場面、その意趣返しに黒襟の女が男衆にウィスキーをふるまい、小宴会が始まる場面である。髭の紳士と黒襟の女とのユーモラスなやりとりもおもしろく、広い意味での旅情を感じる。ここが本作品の得難い魅力の一つである。
配役を見ればわかる通り、画面に映るほぼ全員の名前がクレジットされており、バスの乗客ばかりではなく、カメラは、街道を歩く人たちに接近し、バスが通り過ぎた後も、遠ざかっていく人達の姿を捉える。これは、歩行者に丁寧に接する有りがたうさんの視点でもある。籠を背負った農家の娘たち、馬車のおじさん、失業して帰ってきた家族、ピクニックの二人連れ、旅芸人、朝鮮人の道路工夫の一団など様々である。また、有りがたうさんに頼み事をする人たちやバスに乗り降りする人も描かれる。いづれも点描といえるのだが、有りがたうさんの人柄を反映するかのように、田舎の人たちの素朴な人情、ユーモア、悲しみ、その人たちの生活や営みやその背景なども感じられ、誠に奥行きがある。
有りがたうさん、哀れな娘、黒襟の女との交情も淡く軽いタッチで描かれているので、想像する余地があり、また、清水宏監督らしく筋らしい筋はなく、筋とは関係のない自然なスケッチ的魅力が頗る味わい深い。登場人物が多いわりに余白を感じる作品で、詩情を感じさせられる。
路線バスは下田から河津の湯ケ野、天城峠を越えて湯ヶ島という「伊豆の踊子」とは逆コースである。街道を走るバスと風景のロングショット、バスの側からの移動撮影の風景も大きな魅力である。今は見ることのできない道路、風景や建物などは貴重だけれども、例えば、下田の港の背後にやさしく横たわる城山などは、今もその姿は変わらず、感慨深い。
髭の紳士が事あるごとに自分の髭を確認してなでる様は、「駅馬車」のバートン・チャーチルが大事そうに鞄を抱えている姿を 連想しました。
主人公の青年運転手(上原謙)は前方に歩いている人がいると、警笛を鳴らし、道を譲ってくれた人に「有りがたう」と声をかける。その丁寧さ優しさに対し、彼を知る人たちは親しみをこめて「有りがたうさん」と呼ぶ。
始発の下田から東京へ売られる七軒町の娘(築地まゆみ)とその母(二葉かほる)、有りがたうさんをお目当てに次の盛り場に向かう黒襟の女(桑野通子)らが乗る。有りがたうさんにドラマ的に絡む乗客は、この哀れな娘と勝気な黒襟の女だけである。意外とシンプルな人物関係である。
路線バスなので、乗客は行商人など何らかの用事のある人たちである。なので、本来の意味での旅を目的とする人たちではない。東京へ売られる娘などは、河津の停車場で行き違った顔見知りの父娘から東京でターキーを観てきたなどと楽しそうに話しかけられる。本当のことは言えず、辛い思いをする。およそ旅とはかけ離れた車中の人である。しかしながら、登場人物にとって旅をしている意識はなくても、観ている方は旅を感じるのである。車中での旅を感じる代表的な場面は、娘の母親がようかんを他の乗客におすそ分けする場面、その意趣返しに黒襟の女が男衆にウィスキーをふるまい、小宴会が始まる場面である。髭の紳士と黒襟の女とのユーモラスなやりとりもおもしろく、広い意味での旅情を感じる。ここが本作品の得難い魅力の一つである。
配役を見ればわかる通り、画面に映るほぼ全員の名前がクレジットされており、バスの乗客ばかりではなく、カメラは、街道を歩く人たちに接近し、バスが通り過ぎた後も、遠ざかっていく人達の姿を捉える。これは、歩行者に丁寧に接する有りがたうさんの視点でもある。籠を背負った農家の娘たち、馬車のおじさん、失業して帰ってきた家族、ピクニックの二人連れ、旅芸人、朝鮮人の道路工夫の一団など様々である。また、有りがたうさんに頼み事をする人たちやバスに乗り降りする人も描かれる。いづれも点描といえるのだが、有りがたうさんの人柄を反映するかのように、田舎の人たちの素朴な人情、ユーモア、悲しみ、その人たちの生活や営みやその背景なども感じられ、誠に奥行きがある。
