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そのものズバリ、南極のお話,
2009/2/20
レビュー対象商品: 南極大陸〈上〉 (講談社文庫) (文庫)
何と形容すれば良いのか、難しい小説である。いちおう舞台設定は近未来らしいが、近未来SFと言ってしまっては言い過ぎだろう。そのものズバリ、南極のお話です…としか言いようがない。
おもしろい事はおもしろい。南極に眠る鉱物資源をめぐる開発促進派と環境保護派のせめぎ合いや、地球温暖化の問題等、興味深いテーマがいくつも内包されている。だが、何と言うか…著者の南極への思い入れはビンビン伝わって来るのだが…冗漫と言うか、焦点がぼやけていると言うか…とにかく、これほど興味深いテーマを扱っていて、しかもページ数も十二分に費やしているのだから(上下合計で約850ページ)、もっとずっとおもしろい話になっていいはずなのに…という物足りなさを感じるのだ。
また、情報小説として見ても、イマイチに感じられる。南極についての私の知識が皆無に近い事もあるが、登場する組織や施設、科学的な発見やテクノロジー等が、どこまでが現実で、どこからがフィクションなのか、よくわからないのだ。
それでも、本書が書かれたのは1998年、まだ地球温暖化がそれほど騒がれていなかった頃なのに、この問題を取り上げた先見性は高く評価したい。さらに、足跡ツアーに参加した中国の詩人・風水師のタ・シュウによる、初期の南極探検家たち(アムンセン、スコット、シャクルトン)についての独特な解説は、非常におもしろかった。
以上、全体的に物足りなくはあったが、他に類を見ない個性的な物語であり、読んで良かったと思う。
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