森氏の作品に触れるのは、『死刑』に続き二作目です。よって以下、氏についてはほぼ無知な者のレビューとなります。ご容赦ください。
本書を読んで、奇遇にも森氏の息子さんが自分と同年代であるという事に気づきました。オウムの事件が起きた頃に生まれ、9.11やブッシュ政権の記憶もあるようなないような子供時代を過ごし、成人する少し前に3.11を経験した世代です。
そんな自分にとって、例えば「犯罪者は死刑になること」や「被災地を応援すること」、「街にテロ警戒の文字が溢れていること」は当たり前で、疑う余地のないことでした。しかし、成人し、平成も終わりかけの今、あれ?と思い始めています。
メディアを通して得た情報は、当然ですが、切り取られ、意図を加えられ、編集されています。もちろん、森氏の作品もそうです。
ただ、メディアと氏の作品の違いは、「自分はこう思うけれど、あなたはどう?」という問いかけを内包しているかどうか、だと思います。メディアの情報には、考えさせる余地(材料)が少ないのです。自力で調べてみようなんて気は一切起こらない、与えられたものを消費するだけ。
でも、それでいいのでしょうか。
本書は、森氏が答えを出してくれる本、ではありません。正解のない問いを、問い続けていくための手がかりとなる本、だと思います。
考えたくない人や、答えだけが欲しい人には、理解できない本かもしれません。でも、考えたい人にとっては、いい材料となるでしょう。難しいテーマですが、高校生~大学生なら充分読める範囲です。むしろ、自分をはじめ、若い世代がもっと考えていかなければならないと思います。
当時を知らないからこそ、考えられる事、言える事があるのではないでしょうか。
例えば、あなたは「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と言うけれど、ではあなたの子どもや身内が死刑判決を下されたら?同じことが言えますか。感情論は、所詮このレベルのものです。
右だの左だのは一旦置いて、もう一歩踏み込んで考えてみませんか。
「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい (講談社文庫) (日本語) 文庫 – 2018/11/15
森 達也
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
-
本の長さ480ページ
-
言語日本語
-
出版社講談社
-
発売日2018/11/15
-
寸法10.7 x 1.9 x 14.9 cm
-
ISBN-104065137209
-
ISBN-13978-4065137208
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
- さようならCP [DVD]原一男DVD
- われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫)文庫
- 超常現象: 科学者たちの挑戦 (新潮文庫)NHKスペシャル取材班文庫
- フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ: 増補新版世界を信じるためのメソッド単行本(ソフトカバー)
- 放送禁止歌 (知恵の森文庫)文庫
- 「A」 マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫)文庫
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
1分以内にKindleで 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい をお読みいただけます。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
オウムのドキュメンタリーを撮影して以降、「遺族感情を踏みにじるのか」「被害者のことを考えろ」そうした罵声を著者は浴び続けてきた。しかし、被害者でも遺族でもない彼らがなぜこれほど居丈高になれるのか。オウム真理教と死刑、九・一一と監視社会、排他主義とレイシズム。危機感を煽られ、集団化する日本を撃つ。
著者について
森 達也
