「国民の負託に答える大学・研究を」と政府が言う時の「国民」が、
「財界」と同義語だというのは、ものすごく的確な指摘だと思う。
さらに、著者が最終章で指摘している、過剰な競争主義により、研究教育現場で
引き起こされている弊害に関する指摘は全くその通りで、完全に同意する。
なお、薄々分かってはいたが、どうしてどこの大学の学長の言う「改革」も、
コピペのように画一的で没個性(国際化・地域連携・アクティブラーニング・
クオーター制・・・)なのかがよく理解できた。
大学関係者は必読の本。
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「大学改革」という病――学問の自由・財政基盤・競争主義から検証する 単行本(ソフトカバー) – 2017/7/25
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「役に立つ学問」という幻想、「純粋な学問」という神話
大学改革における論点を整理し、
改革を推進する側と批判する側の根拠や正当性を再考する。
「大学とは何か・今後どうあるべきか」を考えるために
知っておくべき手がかりがここに。
【書評掲載】
●2017年9月10日『毎日新聞』今週の本棚「正しく考える技術 教える大学に」(評者・海部宣男氏)。
●2017年9月17日『共同通信』より配信「模索のための見取り図」(評者・平川克美氏)。『信濃毎日新聞』『京都新聞』『徳島新聞』…ほか20紙に掲載。
●2017年10月1日『朝日新聞』書評「一歩立ち止まって考える上で必読の書」(評者・諸富徹氏)。
【目次】
第1章・日本の大学の何が問題なのか――大学改革の論点と批判
第2章・なぜ巨額の税金を使って「学問の自由」が許されるのか
1 ウニヴェルシタス――中世社会に花開いた自治的組合
2 近代国家の形成と大学の変質
第3章・大学の大衆化と「アカデミック・キャピタリズム」
1 大学の大衆化と機能分化
2 一九八〇年代以降の展開
第4章・選抜システムとしての大学
1 大学入試改革の過去と現在
2 そもそも、なぜ日本の大学には入学試験があるのか
3 大学で職業教育は可能か
4 どんな職業に就いても(あるいは就けなくても)生きていける社会を
第5章・競争すればよくなるのか
1 教育は競争で改善するか
2 研究は競争で改善するか
おわりに――大学になにができ、なにができないか
日本における大学は、遅れて近代化を始めた国に特有の歴史的背景を有し、企業の日本的経営や雇用保障優先の社会保障体制とも絡み合って成立している。大学の問題は、大学だけの問題ではない。そこで問われているのは、日本社会全体のあり方なのである。(「おわりに」より)
大学改革における論点を整理し、
改革を推進する側と批判する側の根拠や正当性を再考する。
「大学とは何か・今後どうあるべきか」を考えるために
知っておくべき手がかりがここに。
【書評掲載】
●2017年9月10日『毎日新聞』今週の本棚「正しく考える技術 教える大学に」(評者・海部宣男氏)。
●2017年9月17日『共同通信』より配信「模索のための見取り図」(評者・平川克美氏)。『信濃毎日新聞』『京都新聞』『徳島新聞』…ほか20紙に掲載。
●2017年10月1日『朝日新聞』書評「一歩立ち止まって考える上で必読の書」(評者・諸富徹氏)。
【目次】
第1章・日本の大学の何が問題なのか――大学改革の論点と批判
第2章・なぜ巨額の税金を使って「学問の自由」が許されるのか
1 ウニヴェルシタス――中世社会に花開いた自治的組合
2 近代国家の形成と大学の変質
第3章・大学の大衆化と「アカデミック・キャピタリズム」
1 大学の大衆化と機能分化
2 一九八〇年代以降の展開
第4章・選抜システムとしての大学
1 大学入試改革の過去と現在
2 そもそも、なぜ日本の大学には入学試験があるのか
3 大学で職業教育は可能か
4 どんな職業に就いても(あるいは就けなくても)生きていける社会を
第5章・競争すればよくなるのか
1 教育は競争で改善するか
2 研究は競争で改善するか
おわりに――大学になにができ、なにができないか
日本における大学は、遅れて近代化を始めた国に特有の歴史的背景を有し、企業の日本的経営や雇用保障優先の社会保障体制とも絡み合って成立している。大学の問題は、大学だけの問題ではない。そこで問われているのは、日本社会全体のあり方なのである。(「おわりに」より)
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社明石書店
- 発売日2017/7/25
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104750345466
- ISBN-13978-4750345468
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出版社より
