今後のアメリカの対中政策がどうなっていくのかが、興味ふかい。米中貿易戦争と言われる様な状況が生まれた。それは、一体 何を巡って争っているのか?そして、それをお袈裟に仕掛けたのがトランプ大統領。中国に対して「関与政策」から「封じ込め政策」に変化した。
米中貿易戦争は、それがトランプ個人に起因するものなのか、あるいは米国社会の変化に基づくものなのか?トランプが再選されれば続けられるが、バイデンに変われば、対中政策は変わるのか?
米中貿易戦争の行方を注目したい。
アメリカファーストと言って、保護貿易主義にトランプは大きな舵取りをした。コロナ騒動によって、世界貿易の変容は生まれ、人々の往来は極めて少なくなった。ある意味では、コロナ騒動によって、貿易そのものが低減する事態が生まれた。
トランプが、アメリカファーストとして、世界のリーダーという座を降りることで、TPP離脱、2017年6月に気候変動対策のパリ協定から離脱すると宣言し、2019年11月4日に正式に離脱した。大きな世界の力関係が変わってきている。一方で、習近平は、一帯一路、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を中心とした、中国中心のグローバリズムを初めている。トランプが明け渡した隙間に着実に浸透している。米国主導のIMF(国際通貨基金)や、日米主導のADB(アジア開発銀行);68の国が加盟。がある。AIIBは、2020年9月時点で、AIIBには102の国・地域が加盟。2020年7月時点での投融資額は約200億ドル(約2兆1千億円)。先進7カ国であるG7内で見てみると、日本と米国だけがAIIB未加盟。
そういう中で、津上俊哉の「米中経済戦争の内実を読み解く」を読んでみた。
著者は、通産省の役人で、中国日本大使館の参事も経験があり、中国のデータの読み解きは、わかりやすい。
中国では、ニューエコノミー(IT・ビッグデータ経済)が好調だが、オールドエコノミー(官製重厚長大型経済)不振傾向が継続しているという指摘は、重要だ。とりわけ、オールドエコノミーは、国有企業で規模も大きい。権益者があるので、介入も難しい。これが、放置されることが、中国の債権が、積み重なっていく。
「アメリカ人の雇用を奪ったのが、中国である」というトランプの言葉が、エスタブリッシュや中国に不信を感じている人々が、そっくり取り込まれた。その中心的な政策的リーダーが、ナヴァロ 国家通商会議委員長で、「中国がもたらす死」や「米中もし戦わば」を売り物にしている。
中国は、米国債の大量保持者であり、為替問題で争うことは、中国に大量売却させることになるので、為替問題では攻められない。また、中国の首脳陣はよく心得ているので、元安を誘導する。そこで、貿易の関税問題で戦うことになる。アメリカと中国は、新型大国関係として成立している。
台湾、北朝鮮に関してのトランプと習近平のやりとりは、よくつかまれている。北朝鮮は、どうしても核を放棄することは、できないので、それを習近平とトランプの駆け引き材料とされる。
中国は、習近平を中国共産党中央の核心として位置付けることで、江沢民派に対して腐敗摘発に勤しむことができた。一方で、地方政府が、土地の地上げにアクセルを踏み、不動産のバブルが続いている。どう、中国の経済を安定させるかがポイントであるが、中国には「2020年に国内総生産(GDP)を10年の2倍にする」という大きな国家目標があ李開発、習近平も承認している。中国共産党はその達成が貧困層の撲滅、国民の生活水準向上につながると言ってきたので、21年に建党百周年を迎えることもあり、絶対に下ろせない金看板だ。そのためには6.5%以上の成長を続けざるを得ない。
新常態ーニューノーマルの中で、GDP成長だけにとらわれない新しい成長の基準を出せるかにかかっている。中国を総合的に俯瞰的に見ることができた。
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「米中経済戦争」の内実を読み解く (PHP新書) Kindle版
大統領選挙期間中、トランプ氏は「中国製品に45%の関税をかける」という公約を掲げた。当選後の米中首脳会談では一転、中国側が貿易赤字削減のための100日計画を作ることのみが発表されたが、米中の世界経済における覇権争いには今後大きな波乱が訪れるのではないかと考える人も少なくない。本書では、中国経済の的確な見立てに定評のある著者が両国の今後を読み解く。特に、北朝鮮をめぐる「取引(ディール)」がすでに始まっている可能性があると説く。中国がこれまでの基本姿勢を改めて北朝鮮の現体制を崩壊させるように動く代わりに、在韓米軍が撤退する――日本にとっては極めて憂慮すべきシナリオも考えられるというのだ。さらに、後半の章では中国経済の行方を明快に解説。これまで極めて健全であった中央財政の赤字幅も急増しているという衝撃について語る一方、モバイルネットワークを活用した「ニューエコノミー」が急成長しているという明るいニュースも紹介する。
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2017/7/14
- ファイルサイズ8035 KB
商品の説明
著者について
内容(「BOOK」データベースより)
