出口治明「全世界史講義Ⅰ」を読みました。
大変な労作・力作です。
著者は、ライフネット生命保険会社の創業者であり、立命館アジア太平洋大学学長です。
この本を書かれたバックボーンは、1万冊に及ぶ読書量と世界の1200の各都市を訪れた経験でしょう。
私の日本歴史の基本書は、石森章太郎「マンガ日本の歴史 全55巻」です。
手頃な世界史の基本書を探していたのですが、この「全世界史講義 Ⅰ・Ⅱ」は、それに相当するようです。
歴史年表としては、何と言っても松岡正剛「情報の歴史」があります。
縦横の歴史を詳細に横断的に描いていて、込み入った歴史本を読むときには、いつも隣に並べて参照しています。
ただ、そこは優れているとは言え年表であり、単なる歴史的史実の羅列で、参照には役立っても、読み物としては面白くありません。
歴史とは、歴史を描く立場の者が、膨大な歴史的史実の中から特定の史実を種々選択し、他の史実との関係性を見つけ、キーワードで結びつけ、影響・波及効果を考察し、物語として成立させ、自分の意見を歴史観として主張するものだと考えます。
この本は、文字資料が残っている紀元前5000年頃から世界史を説き始め、この巻では西暦1400年頃までを描いています。
私の世界史の知識は半世紀前の高校生時代からフリーズしています。
一読すると、世界史の研究は随分と進んでいて、自分の知識常識が古くなってズレていることを痛感します。
モンゴル帝国の繁栄によって初めて世界史と呼べる歴史が始まっています。
モンゴル帝国の興隆、繁栄、拡大により交通、農業、建築、文化、技術、宗教、法律、政治体制が東西に及んで交が盛んになります。、
それまでは地域史であり、地中海、インド、中東、中国がそれぞれの地域で文明を築いていました。
宗教的には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンズー教、儒教の変遷がかいつまんで理解できます。
一読すると、歴史は各地域の支配勢力の間の絶え間ない勢力争い、戦争、内乱です。
モンゴル世界帝国、ローマ帝国、秦隋唐明の中国帝国、イスラム帝国など強大な帝国が支配統治している期間のみ、大きな戦争は起きていません。、
各帝国の栄枯盛衰を見るとタジタジとなり、ため息が出ます。
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