交流分析の観点から少年Aとその親との関係を紐解きつつ、子育てに必要なことは何なのかを解説した本。
見る限り、両親、特に母親の態度が自己愛性人格障害の人間のあり方そのもの。
少年Aは生まれてからずっと親の自己愛の照射を浴び続け、モラルハラスメントで心を傷つけられることが日常茶飯事の中に育つうち、解離性同一性障害(旧:多重人格障害)を発病してしまったのだと思った。
防衛機制”解離”が生み落としたのが酒鬼薔薇なのだ。
こんな育てられ方したら誰でもおかしくなるし、ならなければそれこそおかしいでしょう。
少年A、彼は当然、犯した罪を背負い償うべきではあるが、かつて同じ子供であった一人の人間としては同情を禁じ得ない
神戸の事件に限らず、悲惨な凶悪事件の犯人、その生い立ちを分析したものを見ると、その親の大多数が極めて自己愛的な性格をした人間であることが窺える。
他者に共感する能力が欠落して持ち合わせていない自己愛性人格障害者は子供を持つべきでない、そう強く思ったしだいである。
本書は間違いなく、神戸の連続児童殺傷事件の真の闇に最も迫っている本ではあるが、精神医学などに興味をこれまで持ったことがなく事件にだけ興味があって読んでみたい人が読んでもわかりずらい部分があると思う。
前提としてある程度の心理学的、精神医学的知識がないと理解しずらいと思われる箇所もあるので、興味がありこれから手にして読んでみようと思いの方がおられたら、事前に自己愛性人格(自己愛性パーソナリティ)障害者について、モラルハラスメントとその後遺症について、心的外傷(特に解離)について、あるていどお調べになって理解されてから手にすることをお薦めしたい。
そうすればすんなりと腑に落ちるはず。
人間の性格は遺伝か育ちか、よく議論されることだけども、近年ほぼ結論が出ているそうである。
鬱をはじめ、持っていることで各種の精神疾患のリスクが高まる遺伝子は存在はするが、その遺伝子が活性化するかどうかは環境、とりわけ親の接し方がそのトリガーになることがわかっているそうである。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