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教育のディープラーニング | コロナ禍が変える日本の教育 | 学校の社会学 | 学力工場の社会学 | |
内容紹介 | 世界に働きかけ、世界を変革するための学びをどうつくりだすか。7か国1,200校が参加する「ディープラーニングのための新しい教育法(NPDL)」プロジェクトの理論と実践を簡潔に整理し、学校からシステムレベルに及ぶ包括的な教育変革の道筋を示す。 | コロナ禍によって突然、現場にもちこまれた小・中・高校の一斉休校。年度末の最後の日々を失った子どもたちにどのようなケアをするか…。なかなか進まないICT教育を一気に導入するチャンスに転換する…。20の現場からあがった声がコロナ後の教育の展望を語る。 | 教育社会学研究の入門書として、多民族・多文化が混在するフランスを題材に、学校教育の諸課題、とりわけ教育と不平等のダイナミクスを扱った研究の歴史的展開と現在を俯瞰する。教育と人間・社会・文化の関連について初学者にもわかりやすくまとめた一冊。 | 英国において移民が多く暮らす地域にあり、学力向上の成功例とされる民営化公立学校に密着した学校エスノグラフィ。新自由主義的教育改革と規律主義が結合して、人種・階級問題が複雑化し教育格差が再生産されていく状況を描いた教育社会学研究の労作である。 |
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日本と世界の学力格差 | 学力を支える家族と子育て戦略 | 学力格差に向き合う学校 | 世界のしんどい学校 | |
シリーズ・学力格差 | 日本と世界の学力格差の現状の総合的な把握を試みる。PISA・TIMSSといった国際学力調査から日本の学力実態を論じるとともに、日本の自治体で実施された学力調査から、国際調査ではわからない日本の学力格差の実態について分析を行う。 | 日本の大都市圏の子育て世帯を対象にした就学前後4年間の追跡調査をもとに、各家庭が有する資源や資本を活用しながら展開する子育て戦略が学力とどう結びついているのかを、調査データの解析およびさまざまな家庭への丁寧な聞き取りにより検討する。 | 日本の小・中学校、計4校の3年間にわたるフィールド調査をもとに、子どもたちの学力の変化について検討。子どもたちの家庭背景をふまえた上で、とりわけ低学力層の学校経験や学力形成の動態を捉え、学力格差の拡大・縮小のダイナミクスを解明する。 | 韓国、香港、シンガポール、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、計7カ国の「しんどい」地域(低所得層や移民が多く居住する地域)に立地する小学校で、学力格差の問題がどのように解決されようとしているかという国際比較研究を行った成果である。 |
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「役に立つ学問」という幻想、「純粋な学問」という神話。大学改革における論点を整理し、改革を推進する側と批判する側の根拠や正当性を再考する。「大学とは何か・今後どうあるべきか」を考えるために知っておくべき手がかりがここに。
著者について
山口裕之(やまぐち・ひろゆき)
1970年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、徳島大学准教授。専門はフランス近代哲学、科学哲学。主な著書に、『コンディヤックの思想』(勁草書房、2002年)、『人間科学の哲学』(勁草書房、2005年)、『認知哲学』(新曜社、2009年)、『ひとは生命をどのように理解してきたか』(講談社、2011年)、『コピペと言われないレポートの書き方教室』(新曜社、2013年)、『人をつなぐ対話の技術』(日本実業出版、2016年)ほか。
1970年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、徳島大学准教授。専門はフランス近代哲学、科学哲学。主な著書に、『コンディヤックの思想』(勁草書房、2002年)、『人間科学の哲学』(勁草書房、2005年)、『認知哲学』(新曜社、2009年)、『ひとは生命をどのように理解してきたか』(講談社、2011年)、『コピペと言われないレポートの書き方教室』(新曜社、2013年)、『人をつなぐ対話の技術』(日本実業出版、2016年)ほか。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山口/裕之
1970年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、徳島大学准教授。専門はフランス近代哲学、科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1970年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、徳島大学准教授。専門はフランス近代哲学、科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 明石書店 (2017/7/25)
