昨今、日本では東大ブランドをマスコミが持ち上げている状況があり、仕方ないのかもしれませんが、THE(Times Higher Education)で発表している世界大学ランキングによれば、東大は第42位、アジア大学ランキングでは第8位です。
要するに、世界では中位レベル、アジアでも中国、シンガポール、香港の大学に後塵を浴びています。
ことさら「東大では・・」「東大生のみんなは・・」の枕コトバでものを語るのは、恥ずかしいし、もっともっと世界は広いですよ。
私がもっともガッカリしたのは、勝手に著者が文章中にマーキングしているところです。色を塗ったり、線を引くのは本を購入した人の権利であり、その愉しみを奪うのは止めてほしい。
他に「何とか読み」とかやたら固有名詞化したエレメンツや、細かく段落分けしていますが、ごちゃごちゃして読みにくい。行間の余白に漂う著者の言外の想いを読み取ることも、読み手の愉しみのひとつです。
一言で言えば、この本は受験生のノートの域を脱していません。
ただし所々、読書の良さを上手な表現で伝えています。例えば、
>本と徹底的に議論する
>本を読むという行為は、暗い森の中に足を踏み入れることに似ています。自分がまったく触れたことがなかったものに触れて、どこに行き着くかわからないまま前に進んでいかなければなりません。その行為は、明かりがない森を、どちらが出口かもわからずに進んでいくことと同じです。
>読書で「考える力」を鍛えるときに僕たちに求められるのは、1冊の本の意見だけでなく、複数の本の意見を比較し、すべてを取り入れながら取捨選択もしつつ物事を考え、自分の意見を作り上げる力。1つの意見に固執せず、客観的に物事を分析して自分の考えをまとめる力。「多面的な思考力」なんです。
>読んだ内容、鑑賞した内容を嚙み砕いて理解し、それに対して自分が感じたことを表明するというプロセスで、「感想」は生まれます。それはつまり、「インプット」を嚙み砕いて「アウトプット」をするという行為に他なりません。作品という「インプット」を得た上で、自ら何かを「アウトプット」したのが「感想」というわけです。
私自身も著者のような読み方で読書をして来た者のひとりとして、頷けます。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。

【3/5 発売】『超訳 ケインズ『一般理論』』 Books
今に響く、社会科学史上で最も影響力のある世界的名著。わかりやすく、エッセンスを凝縮。 今すぐチェック