有りがたうさん、哀れな娘、黒襟の女との交情も淡く軽いタッチで描かれているので、想像する余地があり、また、清水宏監督らしく筋らしい筋はなく、筋とは関係のない自然なスケッチ的魅力が頗る味わい深い。登場人物が多いわりに余白を感じる作品で、詩情を感じさせられる。
路線バスは下田から河津の湯ケ野、天城峠を越えて湯ヶ島という「伊豆の踊子」とは逆コースである。街道を走るバスと風景のロングショット、バスの側からの移動撮影の風景も大きな魅力である。今は見ることのできない道路、風景や建物などは貴重だけれども、例えば、下田の港の背後にやさしく横たわる城山などは、今もその姿は変わらず、感慨深い。
髭の紳士が事あるごとに自分の髭を確認してなでる様は、「駅馬車」のバートン・チャーチルが大事そうに鞄を抱えている姿を 連想しました。
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2020年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
たまたま同じバスに乗り合わせた人々の様々な人生の一端を描くロードムービー。
やたらとゆっくりなセリフ回し(おそらく意図的だろうが)と、「ありがとう」の繰り返しがくどいのが少々気になるが、独特な味わいがある。
喜劇的な側面と悲劇的な側面をそつなく織り交ぜながら物語は進んでいくが、決してエネルギッシュに人間の業を描くのではない。
かといって、淡泊なわけではない。
料理でいえば、ちょっと薄口かなと思いながらも、じわじわとコクが感じられてくるといった味わい。
ほとんどバスの車内で展開するので、上映時間76分と短めなのも適切。
鑑賞後、しみじみとした鑑賞に浸れる好編です。
やたらとゆっくりなセリフ回し(おそらく意図的だろうが)と、「ありがとう」の繰り返しがくどいのが少々気になるが、独特な味わいがある。
喜劇的な側面と悲劇的な側面をそつなく織り交ぜながら物語は進んでいくが、決してエネルギッシュに人間の業を描くのではない。
かといって、淡泊なわけではない。
料理でいえば、ちょっと薄口かなと思いながらも、じわじわとコクが感じられてくるといった味わい。
ほとんどバスの車内で展開するので、上映時間76分と短めなのも適切。
鑑賞後、しみじみとした鑑賞に浸れる好編です。
2008年6月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
長い間観たい観たいと思っていた作品でした。 公開されたのが1936年2月27日と表記されており、あの2・26事件の翌日―ということになります。 ある一日のバス旅行の行程を描いた作品なのですが、そういった時代の世相が巧みに織り込まれています。 すでに日本で強制労働に従事していた朝鮮人の一行まで出てくるという先見性には驚かされます。 オール・ロケーションという当時では型破りのスタイルで撮影された作品で、伊豆の農村や漁村の情景がきちんとカメラに収められています。 当時のその様な映像と言うのは恐らく他にはないはずで、社会資料的な価値も高いのではないでしょうか。 ストーリーらしいストーリーというのはないのですが、それでもラストのどんでん返し(?)が微笑ましいと思うのです。 観終わってなぜかチョット幸せな気持ちになるーこれこそ清水マジックなのでしょう。 小粋な桑野通子姉さんもいいですね。
72年も前の作品なのですが、映像も音声もクリアーで問題ありません。 これより新しい作品で、雨だれ入りまくり・音声ボロボロの作品もたくさんあることを考えれば、この保存状態は奇跡的と言えるかもしれません。 ボックスセットと同時に単品発売というのも良心的だと思います。 なにしろ山あり谷あり、というドラマツルギーを排除した、しかもそうとう昔の作品なので全ての人にお薦めは出来ませんが、清水ファンや、この時代の日本映画に興味のある方ならこれを見逃す手はないでしょう。