- 発売日 : 2017/7/25
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 296ページ
- ISBN-10 : 4750345466
- ISBN-13 : 978-4750345468
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 190,022位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
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2018年2月14日に日本でレビュー済み
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2019年9月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
多面的に論じられている。
「彼氏作りたいから友達紹介して」と言われて、「そもそも友達の定義について考えたい。」
そんな感じの周りくどい本。
しかし、非常に多面的に捉えられており、深く物事が見れる。真面目か!と思わずツッコミたくなる、そんな本。
私個人の感想として、
筆者は、
「そもそも評価では、主体的になれない。(評価されるような行動しかしなくなる)」
「そもそも受験は、詰め込み暗記に勝ち残る人を選抜機能しかないよね。(それで本当に豊かになれるの)」
「そもそも中央教育審議会の答申は抽象的な表現ばかりで、具体的な行動が書いていない。(アメリカのビジョンを真似した、ビションだけ語っても。。)」
「そもそも社会保障充実させるべき。(なぜ限定的にしか保証されないから、日本は豊かになれない。)」
などなど、この本の9割をかけて、評価(小言・疑問)を繰り返し、
「本当に日本ってこのままでいいの?」と石を投げまくり、波紋を起こすが
最も大切な筆者の意見が「考える人を作る教育をしよう。」とぼんやりしまくっている。
私は、
「そもそも大学や高校なんて不要だよね。
だって、東大卒より、YouTuberの方が収入良いよ。」
という子ども達が増えている中で、
さらにもう一歩先の高等教育機関のあり方が知りたかった。
(筆者の考え方は、まだ大学が必要だという前提で話されているため、
完全に多面的とは言い難いと感じた。)
ただ「大学改革ってもはや病気だよね」という本でしかないため、
2500円の一冊の本に、そこまでの議論は求めきれない。
全体として非常に読みやすく、
参考になる記載も多いため星5と評価する。
筆者には、2025年ぐらいに第二弾、「今後2040年に向けて教育はどうあるべきか」
について是非本を出版してほしい。
今度は、
石を投げる 1割
筆者の意見 9割
と、この本から割合を反転して、
「日本(世界)が良くなるためには、どうすれば良いかについて、100個のアイディアを考えてみた。」
と、筆者の意見を具体的に聞きたい。
例えば、世界一斉に、16歳以降は、学校無くして、
世界中の授業などのコンテンツをWEBに挙げて、
全員が無料で見れる状態にする。
そうすることでと、学びたい人が思いっきり学べる環境が作れる。
ぐらいの斬新な意見も聞きたい。
「彼氏作りたいから友達紹介して」と言われて、「そもそも友達の定義について考えたい。」
そんな感じの周りくどい本。
しかし、非常に多面的に捉えられており、深く物事が見れる。真面目か!と思わずツッコミたくなる、そんな本。
私個人の感想として、
筆者は、
「そもそも評価では、主体的になれない。(評価されるような行動しかしなくなる)」
「そもそも受験は、詰め込み暗記に勝ち残る人を選抜機能しかないよね。(それで本当に豊かになれるの)」
「そもそも中央教育審議会の答申は抽象的な表現ばかりで、具体的な行動が書いていない。(アメリカのビジョンを真似した、ビションだけ語っても。。)」
「そもそも社会保障充実させるべき。(なぜ限定的にしか保証されないから、日本は豊かになれない。)」
などなど、この本の9割をかけて、評価(小言・疑問)を繰り返し、
「本当に日本ってこのままでいいの?」と石を投げまくり、波紋を起こすが
最も大切な筆者の意見が「考える人を作る教育をしよう。」とぼんやりしまくっている。
私は、
「そもそも大学や高校なんて不要だよね。
だって、東大卒より、YouTuberの方が収入良いよ。」
という子ども達が増えている中で、
さらにもう一歩先の高等教育機関のあり方が知りたかった。
(筆者の考え方は、まだ大学が必要だという前提で話されているため、
完全に多面的とは言い難いと感じた。)
