内容紹介
孫子十三篇の首(かしら)の部分を構成する〈第三篇 謀攻〉は、その前半で「戦わずして勝つ」、その後半で「戦いて勝つ」を論じております。とりわけ後半では、具体的な数値を示してまで「兵力比に応ずる戦いの理」を説いております。則ち『十なれば、則ち之を囲み、五なれば、則ち之を攻め、倍すれば、則ち之を分かち、敵すれば、則ち能く之と戦い、少なければ、則ち能く之を逃れ、若かざれば、則ち能く之を避く。』であります。
が、しかし、まさにその核心部分たる「兵力比互角の戦法」を論ずる『敵すれば、則ち能く之と戦い』については、これまでいわゆる現行孫子の立場から極めて不自然・不明瞭な解釈がなされておりました。例えば、「兵力が等しければ努力して戦い」あるいは「互角の兵力なら勇戦する」のごとしであります。一体、何を言いたいのか、その言葉の中味たる具体的説明が空っぽゆえに、まさに意味不明であると言わざるを得ません。
そのゆえにまた、右の言と密接に関連する「倍すれば、則ち之を分かち」も全く見当違いの解釈とならざるを得ず、おのずから「勝ちを知る五法」の一たる「衆寡の用を知る者は勝つ」の「衆寡」についても具体的な内容は何ら示されておらず、ただ「衆寡」の言葉だけが、右の「努力して戦う」、あるいは「勇戦」するの言葉と同様、空しく空回りしているという体たらくであります。
そもそも兵法は、「勝ちは大兵にあり」、「大は小より格段に強い」、「優勝劣敗・弱肉強食」の言に代表されるがごとく、彼我の力関係の在り様を追究するものゆえに、何はさておき、まずはその基準となるべき「兵力比互角」とは何かについて論ぜられる必要があることは論を俟ちません。況んや、ことが古今の兵書の白眉たる孫子においてをや、であります。
が、しかし、これまでのいわゆる現行孫子的な解釈においては、その核心部分たる「兵力比互角の戦法」とは何かについての解説が一言半句も出てこないのですから、実に摩訶不思議と言わざるを得ず、何かが、どこかがおかしいと考えるのは蓋(けだ)し当然のことであります。
実は、この孫子最大の謎を明快に解き明かす核心部分が〈第四篇 形〉でありますが、そのための前提として〈第三篇 謀攻〉・後半に曰う「兵力比に応ずる戦いの理」、則ち『十なれば、即ち之を囲み、五なれば、則ち之を攻め、倍すれば、則ち之を分かち、敵すれば、則ち能く之と戦い、少なければ、則ち能く之を逃れ、若かざれば、則ち能く之を避く。』を理解しておく必要があります。まさにこの部分を解説するものが、今回の【孫子正解】第五回 用兵総論〈第三篇 謀攻〉であります。
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【孫子正解】シリーズ 十三篇全体の目次
第一部 孫子兵法の学び方
・なぜ孫子兵法を学ぶのか ・管子、老子、孔子と孫子兵法との関係 ・なぜ孫子兵法は難解とされるのか ・孫子の効果的な学び方(コツ) ・孫子十三篇「素読のすすめ」とそのやり方 ・孫子兵法と脳力開発を併行して学ぶ意義 ・脳力開発のやり方の趣旨
第二部 孫子十三篇の理論体系と全体構造篇
・理論体系図・各篇の趣旨と相互の関係・脳力開発の根幹たる習慣づくり(習慣論)について
第三部 孫子の戦争観と用兵思想篇 …〈第一篇 計〉・〈第二篇 作戦〉
第四部 謀攻篇(用兵総論)… 〈第三篇 謀攻〉
第五部 戦法篇(用兵各論・基本的用兵論)
1、強者の戦法
孫子十三篇全体における不言の語 … 特に〈第三篇 謀攻〉、〈第九篇 行軍〉
2、兵力比互角の戦法
〈第四篇 形〉・〈第五篇 勢〉
3、弱者の戦法(局所集中戦略)
〈第六篇 虚実〉・〈第七篇 軍争〉・〈第八篇 九変〉
第六部 組織運用と統率篇(用兵上の諸原則)
〈第九篇 行軍〉・〈第十篇 地形〉
第七部 死地作戦篇(応用的用兵論)
〈第十一篇 九地〉
第八部 火攻作戦篇(特殊的用兵論)
〈第十二篇 火攻〉・前半部
第九部 全用兵論の総結言篇
〈第十二篇 火攻〉・後半部
第十部 情報篇(先知の兵法たる孫子十三篇を総括するものであり、兵の大本を貫くもの)
〈第十三篇 用間〉
第十一部 資料篇 …… 孫子十三篇「素読用テキスト」
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【孫子正解】シリーズ第五回 用兵総論〈第三篇 謀攻〉 目次
第一章 〈第三篇 謀攻〉読み下し文
第二章 〈第三篇 謀攻〉の構成分類……別表
第三章 戦わずして勝つ
1、軍事力運用の最上策(至上善)
2、対立闘争の原理たる戦争と弁証法的思想との関係
第四章 戦わずして勝つ……目的と手段の体系的構造
1、軍事力運用の最上策(至上善・最高戦略)
2、軍事力運用の上策(上善・上兵)
3、軍事力運用の次策(次善)
4、軍事力運用の次々策(次々善)
5、軍事力運用の下策(下兵)
6、軍事力運用の最下策
第五章 戦わずして勝つ……謀攻(調略)の法
第六章 兵家のバックボーンとしての弁証法的思想
