文春学藝ライブラリー『「小さきもの」の思想』柳田国男 柄谷行人編 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784168130113
山人について、農政学について、それぞれ柳田国男のアンソロジーはすでにある。
だから本書の独自性は『遊動論』との関係にある。同書引用箇所の1/3‾1/2はカバーしてる。
ただ学術的な農政学に関しては省略され、読み物として興味深い(主に『日本近代文学の起源』で扱ったような子供社会の)言葉の問題、大正デモクラシー関連が追加されている。
文学的なプロフィールが冒頭に置かれ、その流れでも読める。
ちくま文庫より一行が一文字多くその分活字が小さいし、全体に割高だが、各章2頁づつ計15‾6頁になる解題は『遊動論』がさらに圧縮されたもので且つわかりやすいのでオススメ。
「柳田国男の仕事は、一言でいえば、近代の発展の中で急速に廃れ忘れられていくものを記録することであった。それは先ず、消滅してしまうものへの供養であり、 且つ、そこから得た将来に役立つかもしれない知恵を保存することである。(……) 柳田はこのような仕事を、たんに学者としてではなく、詩人、官僚、ジャーナリス トとして現実に深くコミットする中で成し遂げた。(……)本書は、柳田のそのよ うな生涯を展望できるように編集されている」(「はじめに」より)
収録作品(はじめと各章に一頁づつの解題がつく。☆は『遊動論』で言及されていないもの):
はじめに
第一章 文学と柳田国男:
柳田国男自伝☆
文学の思い出 抄 『故郷七十年』より☆
新体詩 夕づゝ 「野辺の小草」より
第二章 山の人生:
幻覚の実験 『妖怪談義』より☆
幽冥談
九州南部地方の民風
遠野物語 抄
山の人生 抄
山人考 『山の人生』より
山民の生活☆
第三章 島の人生:
日本郷土の特色 『民間伝承論』より
島の話 抄 『青年と学問』より
南島研究の現状 抄 『青年と学問』より
島々の話 その四 抄 『島の人生』より
豆手帖から 抄 『雪国の春』より☆
第四章 「大正デモクラシー」を担う:
ジュネーブの思い出
青年と学問 抄 『青年と学問』より
政党と階級意識☆
七月一日から愈々(いよいよ)排日法の実施につき☆
第五章 民俗学=史学の方法:
実験の史学 抄
単独立証法 『国史と民俗学』より☆
我々の方法 『民間伝承論』より
東北と郷土研究 抄 『東北の土俗』より
比較民俗学の問題☆
第六章 日本の歴史:
親方子方 抄(☆)
労働『郷土生活の研究法』より
親分割拠『明治大正史世相篇』より(☆)
聟入考 抄 『婚姻の話』より☆
旅と商業 『明治大正史世相篇』より☆
家の話☆
第七章 小さき者と言語:
子供と言葉
童児と昔 抄 『小さき者の声』より☆
国語成長のたのしみ(一) 『少年と国語』より☆
キミ・ボク問題 『少年と国語』より☆
知ラナイワ 『毎日の言葉』より☆
昔話と伝統と神話 抄 『口承文芸史考』より☆
嗚滸の文学 抄 『不幸なる芸術』より☆
第八章 死者との交通:
神道私見 抄
日本の祭 抄
先祖の話 抄
柳田国男年譜
編集付記
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