カスタマーレビュー

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5つ星のうち 2.0 閉口するほかないベストセラー投機 - そんなことをしなくても評価されうる「実ある書」, 2011/2/16
レビュー対象商品: 見せるだけで売れてしまう「事例広告」の方法 (単行本(ソフトカバー))
[寸評]
村中明彦氏の「事例広告の方法」は素晴らしい。
私は本書の内容を絶賛したい。

[補説]
近年、マスメディア・マス広告の凋落が顕著である。
それとともに、広告主と消費者の架橋はいわばこのうえない難題と化した感がある。

そんななか、広告主をぬか悦びさせるようなクリエイティブ礼讃本が次々と出版された。
人気ディレクターなどから数々出されたそのほとんどが自慢話の書籍化という噴飯もので、
「架橋」例への洞察も何もなく、それは偶発したのか、
そのディレクターゆえに成果を挙げたのかすら曖昧な始末だった。

一方、その間、消費者には未曾有のセールス・コンテンツがこれでもかと送り続けられていた。
ここに「戦略的に買いたくなる『空気』を作り追い詰めていけばよい」的なプロモート手法が講じられ、
消費者はさらに包囲される。
なんとも息苦しい環境。

『空気』として通用すれば、ただのステルス・マーケティング。
見破られれば、イジリすぎの広告プロモーション。
しかし、この時代の消費者は度重なる偽装問題を目の当たりにしながら懐疑と警戒のマインドを昂じていた。
騙されたふりをした消費者によってプロモーションは盛況だが、
企業(広告主)の事業成績は低迷の一途を辿った。

一方で、消費者は「手当てと税」が日々増える話になったり減る話なったりする中にいる。
こんな状態では消費マインドを硬化させていくほかないのである。
結果、マスメディア・マス広告は機能不全の重症化どころか、不能的惨状の日を迎えた。

しかし、広告はなくならない。
人に物欲があるかぎり。
人に向上心や将来期待があるかぎり。
どの時代にもそれは絶えることなく、むしろ連綿としてそれはあった。
その確かな律動と同期する術さえあれば、広告はそれとしていかようにも躍動するのである。

その術にはもちろんいくつもの解がある。
それぞれに正解といいうる相応事情がある。
ただし、重要なのはその解は広告主にとっての正解であると同時に、
この時代は消費者にとっての正解でもあることを求められているという点である。

この辺が、爾来、そそのかし、いくらかはだまくらかしてでも買わせるというスタンスで、
そのだましが巧妙であれば激賞するというような広告批評の中で孵化させられていた輩にはともかくno ideaであった。

他方、消費者は一方的な売り込みやだましから自衛するためにこそ、
各種レビューや情報比較サイトに入れあげた。
が、それもここへきてレビュー自体のだまし化、
比較サイト自体の広告ポータル化によっていよいよ息が詰まり始めた。

救世主のようなふれ込みの「キュレーター」も、
往年の檀家ビジネスの胴元が自称したインフルエンサーと区別がつかない。
たとえキュレーターがみずからその商業意図について禁欲的であろうとも、である。
いうまでもなく、結局はエンド・ユーザーたる消費者がそれが商売がかっているかどうかを決める唯一の主体なのだ。

自衛への動機が懐疑的消費性向として平準化されたこの時代の消費者たち。
しかし、彼らはそれでも自利に適う情報を求めている点に変わりはない。

「買ってほしい・買わせたい」の広告主と「自利と懐疑のリテラシー」の消費者の同時結節点、
そのひとつの解がこの「事例広告」という「方法」なのであった。

手詰まりとしか表現しようがないマスメディア・マス広告界にこの「正解例」はあまりに重要である。

また、同時に消費者には自利と共感に沿う自己実現情報の探し方への有意なヒントになろう。

惜しむらくは、ここまで「実」と可能性を抱いたこの書について
閉口するほかないベストセラー投機にもみえるキャンペーンが仕掛けられていることである。

先日来、「推奨の懇請」を趣旨とするメールがおびただしく送りつけられ、
ユーザーとしては閉口するほかない。( 機械の誤作動か? )
目先を変えただけの自己啓発書や売るためだけに書かれたビジネス書が
スパム・プロモーションで手垢まみれになっていくのは昨今のやむを得ざる趨勢なのだろうか。

それとも出版[粗製乱造]コンサルに株価操縦されるがごとく
(エセ)ブランド人になることをそそのかされたのか。
まるで販売部数アップをおまけで釣りつつ言い寄る姿にはわりきれないものを禁じえない。

冒頭に評したとおり、村中明彦氏の「事例広告の方法」は素晴らしい。
投機的「キャンペーン」等、そんなことをしなくても評価されうる「実ある書」なのだから。
商業出版を隠れ蓑するような姑息さは一片も見当たらぬ本書だけにその点だけがきわめて残念である。
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コメント

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このトピックの全投稿3件中1件から3件までを表示
最初の投稿: 2011/02/17 5:07:55:JST
投稿者により編集済み(最終編集日時:2011/02/17 17:10:45:JST)
H.Asanumaさんのコメント:
Asanumaと申します。
小生も出版業界で役員をしております。

使用人時代と違い社・業・業界の将来についても見識や責任を持たねばならない立場となってみて
出版とりわけ広告漬けの出版の行く末の脆さ・儚さに苦悶しております。

その中で三宅さんご指摘の「重要なのはその解は広告主にとっての正解であると同時に、
この時代は消費者にとっての正解でもあることを求められているという点である」というくだりはたいへんに響きました。