ただ「大学改革ってもはや病気だよね」という本でしかないため、
2500円の一冊の本に、そこまでの議論は求めきれない。
全体として非常に読みやすく、
参考になる記載も多いため星5と評価する。
筆者には、2025年ぐらいに第二弾、「今後2040年に向けて教育はどうあるべきか」
について是非本を出版してほしい。
今度は、
石を投げる 1割
筆者の意見 9割
と、この本から割合を反転して、
「日本(世界)が良くなるためには、どうすれば良いかについて、100個のアイディアを考えてみた。」
と、筆者の意見を具体的に聞きたい。
例えば、世界一斉に、16歳以降は、学校無くして、
世界中の授業などのコンテンツをWEBに挙げて、
全員が無料で見れる状態にする。
そうすることでと、学びたい人が思いっきり学べる環境が作れる。
ぐらいの斬新な意見も聞きたい。
2018年5月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ある読書会のテキストになったので、読みました。
題名から受ける印象とは異なり、かなり幅広く、日本社会の現状と大学のあり方を考えるヒントになる良書だと思います。
「大学改革」なるものの背景を、広い文脈の中で捉えていますし、説明の基礎となるデータや事実の提示も、しっかりしています。
おそらく著者が、真摯に大学のあり方を、かなり根本的に見つめ直していることが、この本の面白さの背景ではないでしょうか。
題名から受ける印象とは異なり、かなり幅広く、日本社会の現状と大学のあり方を考えるヒントになる良書だと思います。
「大学改革」なるものの背景を、広い文脈の中で捉えていますし、説明の基礎となるデータや事実の提示も、しっかりしています。
おそらく著者が、真摯に大学のあり方を、かなり根本的に見つめ直していることが、この本の面白さの背景ではないでしょうか。
2018年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大学の現状を良くご存知。哲学科出身の著者なのに実験科学の実情を良くわかっている。改革といいながらほとんど改悪に終始している大学の上層部や文部科学省のお役人に是非読んでもらいたい。日本の科学は崩壊寸前。
2018年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日夜学生と接している賜物なのか、筆者自身の頭脳明晰ゆえなのか。内容的にもいちいちもっともだと感じます。現代の日本政治は、酒や煙草の値上げだの、年金額引き下げだのと、弱い一般国民と大学や初等・中等教育機関を苦しめることしか能がない、出来の悪い姑のような存在だ。と思えてきます。まあ、一方で一般国民は、大学については例えば東北大学と東海大学の区別もつかないレベルの人が多いのも事実です。ともあれ、今の政治はまるっきり教育についての正しい理解も国造りの根幹としての教育の重要性もわかってないですから、今後筆者の言う『病』はあっという間に大学界全体を蝕み、ただでさえ少子化なのにその子どもたちをさえ罹患させることでしょう。いっそ、こんな国は倒産して、赤字再建団体になるか、アメリカの属州になるか、すればいい、などとバカな思いが脳裏をよぎります。
ベスト1000レビュアー
世間で言われる大学改革は本当に意味があるのか。
欧米と日本の大学の歴史にふれ、なぜ大学の学問の自由が保障されるべきなのかから始まり、選抜機能など大学(受験)教育以外の機能についてもふれ、そこからあるべき大学教育は何かを説いていく。
これは就活とも重なるところだが、受験の競争が厳しく人々の人生が追われてしまうのは受験システムの問題というより社会保障などの社会システム全体の問題なのだと思う。競争がうまく行えればよくなるという考えは危ういと感じた。
大学だけに留まらず教育、社会を考える上での必読書。
欧米と日本の大学の歴史にふれ、なぜ大学の学問の自由が保障されるべきなのかから始まり、選抜機能など大学(受験)教育以外の機能についてもふれ、そこからあるべき大学教育は何かを説いていく。
これは就活とも重なるところだが、受験の競争が厳しく人々の人生が追われてしまうのは受験システムの問題というより社会保障などの社会システム全体の問題なのだと思う。競争がうまく行えればよくなるという考えは危ういと感じた。
大学だけに留まらず教育、社会を考える上での必読書。
2017年10月7日に日本でレビュー済み
現在、大学(教育)改革の一環として、文系特に文学や哲学の有用性に疑義が突きつけられる中、まさに歴史、政治、思想、教育といった学問横断的に「教育問題」を分析し尽くした一冊。現時点で、おそらくここ前後10年のスパンで考えてもこの一冊で教育問題は論じられるだけのデータと、問題点の指摘に溢れた一冊。中世大学の発端から紐解き、その後の国民国家の成立とともに大学自治のレベルの変遷は、法文上「大学自治」が保障されているという理解とは異なることが理解できる。