『超ー1怪コレクション』の三部作も結章。全体的に少々低調で、漸くネタ切れになったのかとも感じられるが、その中にある珠玉の怪異を点描してみる。
「おばけなんてないさ」…彼等からすれば嘘と言われれば反論したくなるだろう。でもジューダスプリーストでは出ませんって…
「車椅子」…学校の終業式で注意される程の連続行方不明事件だから、相当大騒ぎになった筈だろう。後日譚によるフォローが必要な話で、此の儘では俄に信じ難い。
「壁紙」…こっくりさんソフトまで使用して、一人で降霊なんてするもんじゃない。
「祖母の思い出」…狐神の行進に連れていかれた祖母の話。地域の伝承などをもう少し調べて載せて欲しかった。
「占い恐怖症」…良く「見える」人がそのうち霊能者や教祖になって行くのは聞く話だが、その雛型の様な女の話。能力の故に魔に取り込まれ、歪んでいくのだろうか。
「あざむく」…異界のものたちに細々とした事を助けてもらってはいるが、反面その部屋から出られなくなっている事に気づいていないのだろうか。もう少し親密に対話出来たら面白い。
「予言者」…力強いし、頼りになるけど、全てを見られるのは何か嫌だな。本人もこれ程強すぎる力では、この先苦労もあるだろうな。
「直腸内異物」…長編。魔物に取り憑かれた家族が悩まされ、苦しめられ、一家心中に追い込まれて行く話。陰惨すぎる結末…。
今回最凶なのは「護り砂」である。この『超ー1 怪コレクション』三部作の中で最も異質に感じる禁忌に関わる話であり、これ一本で一冊を構成できそうな程の根の深さを感じるが、取材者が一切関わらない、と宣言してる事が異常な状況を想起させる。この話の背景には本当に触れてはならないものを感じさせる…戒名の無い墓地、口を噤むある村の寺、そして電話の途中でそれっきり行方不明になった相談者…。此処まで話せても、此の一歩先からは『禁忌』なのである。
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