ご存知のように、出版業界の実態は高度でも知的でもなく、むしろ地道で派手さの少ない分野です。
それだけに、広告収入に傾いて、確たる機軸を見失っていた私たち出版人にとって三宅さんのご指摘はとても鮮烈でした。
私たちの軸足はほかでもない私たち自身と、そして消費者(購読者)とに「同時に」おくべきだ、と。

それと警鐘を鳴らしておいでの「キャンペーン」問題です。
近年、本が売れない時代となって、良書の発掘・普及という御旗が
「商業出版=より多く売ること」だという「大義」によって圧迫されているのはたしかだと思います。
なかには度の過ぎた仕掛けを弄して市井の読書人の不興を集めているPR会社や出版指南コンサルもあるようです。
自己啓発本をやれ、自分らしさを売れと「いつか聞いたお題目」が飛び交っていると聞きます。

この「事例広告の方法」について小生はたいへんに見どころの多い一書であると感じました
が、それ以上に随所に現れる「事例広告」に対する著者の熱意に打たれたという感じがしております。

それだけに人為的にこの著者が「大売れ」を演出しようとなさられているとは信じられません。
事実だとしたら失望せざるをえません。
私腹と見栄えのための「演出」で、この業界人や読書人がたとえ一部でも振り回されることになったとすれば
小生はそういう人間に「著者」を名乗る資格はないように思えてならないのです。
書生論的なユートピアかもしれませんが。

別件。
「丸山真男を読む会」、小生もとても興味あります。
とくに現代の学生さんや若手社会人の皆さんとこのテーマでいろいろと語らってみたいなと感じました。

投稿日: 2011/02/18 6:40:46:JST
諸江藍子さんのコメント:
インテリア分野の中心としたプロモーションのプランナーをしております諸江です。

お客様に商品への「気づき」や認知をしていただく。好印象を抱いていただく。手に
取っていただく。買っていただく。愛していただく。これが年々難しくなっているな
というのはプロモーションや広告の現場に携わる者にとっての共通の受けとめ方
であると思います。それもあってか、なかなか効果が思うようでない広告に対して、
広告主さんが「さらに派手に」、「さらに長く」、「さらに繰り返し」、「さらに大きく」
厳命する場面が多くなってきています。まるで「敵を屈服させろ」というオーダー
です。結果として、むしろお客様は離れていってしまっているような感触です。
お客様を敵視しないプロモーションのあり様に、ここ数年、小社がこだわってきた
のには、そういう背景があります。そんなことですから、村中様の著書を見つけた
際はまさに「我が意を得たり」の思いでした。三宅様が強調したおられる「広告
主」と「消費者」双方にとって「同時に正解であること」はまさにその核心部分。
「同時正解」は広告の理想論などではなく、従来のように広告が効かなくなって
きたこの時代にあっては、数少ない「広告が広告然としていられる」現実的方策
であるとすらいえます。
ところで、「キャンペーン」のお話は私も大変気になりました。「キャンペーン」に
ついてこころよく思っている人に会ったこともありません。しかし、書籍のネット
通販やAMASONさんが幅を利かす時代である以上、この傾向はやむをえない
ことなのかもしれません。ただ1つ気がかりなのは(著者の姿勢について言及
することは大いにやるべきですが)「キャンペーン」に対して否定的に扱いすぎる
と、せっかく寄稿されたレビューがバッサリと削除されてしまいやしないかという
点です。

前の投稿への返答(返答日時: 2011/02/21 13:40:06:JST )
三宅栄世さんのコメント:
諸江様
コメントありがとうございました。
早速ですが、「キャンペーン」の件について一言申しあげます。

小生なりにこういう時代だということを考えつつも、
しかしこの種の「キャンペーン」が野放図に横行することや
十分な慎重さを欠いた形で推奨する商売人についてはやはり看過できないと思います。
悪質とは言い切れませんが、正道とも言えません。

「キャンペーン」の横行により、本の中身よりも「売り方の巧拙」に重点が行き過ぎたことはやはり懸念すべきです。
たとえ、商業出版といえども。

というのは、いまやこの種のキャンペーン礼讃者は「売り方の巧拙」すら飛び越えて
「売るための中身への変更」へと転移しつつあるからです。
その結果、顕在化してきたのが「売れるテーマで書く > 書きたいテーマで書く」という症状です。

一部の出版コンサルでは、ビジネス書を書こうと受講した人に
オバケについての本のほうが売れるからと「変更」を勧めたという話もあるそうです。
同じコンサル関係者が「これからも自己啓発書だ」と言った話とかも漏れ伝えられています
まさに儲けるためのお話なのですね。

商売は確かに綺麗事ばかりではありません。
が、過剰な商業主義というのもどうなのかという思いがありますね。

なお、削除についてのご心配ですが・・・・・
恐れ入ります。

私は下記のブログでこの書評についてはすでに公開中です。
        http://bookselect167.cocolog-nifty.com/blog/
同様の内容です。
ですので、もし不測の事態にはぜひこちらをご参照ください。

もちろん、「削除」の際は「そうなったこと(そうされたこと)」も含め、そちらのブログに掲載し公表し世間の声を問います。
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