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この1冊でコシモ・メディチ以降のフィレンツェ共和国の歴史がわかります。,
2006/4/9
レビュー対象商品: わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡 (中公文庫) (文庫)
イタリアの都市国家、なかでもルネサンスの中心となった共和国として、フィレンツェとヴェネツィアの歴史はおさえておきたいところです。後者に関しては同じ作者に「海の都の物語」という大作・好著があり、それがカバーしてくれますが、前者、特にコシモ・メディチが実質的に支配するようになって以降の歴史は、解説をいれて629ページに及ぶ本書がカバーしてくれます。というのは、本書はマキアヴェッリがフィレンツェ共和国の官僚として、そして失脚して以降の本人の言動を中心にすえて彼が活躍した時代を生き生きと描くとともに、その前後の歴史、つまりマキアヴェッリが生まれる前、生まれてから官僚に登用されるまで、そして死後フィレンツェ共和国がトスカーナ大公国になってしまうまでの歴史も簡潔に記してくれているからです。この構成が素晴しい。
マキアヴェッリ本人は有能だが、決して権謀術策の人ではなく、まさに「わが友」と呼びかけたくなる人間味あふれる人物だったことが本書でよくわかります。特に失脚中に、夜書斎で読書、つまり古の人と対話をするときにわざわざ官服を身につけていたという冒頭のエピソードが感動的です。わが国の漢詩に「一穂の青燈万古の心」という読書の醍醐味を集約した名句がありますが、それに通じます。歴史ものの読書を愛する人にとって、このエピソード一つとっても「わが友」と呼びかけたくなる人物にマキアヴェッリが思えてきませんか。
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