本書は「WIRED.jp」に連載された米国大統領選に関する記事をベースとしている。そのかなりの部分は予備選、全国大会からTV討論など、本選までの状況を伝えており、2016年の米国大統領選を後から振り返る際の「史料」となり得るものである。
一方、本書の見所は本選後の「振り返り」と今後の展望にある。
オックスフォード英語辞典が「2016年の言葉」に「post-truth」を選んだ背景には、Brexitや米大統領選に見る如く、人々の意思決定には必ずしも事実かどうかの検証は必要なくなったこと、マスメディアの信頼が失われ、ソーシャルメディアの影響力が高まったこと等が挙げられるとしている。特に米国では最初にニュースに触れる手段の6割がFacebookであるという事実は意外である。
更にフェイクニュースの発信元は米国外の若者が広告で稼ぐために立ち上げたものであり、候補者に関するサイトの中で最も「食いつき」が良かったのがトランプのものであった為に結果として普及した(その背景には、主要メディアがトランプを真っ当な視点で取り上げて来なかったことも影響している)のという実態には驚かされる。また、その若者たちの所在地が旧共産圏であったことから、ロシアの陰謀説にもつながったことも
不思議ではない。
トランプ、ヒラリー・クリントンを軸にオバマ大統領やその他の政治家も多数登場するが、どちらの勢力にも与せず、ニュートラルな立場から、冷静な視点で大統領選の推移とその底流に流れる「ポスト・トゥルース」時代の始まりを記している好著である。
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