1956年、広島県生まれ。映画監督・作家・明治大学特任教授。98年、オウム真理教の教団内部に入り込み撮影したドキュメンタリー映画「A」を公開。2001年、続編「A2」が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。11年に『A3』(集英社インターナショナル)で講談社ノンフィクション賞を受賞。16年、「ゴーストライター騒動」で世間を賑わせた佐村河内守氏を追ったドキュメンタリー映画「FAKE」が大きな話題を呼ぶ。
1956年、広島県生まれ。映画監督・作家・明治大学特任教授。98年、オウム真理教の教団内部に入り込み撮影したドキュメンタリー映画「A」を公開。2001年、続編「A2」が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。11年に『A3』(集英社インターナショナル)で講談社ノンフィクション賞を受賞。16年、「ゴーストライター騒動」で世間を賑わせた佐村河内守氏を追ったドキュメンタリー映画「FAKE」が大きな話題を呼ぶ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
森/達也
1956年広島県生まれ。映画監督、作家、明治大学特任教授。’98年にオウム真理教信者達の日常を追うドキュメンタリー映画『A』を公開、ベルリン国際映画祭などに正式招待される。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。作家としては、’10年に刊行した『A3』で第33回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1956年広島県生まれ。映画監督、作家、明治大学特任教授。’98年にオウム真理教信者達の日常を追うドキュメンタリー映画『A』を公開、ベルリン国際映画祭などに正式招待される。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。作家としては、’10年に刊行した『A3』で第33回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.5
星5つ中の3.5
36 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年1月26日に日本でレビュー済み
違反を報告
Amazonで購入
42人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2018年10月22日に日本でレビュー済み
本来ならレビューは書かないが、不勉強極まりない、自分のフレームを外して考え直すことができていない幼稚園児のようなレビューばかりだったので、書きます。
犯罪統計を扱う際の警察統計から、犯罪が顕著化、凶悪化したなどと言われることが多くなったが、その統計の背後には警察実務の活動方針転換が存在したことを知らなければならない。それが主たる原因である。
また、応報感情から厳罰化が叫ばれるようになったが、厳罰化は一時的な抑止力しか持たず、長期的にはかえって犯罪率が著しく増加する原因となることは、世界中の政策と統計から分かっていることである。
また、犯罪を個人的な結果として見るのではなく社会的に見なければ何の解決にもならないのは言うまでもなく明白であり、応報刑が蔓延した社会は混乱し、全体主義的指向へと向かいかねない。
など、この程度の事はレビューを書く以上、犯罪学の常識として日頃から考えているべき。
それを知っていて、さらに読んで、その先のことを書いてこそなのに、感情ばかりで論理を欠いているレビューが多すぎる。ネトウヨじゃないんだから、しっかりしようぜ。
最終的にどう思うかは人それぞれだろうが、そこに留まる限り、何の発展も得られないだろう。読んで、更に自分でも、ネットではなく大学の図書館にあるレベルの文献で調べて、考えてみるべき。
犯罪統計を扱う際の警察統計から、犯罪が顕著化、凶悪化したなどと言われることが多くなったが、その統計の背後には警察実務の活動方針転換が存在したことを知らなければならない。それが主たる原因である。
また、応報感情から厳罰化が叫ばれるようになったが、厳罰化は一時的な抑止力しか持たず、長期的にはかえって犯罪率が著しく増加する原因となることは、世界中の政策と統計から分かっていることである。
また、犯罪を個人的な結果として見るのではなく社会的に見なければ何の解決にもならないのは言うまでもなく明白であり、応報刑が蔓延した社会は混乱し、全体主義的指向へと向かいかねない。
