「検察は大きな力の操り人形だった」 --元特捜検事が、日産元会長カルロス・ゴーン氏に出国直前まで10時間以上にわたって聞き出し、出国後もテレビ電話で取材を重ねた検察、日産、政府関係者に関する全証言。

田原総一朗氏「この事件は、日産と経産省による正義を装ったクーデターだとはっきりわかった」
堀江貴文氏「これは、日本の司法制度が間違っている、と世界に伝えるチャンスだ」
両氏推薦!

特捜検事として数々の事件を手がけた著者が、ゴーン氏本人に計10時間以上もの単独インタビューを敢行、検察庁の悪慣習「人質司法」の異常性、日産の奇策「内部告発・司法取引」のガバナンス上の大問題、マスメディアの検証なきリーク報道について、プロの目で聴取を行った。その赤裸々な証言から、法曹界、産業界、マスメディアに向けて大きな警鐘を鳴らす1冊が誕生した。
●証言であぶり出された「深層」とは
ジェット機に踏み込む逮捕画像はフェイク!?
検察による「人質司法」の生々しい実態
「自白するまで家族に会わせない」検察の常套手段
ヤメ検弁護士と検事の不気味な関係
ヴェルサイユ宮殿で結婚式を挙げていない
ゴーンを叩き潰そうとしたのは誰か
「ルノーとの合併回避」は口実だった!?

「編集者のおすすめ情報」
カルロス・ゴーン氏はレバノンに出国後、各国メディアの取材に応じましたが、面会が制限されていた保釈中に事件の真相や本音を聞き出していたのは、弁護士を除けば郷原氏だけでしょう。しかもこの本では、ゴーン氏の証言をただ聞くだけでなく、郷原氏が元特捜検事として弁護士として、精緻な分析で検察、日産、ゴーンそれぞれの主張を検証しています。これまで新聞・テレビで見てきた事件の印象が完全に覆るはずです。

本の長さ

322ページ
言語

日本語
出版社

小学館
発売日

2020/4/15
寸法

13 x 2.3 x 18.8 cm
ISBN-10

4093887659
ISBN-13

978-4093887656
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商品の説明

内容（「BOOK」データベースより）

元特捜検事によるロングインタビューは驚きの連続だった。稀代の名経営者は「強欲な独裁者」か、あるいは日本的社内抗争の「餌食」か。世界的な企業スキャンダル。その裏の攻防を、あなたはどう読む―

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

郷原/信郎
1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

出版社 : 小学館 (2020/4/15)
発売日 : 2020/4/15
言語 : 日本語
単行本 : 322ページ
ISBN-10 : 4093887659
ISBN-13 : 978-4093887656
寸法 : 13 x 2.3 x 18.8 cm

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Noguchi-Tokyo

日産・ゴーン事件の本質を焙り出した力作

2020年4月17日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

東京地検特捜部を経験し、長年、弁護士として企業のガバナンス問題に取り組んできた郷原信郎氏がカルロス・ゴーンへの長時間インタビューを通じて「日産・ゴーン事件」の本質を焙り出した力作が「深層　カルロス・ゴーンとの対話」である。ゴーン氏が逮捕された当時TVのワイドショーでは検察リークと思われる情報に基づき、ゴーン氏の強欲さや悪行が感情的に報道されていた。一方、郷原氏は、この本の中で、事実とそれに関連する法律と過去の刑事事件における捜査や判例をベースにいかにこの事件が異常であったかを論理的に明らかにしている。そして、今回の検察の捜査だけでなく、司法取引を利用してゴーン氏を日産から追放した日産のガバナンス問題についても批判している。海外から批判を受けた日本の「人質司法」についても特捜事件と関連づけながら深い考察がされている。多くの読者にとって、郷原氏による事件の鋭い分析とわかりやすい説明は新鮮であり、説得力を持つものになるであろう。

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万世一系

郷原信郎は「法曹界の平賀源内」である

2020年4月21日に日本でレビュー済み

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多芸・多才の人である。

活躍の場は、立法・行政・司法の全てに及ぶ。重要法案が審理されれば公述人・参考人として国会に招致されて自説を理路整然と開陳し、総務省の顧問として、総務省に設置された年金問題監視委員会の委員長として年金行政に辣腕を振るい、法廷では刑事弁護士として古巣である検察と激論を交わす。一方、独禁法の学者としても知られ、大学教授として複数の論文が「ジュリスト」に掲載されている。更に、小説家としての顔も持つ。２０１４年に吉岡秀隆主演でＷＯＷＯＷで放映された「トクソウ」の原作者である「由良秀之」は自身のペンネームであり、検察庁とマスコミの爛れた関係（衝撃的なＰＪの逮捕シーンがフェイクだと判明した今回の「ゴーン事件」が典型的である。本書Ｐ１７）をエンターテインメントの形式で見事に焙り出した。