第七章 事物の変化を重視する孫子の弁証法的思想
第八章 戦いて勝つ……兵力比に応ずる戦いの理
第九章 戦いて勝つ……戦略的統一と独立指揮権の意義
第十章 戦いて勝つ……勝ちを知る五法
第十一章 〈第三篇 謀攻〉の結言
が、しかし、まさにその核心部分たる「兵力比互角の戦法」を論ずる『敵すれば、則ち能く之と戦い』については、これまでいわゆる現行孫子の立場から極めて不自然・不明瞭な解釈がなされておりました。例えば、「兵力が等しければ努力して戦い」あるいは「互角の兵力なら勇戦する」のごとしであります。一体、何を言いたいのか、その言葉の中味たる具体的説明が空っぽゆえに、まさに意味不明であると言わざるを得ません。
そのゆえにまた、右の言と密接に関連する「倍すれば、則ち之を分かち」も全く見当違いの解釈とならざるを得ず、おのずから「勝ちを知る五法」の一たる「衆寡の用を知る者は勝つ」の「衆寡」についても具体的な内容は何ら示されておらず、ただ「衆寡」の言葉だけが、右の「努力して戦う」、あるいは「勇戦」するの言葉と同様、空しく空回りしているという体たらくであります。
そもそも兵法は、「勝ちは大兵にあり」、「大は小より格段に強い」、「優勝劣敗・弱肉強食」の言に代表されるがごとく、彼我の力関係の在り様を追究するものゆえに、何はさておき、まずはその基準となるべき「兵力比互角」とは何かについて論ぜられる必要があることは論を俟ちません。況んや、ことが古今の兵書の白眉たる孫子においてをや、であります。
が、しかし、これまでのいわゆる現行孫子的な解釈においては、その核心部分たる「兵力比互角の戦法」とは何かについての解説が一言半句も出てこないのですから、実に摩訶不思議と言わざるを得ず、何かが、どこかがおかしいと考えるのは蓋(けだ)し当然のことであります。
実は、この孫子最大の謎を明快に解き明かす核心部分が〈第四篇 形〉でありますが、そのための前提として〈第三篇 謀攻〉・後半に曰う「兵力比に応ずる戦いの理」、則ち『十なれば、即ち之を囲み、五なれば、則ち之を攻め、倍すれば、則ち之を分かち、敵すれば、則ち能く之と戦い、少なければ、則ち能く之を逃れ、若かざれば、則ち能く之を避く。』を理解しておく必要があります。まさにこの部分を解説するものが、今回の【孫子正解】第五回 用兵総論〈第三篇 謀攻〉であります。
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【孫子正解】シリーズ 十三篇全体の目次
第一部 孫子兵法の学び方
・なぜ孫子兵法を学ぶのか ・管子、老子、孔子と孫子兵法との関係 ・なぜ孫子兵法は難解とされるのか ・孫子の効果的な学び方(コツ) ・孫子十三篇「素読のすすめ」とそのやり方 ・孫子兵法と脳力開発を併行して学ぶ意義 ・脳力開発のやり方の趣旨
第二部 孫子十三篇の理論体系と全体構造篇
・理論体系図・各篇の趣旨と相互の関係・脳力開発の根幹たる習慣づくり(習慣論)について
第三部 孫子の戦争観と用兵思想篇 …〈第一篇 計〉・〈第二篇 作戦〉
第四部 謀攻篇(用兵総論)… 〈第三篇 謀攻〉
第五部 戦法篇(用兵各論・基本的用兵論)
1、強者の戦法
孫子十三篇全体における不言の語 … 特に〈第三篇 謀攻〉、〈第九篇 行軍〉
2、兵力比互角の戦法
〈第四篇 形〉・〈第五篇 勢〉
3、弱者の戦法(局所集中戦略)
〈第六篇 虚実〉・〈第七篇 軍争〉・〈第八篇 九変〉
第六部 組織運用と統率篇(用兵上の諸原則)
〈第九篇 行軍〉・〈第十篇 地形〉
第七部 死地作戦篇(応用的用兵論)
〈第十一篇 九地〉
第八部 火攻作戦篇(特殊的用兵論)
〈第十二篇 火攻〉・前半部
第九部 全用兵論の総結言篇
〈第十二篇 火攻〉・後半部
第十部 情報篇(先知の兵法たる孫子十三篇を総括するものであり、兵の大本を貫くもの)
〈第十三篇 用間〉
第十一部 資料篇 …… 孫子十三篇「素読用テキスト」
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【孫子正解】シリーズ第五回 用兵総論〈第三篇 謀攻〉 目次
第一章 〈第三篇 謀攻〉読み下し文
第二章 〈第三篇 謀攻〉の構成分類……別表
第三章 戦わずして勝つ
1、軍事力運用の最上策(至上善)
2、対立闘争の原理たる戦争と弁証法的思想との関係
第四章 戦わずして勝つ……目的と手段の体系的構造
1、軍事力運用の最上策(至上善・最高戦略)
2、軍事力運用の上策(上善・上兵)
3、軍事力運用の次策(次善)
4、軍事力運用の次々策(次々善)
5、軍事力運用の下策(下兵)
6、軍事力運用の最下策
第五章 戦わずして勝つ……謀攻(調略)の法
第六章 兵家のバックボーンとしての弁証法的思想
第七章 事物の変化を重視する孫子の弁証法的思想
第八章 戦いて勝つ……兵力比に応ずる戦いの理
第九章 戦いて勝つ……戦略的統一と独立指揮権の意義
第十章 戦いて勝つ……勝ちを知る五法
第十一章 〈第三篇 謀攻〉の結言