など、この程度の事はレビューを書く以上、犯罪学の常識として日頃から考えているべき。
それを知っていて、さらに読んで、その先のことを書いてこそなのに、感情ばかりで論理を欠いているレビューが多すぎる。ネトウヨじゃないんだから、しっかりしようぜ。
最終的にどう思うかは人それぞれだろうが、そこに留まる限り、何の発展も得られないだろう。読んで、更に自分でも、ネットではなく大学の図書館にあるレベルの文献で調べて、考えてみるべき。
ベスト50レビュアー
同じ著者による「すべての戦争は自衛から始まる 」森 達也 講談社文庫からの流れで購読。本書の方が時期的にやや前になるだろうか。本書においては2000年代から2010年代にかけて社会が危機意識を募らせ不寛容から攻撃性を高める過程に関して様々に(前掲書より幅広いテーマにわたって)言及されている。刑罰を寛容化したノルウェイのエピソードや、そのノルウェイで極右による銃乱射大量殺人事件が起きた後に寛容方針が堅持された経緯を知ることができて大変有益だった。
さらに「大量破壊兵器」の嘘を根拠に始めたイラク戦争について、関与した多くの国(米国さえも)が過ちを認めた中で日本国がそれに一切知らぬ振りを決め込んでいることなどを改めて再認識した。その件について「爆笑問題」の太田氏が安倍首相を追及し、安倍首相がとぼけている動画が拡散されていたなあ。
それにしても2010年代も終わろうとする中で本書で提示された事項はますますうっとおしいことになっている。
さらに「大量破壊兵器」の嘘を根拠に始めたイラク戦争について、関与した多くの国(米国さえも)が過ちを認めた中で日本国がそれに一切知らぬ振りを決め込んでいることなどを改めて再認識した。その件について「爆笑問題」の太田氏が安倍首相を追及し、安倍首相がとぼけている動画が拡散されていたなあ。
それにしても2010年代も終わろうとする中で本書で提示された事項はますますうっとおしいことになっている。
2018年9月8日に日本でレビュー済み
こういう人は将来中野正剛みたいに自殺に追い込まれる。これは脅しで言ってるわけじゃない。日本はそういう国だ。さもなければ、太宰治みたいに、世をすねて小事にこだわって生きるかだ。
「自分の家族が殺されたらどう思うか、それはそのときになってみないとわからない。」
それはすばらしい実例がありますよ。死刑反対派だった日弁連副会長が、妻が殺されたら、一転して死刑賛成派になって、遺族を裁判に参加できるようにしたんですよ。
死刑反対派「罪を犯した人は、自分のしたことに向き合って、一生かけて償ってください」
死刑囚「けっ、そんな気ねえよ、こっちは自分のしたいことをしたまでさ、あとのことなんて関係ねえよ」
死刑反対派「まあっ、こんな人は人間じゃないわっ、死刑にしてしまいなさいっ」
動機を解明してから、おもいっきりなぐるのはそのあとだ、というけど、この人みたいに、私こそこの事件の真実を解明した、と言って、それを飯のタネにしてる人がいつでもいるんだからね。そういうのをつぶしていたらきりがないだろう。
それと、犯罪者がみんな計画を立てて動機も認識してからやるわけじゃないだろう。世の中そんな人ばかりだったら、犯罪なんて起きないだろう。何も考えないでやるやつのほうが多いだろう。それを、動機が不明だとかなんだとか言うほうがおかしい。極端に言うと、動機なんか無くたっていいんだよ。
裁判員裁判で、死刑判決が出ると、苦渋の決断だのなんだのと、読むたびに反吐がでるね。そんなので感動しなきゃならないわけか。こりゃ感動ポルノなんてもんじゃないな、公然猥褻で卒倒するよ。死刑判決出しても何も感じない人は人間じゃないのか。そういう人を全部死刑にしてしまえばいいんだろうな。
死刑判決でてから真摯に反省して本書いたからって、それがどうだというのだ。それは真面目に生きてる人をばかにしてるよ。誰だって、気にいらないやつを殺したいと思うことはあるだろう、でもそれを我満してるから、我々のこの社会は平和と秩序をたもっていられるんだ。
私だったら、うまく演技して何回でも反省してみせるさ。真摯に反省したって、一時的なものかもしれないし。
「自分の家族が殺されたらどう思うか、それはそのときになってみないとわからない。」
それはすばらしい実例がありますよ。死刑反対派だった日弁連副会長が、妻が殺されたら、一転して死刑賛成派になって、遺族を裁判に参加できるようにしたんですよ。
死刑反対派「罪を犯した人は、自分のしたことに向き合って、一生かけて償ってください」