中国経済の的確な見立てに定評のある著者が、「中国は『経済核爆弾』を使えない」などの見通しをもとに両国の今後を読み解く。さらに、「今の中国経済は、90年代の日本と似た状況にある」「中央財政赤字も急増しているという衝撃」など中国経済を明晰に分析。 --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
津上/俊哉
現代中国研究家。1957年生まれ。1980年東京大学法学部卒業後、通商産業省に入省。在中国日本国大使館経済部参事官、通商政策局北東アジア課長、経済産業研究所上席研究員を歴任後退官。2004年に東亜キャピタル(株)取締役社長に就任。2012年より津上工作室代表。『中国台頭』(日本経済新聞社・サントリー学芸賞受賞)他、著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
現代中国研究家。1957年生まれ。1980年東京大学法学部卒業後、通商産業省に入省。在中国日本国大使館経済部参事官、通商政策局北東アジア課長、経済産業研究所上席研究員を歴任後退官。2004年に東亜キャピタル(株)取締役社長に就任。2012年より津上工作室代表。『中国台頭』(日本経済新聞社・サントリー学芸賞受賞)他、著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B07518SYJ6
- 出版社 : PHP研究所 (2017/7/14)
- 発売日 : 2017/7/14
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 8035 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 223ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 306,596位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 1,563位PHP新書
- - 37,189位ビジネス・経済 (Kindleストア)
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中国watcher津上氏の新作である。氏は今年前半の3ヶ月アメリカに滞在し、トランプ大統領の誕生を間近に見て,本書を執筆したそうだ。タイトルはおどろおどろしいが、トランプが就任前に中国を為替操作国として告発すると言っていたことに由来するものにすぎない。前書きで氏は2009年以来の中国経済の予想を概ね正しく推定して来たと自負する。それはそのとおりと思うが、そら見たことか言ったとおりだろ,では本は書けないと序文で言っている。そこで本書の新機軸は,氏の専門である中国経済の現状分析は後半に移して,習近平体制の第一期を総括し,更に今後の予想をすると言う野心的なものだ。
氏によれば、習近平は自身の政治的生き残りのために、党内の経済改革派と守旧派の連立状態をうまく生み出し運営していくと言うスタイルなので,右に行ったり左に行ったりするように見えるのだという。これが事実とすると今後も一貫しない姿勢になると思われ、すると正確な予測も困難となる。トランプ体制と言う今後の先行きがよくわからないアメリカとの相互作用も考えると今後も不確実な国際政治情勢が予測されることは確かだろう。
一方、中国の経済情勢はIMFのいう2スピード・エコノミーと言う状態にある。すなわち、スマホをベースにした民間企業主導の発展しつつあるニューエコノミーと鉄鋼などの国営企業によるオールドエコノミーだ。後者が中国の財政赤字を増大させている改革の必要な部門だが,その改革がうまくいかない。中国は社会主義市場経済と言う鵺のような政治経済体制で、これが共産党支配の基礎を成しているからだ。共産党員のイデオロギーの中核が国有企業であり,その蓄財の根源でもある。そこで市場経済なら破綻処理されて再生していく企業がゾンビ化していく。従って,中国経済は全体としては既にピークアウトしているが、国際的な政治的発言力は漸増していくだろうと言うのが著者の見立てだ。
北朝鮮問題などにも大きく誌面を割き、問題点を整理しているが,一朝一夕にこの問題の解決法を提示することなど誰にもできないだろう。本書は,中国の政治と経済を国際的枠組みの中でデータをもとに冷静に分析するもので,分かることと分からないことを明確にしている点で好感が持てた。
氏によれば、習近平は自身の政治的生き残りのために、党内の経済改革派と守旧派の連立状態をうまく生み出し運営していくと言うスタイルなので,右に行ったり左に行ったりするように見えるのだという。これが事実とすると今後も一貫しない姿勢になると思われ、すると正確な予測も困難となる。トランプ体制と言う今後の先行きがよくわからないアメリカとの相互作用も考えると今後も不確実な国際政治情勢が予測されることは確かだろう。
一方、中国の経済情勢はIMFのいう2スピード・エコノミーと言う状態にある。すなわち、スマホをベースにした民間企業主導の発展しつつあるニューエコノミーと鉄鋼などの国営企業によるオールドエコノミーだ。後者が中国の財政赤字を増大させている改革の必要な部門だが,その改革がうまくいかない。中国は社会主義市場経済と言う鵺のような政治経済体制で、これが共産党支配の基礎を成しているからだ。共産党員のイデオロギーの中核が国有企業であり,その蓄財の根源でもある。そこで市場経済なら破綻処理されて再生していく企業がゾンビ化していく。従って,中国経済は全体としては既にピークアウトしているが、国際的な政治的発言力は漸増していくだろうと言うのが著者の見立てだ。
