『ぼくは、戦略から学べることで最も大切なのは「勝てる場面で戦う」ことだと考えた。勝てる場面を見つけることこそが、最大の「準備」となる。なぜなら勝てる場面で戦うのと、勝てそうにない場面で戦うのとでは、同じ努力をしても成果が大きく違うだろうからだ。
ここでいう「場面」とは、地域であったり、商品分野であったり、特定の顧客であったり、タイミングであったり様々だ。成果を上げられる営業とは、勝てる場面を見つけられる者のことだと考えた。
たとえば自分が担当する代理店が10あったとする。そのすべての店をまんべんなくケアしていたのでは、いずれも中途半端にしか力を割くことができない。力を割くべきは、サーモスでも勝てそうな2、3の店なのだ。
ともすると営業は規模の大きな客先ばかりを優先してしまうが、それは正しくない。規模が小さくても勝てそうなところに力を入れることが戦略として正しいのだ。
〜略〜
「800ミリって、ゼウスやカイザーが力を入れていないサイズなんだよ。それで売れてるんだ。そういう美味しい商品を逃す手はないぞ。定番棚には、なるべく入れるようにしようぜ」
伊能課長の言葉にぼくは大きくうなずいた。魔法瓶のような成熟市場で売るには、競合会社の動きが重要になる。サーモスのような弱者は、ゼウスやカイザーの盲点を突くべきなのだ。こういう情報共有こそが、営業会議で必要なことなのだ。』
弱者が勝つための方法であるランチェスター戦略で、「戦略と戦術の違い」も知らない若手営業マン数名で始めた活動がやがて会社をトップ企業に導いてゆく、という小説です。作中に出てくるサーモス(実在の会社!)で営業をしていた筆者の実体験が反映されているらしく、ところどころ妙な生々しさがあってグイグイ読めました。
題名には「奇跡の物語」とあるけれども、これはもっともな理屈に基づいて正しい行動・努力を積み上げた結果としての成功だと思います。
一般的にこういう経営戦略の本は経営者や管理職の人を読者対象にしているのだろうけれども、「営業は理屈じゃない!」という言説に違和感をおぼえる現場の営業マンにオススメできる本です。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。

Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。