郷原は松江南高の１年生の時に放映されたＮＨＫドラマ「天下御免」を観て多芸多才の天才・平賀源内に感銘を受けて、江戸ならぬ東京行きを「決意」したとのことであるが、今や「法曹界の平賀源内」とも言える「独自の立ち位置」を確立したと言っても決して過言ではない。エレキテルで知られる源内が蘭学者・地質学者・医者・発明家と「理系」だったことも「東大理学部」出身の郷原と相通じるものを感じさせる。源内がエレキテルを入手したのが「長崎」時代だったのに対し、郷原が次席検事として、特捜部は疎か特別刑事部すら存在しない正真正銘の「地方」検察庁による自民党県連による違法献金事件を立件したのが「長崎」であることも偶然とは思えない。
また、源内が理系の一方で「コピーライター」としても知られ、令和の現代まで語り継がれている「江戸前」はその代表作であるが、郷原においても「コンプライアンス」という今や我が国の誰もが知るタームを現代の日本社会に定着させたことも興味深い（２０１０年に事務所名を「郷原総合コンプライアンス法律事務所」に改称）。

郷原の天才を語るには「青梅談合事件」に言及すれば足りよう。被告人は「人質司法」（もはや「地獄司法」と呼ぶべきである）から逃れて保釈を獲得するために捜査段階で虚偽の自白に転じ第１回公判期日においても起訴事実を全面的に認めた上、自白調書を含む検察官の請求証拠の全てに同意した「恩典」として保釈された。しかしながら、夫の無実を知る妻は藁にも縋る思いで「現代の駆け込み寺」である郷原に出馬を要請し、弁護人となった郷原は第２回公判期日で一転して否認に転じた。我が国の刑事裁判を少しでも知るものなら、これぞ「六日の菖蒲」「十日の菊」であり、既にゲーム・セットのサイレンが球場に鳴り響いていることは理解できる。「時、既に遅し」なのである。しかしながら、郷原は、ここから不屈の闘志で徹底的な反証活動を開始し、検察をして「補充立証の時間が欲しい」とまで言わしめるまで検察を追い込む。そして、迎えた２０１９年９月２０日、東京地裁立川支部の野口佳子裁判長は被告人に「無罪」を言い渡した。もはや「ドラマ」としか言い様がない。

You Tubeチャンネル「郷原信郎の日本の権力を斬る！」にゲスト出演したThe wall street journal 東京支局長ピーター・ランダース（ＴＢＳ「新・情報７ＤＡＹＳニュースキャスター」のコメンテーターであり父親が弁護士であるとのこと）は、「ゴーン事件」につき「私が東京支局長をやっている間の最大の事件です」と郷原に語っているが、郷原の最新著である本書を一言で表せば、「（コロナ禍という）最悪のタイミングで出版された最高のゴーン本」と言えよう。内容の素晴らしさについては他のレビューを参照して頂きたいが、一点だけ強調しておきたいことがある。それは、「ゴーンの国外逃亡によってゴーン事件が過去のものになった訳では断じてない」ということである。第１に、金商法違反によって全く同一の被疑事実で起訴されているグレッグ・ケリーの刑事事件が残っているからである。特捜部によるカルロス・ゴーンの逮捕・起訴という「人質司法」（地獄司法）の当否は、今後、裁判所によって厳正な審査がなされることになるのである。第２に、今年（２０２０年）２月に日産がゴーンを被告として提訴した１００億円の損害賠償請求事件が横浜地裁に係属しているからである。その意味で、本書はケリーの刑事弁護団にとっても、ゴーンの民事弁護団にとっても「大いなる福音」となるであろう。

