Amazon.co.jp: 希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学のCropleyさんのレビュー
カスタマーレビュー

 
133 人中、121人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 不愉快な良書, 2009/10/21
By Cropley
結論としては読んでおく本だと思う。
世にあまたあるやっつけ経済本とは本質的に違うと強く感じた。

一冊を通じてポピュリズムが皆無である。“人を大事にしよう”とも“良い世の中にしよう”とも言わない。徹頭徹尾“日本の効率を改善するには何が問題で、何をすべきか”を論じている。池田信夫は世間に良い人だと思われなくても構わないらしい。だから一切ためらいながない。

しかしながら「俺の言うことが分からないヤツは馬鹿」と言わんばかりの文章には何度もイラッとさせられる。まあ確かにボクとはデキが違うのは事実なのだが、人は馬鹿扱いされると、しかもそれが事実であるほどムッとするのだ。

このレビューを読んでいる人はおそらく池田信夫のブログも愛読しているだろうが、実はあのブログでは情報が断片で与えられるがゆえに、余計にそういうイライラは強かった。むしろこの本で、弱者を放置していいと考えているわけではないことが分かって少し安心した。問題にしていたのは“やり方”だったらしい。

さて、不愉快な本である。がしかしボクは多分池田信夫の次回作を買うだろう。気分は悪いが頭の良い人間が時間をかけて集めた情報を整理して開陳してくれるのだから意味は大いにある。感情を理性で乗り越えて読むだけの価値がある本なんてそうあるものではない。

ボクは著者に以前からひとつ問いたかったことがある。とある高校の野球部で「どんなことをしてでも甲子園で優勝しよう」とチーム全員で誓ったとする。優勝のために結局全メンバーを入れ替えて目的を果たした場合、これを成功というのだろうか? 何というか彼の話はとれも理路整然としているのだけれど、そういう閾値みたいなものが欠落しているような気がする。マクロの話は人が生きる話とは永遠に整合しないのだろうか?
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5つ星のうち 5.0 (9件のカスタマーレビュー)
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最初の投稿: 2009/10/24 7:47 AM JST
 nogiさんのコメント:
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前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/24 11:26 PM JST )
 Cropleyさんのコメント:
閾値は“しきいち”と読みます。
ボクがここで述べたいのは、例えば“エコのために人類がいなくなることが一番よい”というような、論理的には極めて正しいけれど、受け入れるわけにはいかない類のことというのが、経済にもあるのではないかということです。もちろん全ての既得権益をそういう目で眺めたら何も変わらないことは事実です。しかしそのパラメータにはおのずと閾値が存在するのではないかということなのですね。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/26 10:48 AM JST )
 ボッシュート草野さんのコメント:
「誰にとっての成功か?」によって話は変わるでしょう。
目的の為にメンバーを入れ替えて優勝した監督、入れ替わって入った新メンバー、高校関係者、地域住民にとっては大成功。代えられた旧メンバーにとっては(納得して交代した人を除き)失敗でしょう。
環境保護も、人類の為なのか動物の為なのか地球の為なのかによって、話は全く変わってきます。

要は「誰の為の改革なのか」つまり最終受益者を最初に明確にし、その為に何をするのかでしょう。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/26 10:49 AM JST )
 それからさんのコメント:
閾値の問題ではなく、単にマクロでは評価基準が1つしかないとするかしないかの選択では? "棲み分け" が最適である生物世界もあることだし。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/26 2:08 PM JST )
投稿者により編集済み(最終編集日時:2009/10/26 2:19 PM JST)
 Cropleyさんのコメント:
ボッシュート草野さん
とてもわかりやすい回答です。おっしゃる内容についてはもう異議を唱える部分はありません。
ただそうなると嘆きたいのが、この「誰のための経済か?」という極めてプレーンな問いのフレーズが内橋克人氏の言い分を容易に想像させてしまう辺りなのです。そういうことが言いたいんじゃないんですけどね。
ボッシュート草野さんはプレーンな意味での「誰のための経済か?」という視点と、池田信夫氏の著書の間に何か隙間は感じないですか? ボクはまだそれが拭えません。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/26 2:13 PM JST )
 Cropleyさんのコメント:
それからさん
すみません。何分文系なので極めて数学的な用語を文学的に使ってしまっているかもしれません。
うーん。複数の選択があるマクロですか。そうかもしれません。というより本当はそちらの方が自然な感じがします。
でもねぇ。池田信夫氏のこの作品に関してはそういう玉虫色を一切排除したことが面白さのひとつなのです。
かと言ってそれを乱暴だと思う自分もいるのでねぇ。何だか明瞭なわりに割り切れないのです。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/26 11:17 PM JST )
 それからさんのコメント:
「オッカムの剃刀」というのをご存知だと思いますが、物事は極端に単純化
することが大事だという立場ですね。池田さんもあえてそのように書かれて
いるのでしょうね。世の中の平均は”通俗”で成り立っていますので、これを
動かすのは大変です。しかし、事態の本質は”通俗”とは異なったところで
動いていたというのは歴史の教えるところですね。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/27 7:10 AM JST )
 Cropleyさんのコメント:
それからさん
ボッシュート草野さん

お二方のレスがいただけただけでもレビューを書いた甲斐がありました。
何だか少し焦燥感のようなものの角が取れたように思います。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/27 1:44 PM JST )
 ある研究者さんのコメント:
ボッシュート草野さん、Croplayさん、

代えられた旧メンバーにとって失敗、というのが経済と高校野球で決定的に違うと思います。経済の場合、代えられた旧メンバーは必ずしも負けではありません。
なぜなら、チームの活躍(例えば日本企業の活躍)は旧メンバーにとってもよいことでしょうし(彼が居座ったままつぶれるのと比べて)、もちろんそれ以外のひとにとっても同様だと思います。よって、誰にとっての成功かと問われれば、みんなにとっての成功であるといえるのではないでしょうか。

前の投稿への返答(返答日時: 2009/10/27 9:51 PM JST )
 Cropleyさんのコメント:
ある研究者さん

うーん。それは難しいです。そうやって結果的に排除された人が再起するには長い時間がかかります。ボクは10年かかりました。人生設計は大きく狂うし、少し運が悪ければそのまま浮かぶ瀬はなかったかもしれません。日比谷の派遣村にいた可能性だってゼロではないのです。そういう点を池田氏は雇用流動性改革で改善しなくてはならないと主張し、それは本当にもっともなんですが、今この瞬間に梯子を外された人は、流動性改革が終了するまでどうすればいいのでしょうか? 人生における10年がどのくらい長いかそれを理論経済や理論政策の実現のために捧げろというのでは人はいつまでも改革に賛成できません。マクロの話としてはわかるんだけど…というのはそういう意味なのです。
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