72年も前の作品なのですが、映像も音声もクリアーで問題ありません。 これより新しい作品で、雨だれ入りまくり・音声ボロボロの作品もたくさんあることを考えれば、この保存状態は奇跡的と言えるかもしれません。 ボックスセットと同時に単品発売というのも良心的だと思います。 なにしろ山あり谷あり、というドラマツルギーを排除した、しかもそうとう昔の作品なので全ての人にお薦めは出来ませんが、清水ファンや、この時代の日本映画に興味のある方ならこれを見逃す手はないでしょう。
2016年12月24日に日本でレビュー済み
伊豆半島の山間部の街道を往復する乗り合いバスの運転手(上原謙)は、道を行く人たちに道を譲ってもらう度に、「ありがとう」と声をかけることから、「ありがとうさん」と呼ばれている。そんなある日、彼は、数人の乗客を乗せ、2つの峠を越えて汽車の駅まで送ることになり…。
川端康成原作の『有難う』を清水宏監督が映画化したロード・ムービーの傑作。劇場公開は、1936年2月27日。
川端康成の原作小説は(『 掌の小説 』P95)、ほんの4頁ほどのもので、大きなプロットもなく、ほとんど、随筆に近いようなスケッチ的な小品。これだけ、大きなドラマやプロットがない小説を映画の原作に選ぶことは、普通の監督ではありえないのだが、清水監督は違う。作為的なドラマを嫌う清水監督にとっては、映画の題材として、その余計な装飾のないの小説が、恰好のものに思われたのだろう(清水監督が意識していたかは別として、川端康成原作という、興行的な価値も加わるわけだ)。
伊豆半島の山間部から駅まで向う乗り合いバスの道中を描いた―ただ、それだけの作品と言っても過言ではない。それ以上でもそれ以下でもない。これで、映画として成り立つのかと心配にすらなってしまうのだが、清水監督の手にかかると、ロケーション撮影の美しさを生かした素朴極まりない、緩やかなテンポと大らかな雰囲気の何とも瑞々しい作品になってしまうのだ。
同じ年に生まれ、松竹での同僚でもあった小津安二郎監督ほど、徹底して俳優を操り人形のように使うということはないながらも、それでも、感情を込めた作為的な演技を極力避ける清水監督らしく、俳優たちの演技に抑制を効かせ(清水監督の演出時の口グセが、「ハイ気持ちなーし!」なのはあまりにも有名だろう)、過剰なドラマを無理矢理作りあげるようなことはしていない。乗り合いバスということもあり、それぞれの乗客や道中で出遭う人々が、各々の人生のドラマを背負ってはいるのだが(軸となるのは、原作と同じく、東京に奉公に出る娘の話)、あえて、それを引き出して敷衍しようとはせずに(登場人物には、明確な役名もない)、淡々と話を進めて行くのが、清水監督の余白、語らぬ演出の美学といったところだろう。ドラマとは作るものではなく、自然にあるものなのだ、という清水監督の明確な哲学が感じられる。
無駄な装飾を減らすということでは、一種のミニマリズムとも言えるのだが、ミニマリズムが、厳格さゆえに、堅苦しさや息苦しさを感じさせることがあるのに対し、清水監督の作品は、その素朴さが、かえって開放的で豊潤な広がりを持ってくるのだから不思議という他ない。あたかも、観る者も、有りがとうさんが運転するバスの乗客の一人となって、のんびりと道中を共にするような気分に浸ることが出来る、ささやかながら美しさと純粋さに溢れた小品なのだ。清水作品の美質が遺憾なく発揮された代表作の一本と言っていいと思う。
