文庫書き下ろし作品。
本作は2部構成になっており、1部では2004年、警察署から脱走した容疑者を追っていた警察に栃木県の前林市で職務質問され、自転車で逃走した15歳の少年がトラックに激突して死亡する事故が起こる。この事故によって、今まで平和な暮らしを送ってきた遺族、特に母親は人生を大きく狂わされていく。ここまでが作品全体の3分の1を占める。残りの3分の2を占める2部では、年代が2019年になっており、東京・新宿で起きた殺人事件に絡んで、1部では全く姿を見せなかった三ツ矢刑事が事件の真相を解明する、というストーリーになっている。巻末の解説にも書かれているが、2004年の事故が2019年の殺人事件にどう関わってくるのかが、本当に作品の最終盤辺りにならないと分からないので、逆に最後まで緊張感を持って読む事が出来る。
愛する息子を失って狂って殺人を犯してしまった母親の描写は本作の見どころとなっているが、純粋な被害者と思われた彼女の息子も、実は殺人衝動という心の闇を抱えており、実際に彼もまた殺人を犯してしまった、という救いようのない結末を見ると、「親の心子知らず、子の心親知らず」という言葉が思い浮かぶ。例え親子であっても、心の闇というものは見抜けないという事実に思わず背筋が寒くなる。
読後感はあまり良くはないが、読み応えのあるミステリー作品である。
あの日、君は何をした (小学館文庫) (日本語) 文庫 – 2020/7/7
まさき としか
(著)
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本の長さ365ページ
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言語日本語
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出版社小学館
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発売日2020/7/7
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寸法10.5 x 1.4 x 15 cm
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ISBN-104094067914
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ISBN-13978-4094067910
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
北関東の前林市で暮らす主婦の水野いづみ。平凡ながら幸せな彼女の生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。大樹が深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていたのはなぜなのか。十五年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心な妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は必死で辰彦を捜し出そうとする。捜査に当たる刑事の三ツ矢は、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵を掴み、衝撃の真実が明らかになる。家族が抱える闇と愛の極致を描く、傑作長編ミステリ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
まさき/としか
1965年生まれ。2007年「散る咲く巡る」で第四十一回北海道新聞文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1965年生まれ。2007年「散る咲く巡る」で第四十一回北海道新聞文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2020/7/7)
- 発売日 : 2020/7/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 365ページ
- ISBN-10 : 4094067914
- ISBN-13 : 978-4094067910
- 寸法 : 10.5 x 1.4 x 15 cm
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 10,223位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 18位小学館文庫
- - 129位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2020年7月21日に日本でレビュー済み
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ベスト500レビュアー
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二部構成の第一部。"自称"肝っ玉母さんの"いづみ"が、自転車を使った連続女性殺人事件の犯人が脱走して逃走中に、家族に黙って深夜に自転車に乗っていた中学生の息子の大樹が追跡・警戒中の警察官の職務質問を振り切って逃げた挙句に交通事故死してしまった事で、「あの日に大樹は何をしていたのか?」を追い掛ける姿を描いた作品。大樹に恋人が居た事を知った"いづみ"が(元々、素地はあったが)モンスター化する。家族小説の体裁も取ってはいるものの、社会派ミステリ作家として定評がある作者としてはアクロバティックな作品となっている。
第二部はそれから15年後。これで作者の狙いがようやく分かった。智恵という"いづみ"ソックリな"自己中心的"老婆が浮気性の息子の辰彦を溺愛していて、辰彦が不倫相手の1人の殺害容疑を掛けられて失踪しているのに、息子の無実を盲信しているのである。即ち、「モンスター」を重畳させている訳だ。しかも、第一部の舞台と辰彦の妻の野々子の実家とが前橋市と館林市との名称を併せた(安直なネーミングだが)前林市という同一性で物語に芯を持たせている上に、変人だが切れ者の名物担当刑事の三ツ矢(ソクラテスの様な造形が秀逸で、第一部の犯人も単独で逮捕したが、全く気取らない)も長年、大樹の「あの日」の行動の意味を追っているという凝った創り。更に、三ツ矢と「モンスター」との立場も重畳させている。この創意工夫には感心した。そして、野々子の数奇な運命が「あの日」の真相を暴く展開には驚愕した。
母親(毒親)と娘、母親(毒親)と息子の幾重もの"愛憎の輪廻"を驚愕の展開で描きながら、終盤にはサイコ・ホラー風味を色濃く出すというアクロバティック・ミステリーの傑作だと思った。
第二部はそれから15年後。これで作者の狙いがようやく分かった。智恵という"いづみ"ソックリな"自己中心的"老婆が浮気性の息子の辰彦を溺愛していて、辰彦が不倫相手の1人の殺害容疑を掛けられて失踪しているのに、息子の無実を盲信しているのである。即ち、「モンスター」を重畳させている訳だ。しかも、第一部の舞台と辰彦の妻の野々子の実家とが前橋市と館林市との名称を併せた(安直なネーミングだが)前林市という同一性で物語に芯を持たせている上に、変人だが切れ者の名物担当刑事の三ツ矢(ソクラテスの様な造形が秀逸で、第一部の犯人も単独で逮捕したが、全く気取らない)も長年、大樹の「あの日」の行動の意味を追っているという凝った創り。更に、三ツ矢と「モンスター」との立場も重畳させている。この創意工夫には感心した。そして、野々子の数奇な運命が「あの日」の真相を暴く展開には驚愕した。
母親(毒親)と娘、母親(毒親)と息子の幾重もの"愛憎の輪廻"を驚愕の展開で描きながら、終盤にはサイコ・ホラー風味を色濃く出すというアクロバティック・ミステリーの傑作だと思った。
2021年2月22日に日本でレビュー済み
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私は母になったことがないのでわかりませんが、
ここで描かれるような母の息子への愛は結構あるのではと
感じさせられました。
いろんな狂いがあるけれど、
人が狂うのを描いているのは結構好きなのに、
母の息子への偏愛は私は苦手でした。
気持ち悪い。
日頃、人事として面接の場面で自立できていない依存心の強い男性を
たくさん見てるので、なんかそんな気が芽生えてしまいます。
そんな意味で、話はそこそこ面白かったけど、不快感が残りました。
ここで描かれるような母の息子への愛は結構あるのではと
感じさせられました。
いろんな狂いがあるけれど、
人が狂うのを描いているのは結構好きなのに、
母の息子への偏愛は私は苦手でした。
気持ち悪い。
日頃、人事として面接の場面で自立できていない依存心の強い男性を
たくさん見てるので、なんかそんな気が芽生えてしまいます。
そんな意味で、話はそこそこ面白かったけど、不快感が残りました。