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紙魚子

検察特捜部と日産の卑劣さと不気味さ

2020年4月22日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

まず冒頭が衝撃的だ。
ゴーン逮捕の時にテレビ各局が放映した、検察官がプライベートジェット機に乗り込んで行くシーンは全くの捏造であったという書き出しから始まる。

その後に続く一連の事件の顛末は、ほぼ報道し尽くされた通リであり、特に見新しい事実が明かされているわけではない。
だが、後半の第5章「”人質司法”と”日本版司法取引”の問題」に及ぶと、著者の筆法は一段と鋭さを増し、一旦立件すれば有罪率９９％という日本の検察、特に特捜検察の持つ「冷酷な人権無視の組織権力」と、本来、コーポレートがヴァナンス問題として処理されるべき企業内権力闘争を、司法との「闇取引」でトップ経営者の寝首を欠くという行為で解決を図った日産経営陣の陰惨さを、順序だてて分かり易く解明していく。ゴーンは何の理由で逮捕されたかも碌に説明を受けず、逮捕の裏に自分の部下たちの手が及んでいたことも知らずに最初は日産に援けを求めたのだという。

そんなゴーンが、何故大きな危険を冒してまで国外逃亡を企てたのか、それに対する答えは、最初にゴーンの弁護人になり、その後に弘中弁護士と交替させられた元東京地検特捜部長の大鶴弁護士の言動がヒントを与えてくれる。

大鶴弁護士はゴーンに「有価証券報告書虚偽記載の金商法違反は形式犯に過ぎず、有罪になっても微罪で執行猶予付きの判決が出るだろうから、さっさと”自白”して一件落着にしてしまった方が利口だ。そうでないといつまでも勾留が続く」と説得したという。
この大鶴弁護士の発言は恐らく検察の真意を突いたものだろう。検察は初めから逮捕容疑の金商法違反は「大した罪じゃない」と考えており、強引な勾留を続けていれば、ゴーンは嫌気がさして罪を認めて早くシャバに出て帰国したいと考えるだろうという筋書きを描いたのだ。

ところが、ゴーンが絶対に一切の罪を認めないために勾留期間が長くなり、「形式犯での長期勾留」に対する批判が高まったため、やむなく、殆ど有罪に持ち込める可能性のない3件の時別背任罪をでっちあげたうえで、海外出国禁止と夫人との面会禁止の条件を付けて渋々保釈した。

ところが、この特別背任罪容疑（スワップ取引の付け替え、サウジ・ルート、オマーン・ルート）が曲者で有罪に持ち込める証拠が乏しい。だが証拠が乏しいからと言って簡単に無罪判決も出ず、裁判は長期間に及ぶ可能性が高い。裁判が長引けば長引くほど、特捜検察はありとあらゆる手段を行使して、ただひたすら裁判を長引かせる。それは日本人でないゴーンにとっては日本国内に閉じ込められた軟禁状態が続くことになる。たとえ一審で無罪になっても検察は必ず上告するから、控訴審までを視野に入れたら軟禁状態は10年以上続くことになり、既に60台半ばのゴーンにとってはビジネスマン人生の終わりを意味する。しかもその間妻との面会も許されない。これが特捜検察の最有力の武器である「人質司法」だ。10年以上も経ってしまえば、仮に無罪の判決に漕ぎつけたとしても世間の関心は薄れ、ゴーンには日産への復帰の可能性はなく、検察も人事異動で起訴当時の責任者はいない。

こういうことを企む経営者が経営する日産という会社と、そして「正義」の名のもとにこんな卑劣な「組織権力」行使する検察特捜部は、ともに何という不気味で不快な組織なのだろう。

森雅子法務大臣は、ゴーンが無実だと言うなら、「堂々と裁判で決着をつけよ」と言い、マスコミもそういうことを言う。だがそれなら彼らは、「白黒の決着をつける裁判は、推定無罪の原則を順守しつつ速やかに進めろ」とは言わない。身に覚えのない罪状の決着のために、10年もの日時を無駄にさせられ、ビジネスマンとしての人生を奪われてしまうことに絶望し、あまりにも不公正な日本の司法の在り方に怒りをぶつける手段としてゴーンが選んだのが、150億円もの保釈金を放棄したうえでの逃亡劇だったのだ。
本書は以上の事を、法曹家らしい冷静且つ緻密な筆致で述べていき、良い始めたら一気に300予ページが読めてしまう。

22人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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Kiyo

資料として貴重

2020年4月18日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

マスメディアの感情的で思考停止したような報道で全体像が見えなくなっていた。この本は資料として貴重。読後の感想は、理にかなわないことを実行する特捜とそれを支援するメディア報道の怖さを感じました。ゴーンさんは経営者として偉大であっても、日本人とのコミュニケーションエラーを甘く見た点と後継者として経営者として能力不足の西川さんを選んだ事で失敗したと思います。

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