有りがとうさんを演じる上原謙は、運転手の制服に身を包んでスラリとした姿態が画面に映え、誠実な好青年という感じで適役(道中の若い娘たちが、彼に夢中になるのも当然だ!)。黒襟の女を演じる桑名通子も、やさぐれた感じながら(乗り合わせた乗客に、酒を勧めたりする)、東京へ奉公に出される娘の身を案じるやさしさをみせるグッド・バッド・ガールぶりで、いつもとは違うクールな面を見せ、それもまた魅力的だ。
本DVDは、松竹が所蔵する16mm原版(35mm原版は残存しない)からHDテレシネ、レストアされたマスターを使用。1935年の作品で、原版が16mmということもあって、白黒の諧調も上々とは言えず(松竹から提供された同じHDマスターを使った米Criterion盤に比べると、若干、緑がかった白黒だ)、また、ディテール表現も甘いが、それでも、きれいにキズが除去され、観やすい画質と言えるだろう。音声も、ノイズは残っているものの、セリフが聞き取れないというようなこともない。少なくとも、1992年に発売されたヴィデオよりは、十分質が向上している。
特典などは一切ないが、嬉しいことに、日本語字幕と英語字幕が収録されている。
本DVDは、2008年に発売された美しい装丁の紙製のデジブック型ケースではなく、通常のDVDケースで再発売された廉価盤。
川端康成原作の『有難う』を清水宏監督が映画化したロード・ムービーの傑作。劇場公開は、1936年2月27日。
川端康成の原作小説は(『 掌の小説 』P95)、ほんの4頁ほどのもので、大きなプロットもなく、ほとんど、随筆に近いようなスケッチ的な小品。これだけ、大きなドラマやプロットがない小説を映画の原作に選ぶことは、普通の監督ではありえないのだが、清水監督は違う。作為的なドラマを嫌う清水監督にとっては、映画の題材として、その余計な装飾のないの小説が、恰好のものに思われたのだろう(清水監督が意識していたかは別として、川端康成原作という、興行的な価値も加わるわけだ)。
伊豆半島の山間部から駅まで向う乗り合いバスの道中を描いた―ただ、それだけの作品と言っても過言ではない。それ以上でもそれ以下でもない。これで、映画として成り立つのかと心配にすらなってしまうのだが、清水監督の手にかかると、ロケーション撮影の美しさを生かした素朴極まりない、緩やかなテンポと大らかな雰囲気の何とも瑞々しい作品になってしまうのだ。
同じ年に生まれ、松竹での同僚でもあった小津安二郎監督ほど、徹底して俳優を操り人形のように使うということはないながらも、それでも、感情を込めた作為的な演技を極力避ける清水監督らしく、俳優たちの演技に抑制を効かせ(清水監督の演出時の口グセが、「ハイ気持ちなーし!」なのはあまりにも有名だろう)、過剰なドラマを無理矢理作りあげるようなことはしていない。乗り合いバスということもあり、それぞれの乗客や道中で出遭う人々が、各々の人生のドラマを背負ってはいるのだが(軸となるのは、原作と同じく、東京に奉公に出る娘の話)、あえて、それを引き出して敷衍しようとはせずに(登場人物には、明確な役名もない)、淡々と話を進めて行くのが、清水監督の余白、語らぬ演出の美学といったところだろう。ドラマとは作るものではなく、自然にあるものなのだ、という清水監督の明確な哲学が感じられる。
無駄な装飾を減らすということでは、一種のミニマリズムとも言えるのだが、ミニマリズムが、厳格さゆえに、堅苦しさや息苦しさを感じさせることがあるのに対し、清水監督の作品は、その素朴さが、かえって開放的で豊潤な広がりを持ってくるのだから不思議という他ない。あたかも、観る者も、有りがとうさんが運転するバスの乗客の一人となって、のんびりと道中を共にするような気分に浸ることが出来る、ささやかながら美しさと純粋さに溢れた小品なのだ。清水作品の美質が遺憾なく発揮された代表作の一本と言っていいと思う。
