今回の対談は、たまたま街の中で久し振りに出会った私たちが、お茶を楽しみながらといった感じの自由対談でしたから、話題も多岐にわたり、実に楽しい知的時間を過ごさせていただきました。その中でも、特に「思う」ということから「考える」、そして「感じる」ことへのプロセスが科学の本道であり、分析と統合との同時進行が、正しい物事の判断に到達するという視座が重要であるという点で、共感が得られたことは大きな喜びでした。(佐治晴夫氏「あとがき」より)
佐治さんと私は、大学で教師を勤めたという共通点しかない。研究対象は、佐治さんは宇宙、私は解剖だから人である。それでも両方を一緒にすればマクロコスモスとミクロコスモス、なんでも語ることができる。そういういい加減なことを考えながら、対談に臨んだ。ともあれしばらくぶりにお会いできて、よい時間を過ごさせていただいた。だれかに会うことの幸福を感じさせてくれる、そういう機会は決して多くないのである。(養老孟司氏「もう一つのあとがき」より)
大ベストセラー「バカの壁」でさまざまな波紋を投げかけた解剖学者と、137億年の宇宙から「人間とは」「いのちとは」を説く理論物理学者が憂い、また期待を込めて語る。言葉、音楽、日本語、感性、対極・陰陽、数学、情緒、美、日本、教育、環境、人間、男と女…。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐治/晴夫
1935年東京生まれ。理学博士。立教大学理学部卒、東京大学大学院物理学専攻。東京大学物性研究所、玉川大学教授、県立宮城大学教授などを経て、2004年より鈴鹿国際大学・短期大学部学長。無からの宇宙創生の理論、ゆらぎ理論の第一人者。1/fゆらぎを“ゆらぎ扇風機”などの家電製品に応用したことでも知られる。米航空宇宙局(NASA)の太陽系・外惑星探査機ボイジャーにE.T.へのメッセージとして、バッハのプレリュードの録音盤を搭載した話は有名
養老/孟司
1937年神奈川県鎌倉市生まれ。医学博士。東京大学医学部卒業。1995年東京大学医学部教授を退官。1996年より北里大学大学院教授。東京大学名誉教授。専門は解剖学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)