死刑囚「けっ、そんな気ねえよ、こっちは自分のしたいことをしたまでさ、あとのことなんて関係ねえよ」
死刑反対派「まあっ、こんな人は人間じゃないわっ、死刑にしてしまいなさいっ」
動機を解明してから、おもいっきりなぐるのはそのあとだ、というけど、この人みたいに、私こそこの事件の真実を解明した、と言って、それを飯のタネにしてる人がいつでもいるんだからね。そういうのをつぶしていたらきりがないだろう。
それと、犯罪者がみんな計画を立てて動機も認識してからやるわけじゃないだろう。世の中そんな人ばかりだったら、犯罪なんて起きないだろう。何も考えないでやるやつのほうが多いだろう。それを、動機が不明だとかなんだとか言うほうがおかしい。極端に言うと、動機なんか無くたっていいんだよ。
裁判員裁判で、死刑判決が出ると、苦渋の決断だのなんだのと、読むたびに反吐がでるね。そんなので感動しなきゃならないわけか。こりゃ感動ポルノなんてもんじゃないな、公然猥褻で卒倒するよ。死刑判決出しても何も感じない人は人間じゃないのか。そういう人を全部死刑にしてしまえばいいんだろうな。
死刑判決でてから真摯に反省して本書いたからって、それがどうだというのだ。それは真面目に生きてる人をばかにしてるよ。誰だって、気にいらないやつを殺したいと思うことはあるだろう、でもそれを我満してるから、我々のこの社会は平和と秩序をたもっていられるんだ。
私だったら、うまく演技して何回でも反省してみせるさ。真摯に反省したって、一時的なものかもしれないし。
2018年12月18日に日本でレビュー済み
書店でタイトルに目を惹かれて購入。なのですが、この本は連載を単行本にまとめたもののさらに文庫化で、タイトルは連載コラムの一つから取ったもの。丸々一冊、死刑制度とか裁判制度について語っているわけではありません。
でも失敗したとは思わなかった。読んでみたら、これは凄く良い本だとわかったからだ。内容は、スリッパを重ねるということについてなど小さな事柄から世界規模の大きなスケールの話まで、多岐にわたる。既視感があるような主張がないわけではないが、著者の主張が表れるところは新鮮で熱く、胸に刺さる。
ただ政治的な立ち位置がかなりはっきりしているので合わない人は合わないだろう。自分は合った。
だけど常識とか、世間やニュースではさらっと流されてるようなことに少しでも疑問を感じたことがある人なら、読んで損はないと思う。疑問を感じたことがなくても、これを読んで気づかされることがきっとあると思う。いや必ずある。
私はタマちゃんとか全然気にしたことなかったけど、これを読んだ後はかなり見方が変わった。
でも失敗したとは思わなかった。読んでみたら、これは凄く良い本だとわかったからだ。内容は、スリッパを重ねるということについてなど小さな事柄から世界規模の大きなスケールの話まで、多岐にわたる。既視感があるような主張がないわけではないが、著者の主張が表れるところは新鮮で熱く、胸に刺さる。
ただ政治的な立ち位置がかなりはっきりしているので合わない人は合わないだろう。自分は合った。
だけど常識とか、世間やニュースではさらっと流されてるようなことに少しでも疑問を感じたことがある人なら、読んで損はないと思う。疑問を感じたことがなくても、これを読んで気づかされることがきっとあると思う。いや必ずある。
私はタマちゃんとか全然気にしたことなかったけど、これを読んだ後はかなり見方が変わった。
2020年10月10日に日本でレビュー済み
死刑廃止論で必ずでる言葉がタイトルだったので購入しました。
が、、、 この本は何も回答につながるような記載はありません。
死刑問題だけの事が書かれてる本ではないので、死刑制度のことを
考えるために本を探してるのなら、他の書籍をおすすめいたします。
死刑制度が被害者遺族のためなら、天涯孤独な人が殺されたら犯人の罪が軽くなってもいいのか?
とありましたが人がこの世に生きてるという事は、その人を産んで育てた人が必ずいるので 真の意味で天涯孤独な人などこの世にはいません。
が、、、 この本は何も回答につながるような記載はありません。
死刑問題だけの事が書かれてる本ではないので、死刑制度のことを
考えるために本を探してるのなら、他の書籍をおすすめいたします。
死刑制度が被害者遺族のためなら、天涯孤独な人が殺されたら犯人の罪が軽くなってもいいのか?
とありましたが人がこの世に生きてるという事は、その人を産んで育てた人が必ずいるので 真の意味で天涯孤独な人などこの世にはいません。