北朝鮮問題などにも大きく誌面を割き、問題点を整理しているが,一朝一夕にこの問題の解決法を提示することなど誰にもできないだろう。本書は,中国の政治と経済を国際的枠組みの中でデータをもとに冷静に分析するもので,分かることと分からないことを明確にしている点で好感が持てた。
2018年7月4日に日本でレビュー済み
かつて「中国台頭の終焉」を読んで,素晴らしい分析だと思った。未だ中国の成長の勢いが広く信じられていた時代に,問題点を鋭く指摘する議論が精緻。その後,ほぼ著者が言う通りになったと思う。著者が最近の中国をどう見ているのか気になって調べてみると,最新作は約1年前の作だったが読んでみた。さすがに,習近平が3選を可能にしたことやトランプの米朝会談は予見できていないが,中国で何がおこっているか,IMFの統計や自身の中国の人脈情報を駆使してなるほどと唸らされる分析である。隠れもない言論弾圧専制国家である中国は,覇権国家として米国の百分の一も情緒的には魅力がないが,著者が言うように,AIIBでの協調融資等,協調できるところはすべきだ,日本も中国のやることに一枚噛んでおくというのは同感である。いつまでも米国にたよれるのかは,分からない。永遠の友も永遠の敵もない,あるのは永遠の国益である。
2018年2月27日に日本でレビュー済み
著者の著作は、これまでほぼ中国経済分析だったが、本書では、ページ数の過半を政治・外交(第1章~第5章)に充てている。発刊から半年たったとはいえ、中国経済分析の部分(第6章~第8章)は参考になると思った。
習近平自身は経済改革の必要性を認識しているものの、おそらく「党中央の核心」に到達(2016.10)するまでの政治的駆け引きの中で、党内多数派が望む景気アクセルを黙認せざるをえなかったため、政府債務がさらに積み上がっている。実はそれ以前から地方政府財政は相当に苦しく、2015年以降、市以下の地方政府の債務を省政府に付け替える動きが急速に進んでいる。
ただ、中国経済全体が不調というわけではなく、民間セクターは有望な企業も少なくない。とはいえ、公的セクターの国営企業については改革停滞どころか統合強化へと逆行しており、リーマンショック後の経済対策で、優良な国内投資先は食い尽くされている。
しかし「中国バブルがクラッシュして共産党体制が崩壊!」なのかというと、著者はそのような短絡を戒め、「中国は日本と同様に債権大国なので、ダラダラとした景気後退に陥るのではないか」と分析するのである。
また、「中国からの資本流出」が話題になったが、BISの分析によると、元安対策として、企業がドル建て短期借入を繰上返済して元建て負債に持ち替えたこと、並びに、華僑等が人民元建て預金を解約したことで流出の7割が説明できるらしい(『資本流出』の定義が最近変更になっていたというのは初耳だった)。
中国は資本輸出国に転じており、(先端技術を欲してはいても、)外国資金を欲しているわけではないということだろう。したがって、中国にとっての問題は、「中国国内では有望投資先が枯渇しており、過剰貯蓄の行き場がないこと(そのため、危ないと思いつつも都市不動産に流入)」なので、海外投資先を見つけられれば緩和可能なのである。そこで著者は、日本としては、尖閣や南シナ海では対決しつつも、AIIBなどでは協力しておく方が、全分野で対決姿勢をとるよりも、賢明ではないかという。そういえば最近、日米ともAIIBへのスタンスが変化してきているような・・・・・。
習近平自身は経済改革の必要性を認識しているものの、おそらく「党中央の核心」に到達(2016.10)するまでの政治的駆け引きの中で、党内多数派が望む景気アクセルを黙認せざるをえなかったため、政府債務がさらに積み上がっている。実はそれ以前から地方政府財政は相当に苦しく、2015年以降、市以下の地方政府の債務を省政府に付け替える動きが急速に進んでいる。
ただ、中国経済全体が不調というわけではなく、民間セクターは有望な企業も少なくない。とはいえ、公的セクターの国営企業については改革停滞どころか統合強化へと逆行しており、リーマンショック後の経済対策で、優良な国内投資先は食い尽くされている。
しかし「中国バブルがクラッシュして共産党体制が崩壊!」なのかというと、著者はそのような短絡を戒め、「中国は日本と同様に債権大国なので、ダラダラとした景気後退に陥るのではないか」と分析するのである。
また、「中国からの資本流出」が話題になったが、BISの分析によると、元安対策として、企業がドル建て短期借入を繰上返済して元建て負債に持ち替えたこと、並びに、華僑等が人民元建て預金を解約したことで流出の7割が説明できるらしい(『資本流出』の定義が最近変更になっていたというのは初耳だった)。
中国は資本輸出国に転じており、(先端技術を欲してはいても、)外国資金を欲しているわけではないということだろう。したがって、中国にとっての問題は、「中国国内では有望投資先が枯渇しており、過剰貯蓄の行き場がないこと(そのため、危ないと思いつつも都市不動産に流入)」なので、海外投資先を見つけられれば緩和可能なのである。そこで著者は、日本としては、尖閣や南シナ海では対決しつつも、AIIBなどでは協力しておく方が、全分野で対決姿勢をとるよりも、賢明ではないかという。そういえば最近、日米ともAIIBへのスタンスが変化してきているような・・・・・。