|
28 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: レッド・サン [Blu-ray] (Blu-ray)
1870年頃のアメリカ西部。日米修好の任務を帯びた坂口備前守(中村哲)一行を乗せた特別列車が、ワシントンへと向かう途中、強盗団に襲撃される。強盗団のボス、リンク(チャールズ・ブロンソン)は、手際良く事を運び、金貨を手にするが、相棒のフランス人ガンマン、ゴーシュ(アラン・ドロン)が、隙をみてリンクをダイナマイトで吹き飛ばし、金貨と日米修好の大統領への贈り物である金の宝刀を奪って逃走。辛うじて、命をとりとめたリンクは、坂口の家臣である黒田(三船敏郎)と共に、ゴーシュを追うことにするが…。日、米、仏を代表する国際的ネーム・バリューのある3大スターの共演、イギリス人であるテレンス・ヤングが監督、という時代を先取りした国際的な映画作りの嚆矢とも言える西部劇の異色作。侍が西部に殴り込みをかけるという点では、岡本喜八の『EAST MEETS WEST [DVD]』の先駆けであり、アジア人(鉄道工夫や料理人などの脇役ではなく)が主人公の西部劇という点では、『荒野のドラゴン [DVD]』や『シャンハイ・ヌーン [DVD]』などの先駆け的作品と呼ぶことが出来る。 見張るかす西部の平原にある駅に列車が到着するという、西部劇では、ごくありふれた導入部。一点だけ(しかし、かなり大きな)、他の西部劇と違うところがあるとしたら、列車から降りてくるのが、ガンマンではなく、静かな威厳を漂わせ、腰に刀を差した侍だということ。その姿を見ていたブロンソンのガンマンが、思わず探るように視線を送るが(逆に、三船の侍もガンマンに視線を送る)、確かに、西部劇においては、異様な光景だ。しかし、それも最初のうちだけ。話が進むにつれ、黒田のキャラクターが、ガンマンに劣らない存在として(というよりも、作品全体の基調にすらなる)、自然と西部の風景に溶け込み、俄然光輝く。侍の武士道が、西部劇の主人公の持つ心意気や矜持にも通じるからかもしれない。金を取り返すことしか考えないリンクが、次第に、黒田の信義、忠義を理解し、友情にも似た関係を築いていくのも頷けるのだ。とにかく、黒田を演じる三船のもの静かで、抑制の効いた所作、身振り(あまりの頑固さが、時には巧まざるユーモアとなって)が素晴らしく、殺陣も実に痛快(当時51歳にもかかわらず、キレがある!)。三船、ブロンソン(当時50歳)、ドロン(当時36歳)の三者三様の男盛りの魅力が切り取られているが、製作陣、演技陣が、誰よりも三船に敬意を払っているのが感じられて嬉しいかぎりだ。 アクション作品で定評のあるヤングは、ロード・ムービー的な緩やかで牧歌的な珍道中(リンクと黒田のやりとりが可笑しい)と豪快でキレのあるアクション場面をメリハリのある演出で描き分け、実に上手くまとめている。正直、ウルスラ・アンドレスの蓮っ葉な娼婦の場面(娼館やコマンチ族に襲われる場面)などは、作品を冗長にし、間延びさせている感は否めないが、埃っぽく、男臭い作品の中で、彼女の艶っぽさは、目の保養にはなっている。ただ、彼女を出演させなければ、よりタイトで硬派なアクション西部劇になったのではないかとも思う。それでも、本作が、決して奇天烈なキワモノや珍作に陥ることなく、侍主演の西部劇として、観所満載の活劇となっていることだけは揺るぎがないのだ。 本Blu-rayは、2001年発売の東北新社盤(PAL、レターボックス、フランス語音声収録)、2004年発売のジェネオン盤(PAL、レターボックス、日本語吹替え収録、英語版予告編収録)同様、Studio CanalのHDテレシネ、レストアされたマスターを使ったもの。若干、黄色味が強い色調で、所々甘い場面もあるが、既発売のDVDよりも発色、ディテール表現ともに上の画質。71年の作品ということを考えれば、十分良好な部類だろう。何より、HDになったことで、PAL変換(4%スピード・アップ)から解放されたのが嬉しい。音声(英語、モノラル リニアPCM)も明瞭だ。ジェネオン盤と同じ日本語吹替えも収録。 残念ながら、特典は一切収録されていないが、本作のファンにとっては、現状、一番満足のいくパッケージ・ソフトであることは間違いない。 |
レビュー詳細商品
レビュアー
|