抜群に面白いのはJリーグの立ち上げのあたり。チームから企業名を外す件に関して《浦和と名乗ったら、埼玉じゃ、大宮の連中はぜったいに応援しないと思うよ。だから三菱自動車の方がいいんじゃないかな》と忠告してくれた人がいたとか(p.113)、規約づくりで一番参考にしたのはドイツで、それはドイツ・ブンデスリーグがヨーロッパで一番新しくできたプロリーグだから他のいいとこどりをした上で整然としたルールをつくっているに違いないと見込んだからだったとか(p.139)、PJMがマラドーナを獲りに行って実現しそうになったら、麻薬スキャンダルが発覚して頓挫したとか(p.134)、いまでもJリーグがベストメンバー規定にこだわるのは後に導入することがほぼ決まりかけていたtotoで八百長疑惑をおこさせないためだったとか(p.156)。あと、例えば企業からの赤字補填の税金を負けてもらうために奔走し、ユニフォームの一部にも企業名を入れればOKという形にしたとか、企業スポーツから出発し、サラリーマンとしてもいい線いった人らしい目配りが感じられます。
後はナベツネさんとの抗争。朝日のシェアが圧倒的に高い地区にベルディの切符を持って拡販に行ったら面白いように読売に乗り換えてくれたというんですね (p.245)。これでナベツネさんもはりきっちゃった、と。直後に朝日新聞からも「ウチにもチームを持たせてくれ」という嘆願が来たというのも含めて笑っちゃいました。川淵さんにやましいところないというか、"身体検査"にほぼ間違いないと個人的に思うのは、ベルディの東京移転、読売呼称問題でナベツネさんと抗争していた時に読売新聞が総力を挙げて身辺調査を行って、あまり成果が出なかったということがあるから。当時、岡野俊一郎さんでさえ、川淵さんの行きつけのバーはどこだとか聞かれたというんですから、その調査は徹底したもんだったと思います(p.241)。
- 単行本: 348ページ
- 出版社: 日本経済新聞出版社 (2009/9/26)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4532167116
- ISBN-13: 978-4532167110
- 発売日: 2009/9/26
- 梱包サイズ: 19 x 14 x 3.4 cm
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