有りがとうさんを演じる上原謙は、運転手の制服に身を包んでスラリとした姿態が画面に映え、誠実な好青年という感じで適役(道中の若い娘たちが、彼に夢中になるのも当然だ!)。黒襟の女を演じる桑名通子も、やさぐれた感じながら(乗り合わせた乗客に、酒を勧めたりする)、東京へ奉公に出される娘の身を案じるやさしさをみせるグッド・バッド・ガールぶりで、いつもとは違うクールな面を見せ、それもまた魅力的だ。
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特典などは一切ないが、嬉しいことに、日本語字幕と英語字幕が収録されている。
本DVDは、2008年に発売された美しい装丁の紙製のデジブック型ケースではなく、通常のDVDケースで再発売された廉価盤。
2015年3月29日に日本でレビュー済み
先ず、1936年にオールロケーションを実施したこと自体驚きである。
原作は川端康成とあるが知らない。
運転手役の上原謙が訳ありそうな様々な客を乗せ、
通りすがりの人達に「ありがとう」と声を掛けて行く。
始点の下田の雰囲気からして只ならぬ雰囲気・・・酌婦役の桑野通子がいい。
全編を通して微妙な鍵を握っている。
道中の自然の美しさに人情を重ね、優しく描いている。
特段どうと言うことのない映画だが、
当作品に限らず、清水宏の撮る自然は輝き、その中に物語を置く。
売られていく少女から険しい表情が抜け戻ってくるラスト。
途中で察しはつくものの、何となくホッとさせられる。
同時に、仲介した酌婦役の桑野通子は二度と戻って来ないことも暗示。
上原のデビュー作である。
笠智衆さんが自身の本で清水氏をもっと知って欲しいと書いておられたが、
清水ファンとしては強く頷きたい。
原作は川端康成とあるが知らない。
運転手役の上原謙が訳ありそうな様々な客を乗せ、
通りすがりの人達に「ありがとう」と声を掛けて行く。
始点の下田の雰囲気からして只ならぬ雰囲気・・・酌婦役の桑野通子がいい。
全編を通して微妙な鍵を握っている。
道中の自然の美しさに人情を重ね、優しく描いている。
特段どうと言うことのない映画だが、
当作品に限らず、清水宏の撮る自然は輝き、その中に物語を置く。
売られていく少女から険しい表情が抜け戻ってくるラスト。
途中で察しはつくものの、何となくホッとさせられる。
同時に、仲介した酌婦役の桑野通子は二度と戻って来ないことも暗示。
上原のデビュー作である。
笠智衆さんが自身の本で清水氏をもっと知って欲しいと書いておられたが、
清水ファンとしては強く頷きたい。
2012年2月9日に日本でレビュー済み
1936年制作の作品ゆえ、映像の質等はどうしても今一つだが、一台の中距離バス(約80km)の出発から到着までの短い時間、バスの内部及び周辺という限られた空間の中で、様々な人間ドラマが繰り広げられます。
今から見ても斬新な発想と脚本(ストーリー)の見事さ! 登場人物もそれぞれユニークな特徴があり、せりふも一ひねり効いています。ラストの粋な展開にもホロリとさせられました。
セリフが棒読み口調ですが、思うにサイレントからトーキーに移った初期の作品であり、そのためにはっきり観客に聞こえるようにゆっくり喋らせたのではないかと思います。俳優が普通に演技していたら、それこそ凄い映画になっていたと思います。
良い映画を見せてくれて「有りがとうさん」と言いたいです。
今から見ても斬新な発想と脚本(ストーリー)の見事さ! 登場人物もそれぞれユニークな特徴があり、せりふも一ひねり効いています。ラストの粋な展開にもホロリとさせられました。
セリフが棒読み口調ですが、思うにサイレントからトーキーに移った初期の作品であり、そのためにはっきり観客に聞こえるようにゆっくり喋らせたのではないかと思います。俳優が普通に演技していたら、それこそ凄い映画になっていたと思います。
良い映画を見せてくれて「有りがとうさん」と言いたいです。
現時点ではこのメニューの読み込みに問題があります。