カスタマーレビュー

46 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 祝!DVD化。見直す度に発見があるアルトマンの最高傑作。(ラストに触れています), 2011/11/13
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レビュー対象商品: ナッシュビル [DVD] (DVD)
御存知、ロバート・アルトマンの多彩なフィルモグラフィーの中でも最も重要な作品が、遂にと言うかようやくと言うか、いきなりの初DVD化にして嬉しいサプライズとして廉価版にて登場。
今まで折に触れ、拙レビュー上でDVD化を祈念し叫ばせて貰っていただけに、これはめでたいと思う一方、何か狐につままれたみたい(笑)。
紛れもなく70年代のアメリカ映画を代表する傑作にも拘らず、今年“70年代アメリカン・ニューシネマ特集”と題して、テレンス・マリックの「天国の日々」と共に一部の劇場でリバイバル上映されたものの、今までヴィデオ化すらされず、多くの方々にとっては伝説の映画だと思えるので、これを機に是非御覧下さい。以上。
〜と結んでしまいたいくらい、この映画、その魅力を語るのが中々に難しい(笑)。

如何にもアメリカ的なC&Wの聖地ナッシュビルに一旗揚げようと集まってくる者たちの5日間に、狂信的大統領候補の予備選キャンペーンを絡ませながら、ウォーターゲート事件後の政治的緊張感と70年代アメリカ社会をも照射したテーマを、ロング・ショットと多重サウンド、更に、俳優たちにアドリブを多用させながらのネオ・ドキュメントな演出を駆使させたアルトマン的群集劇のスタイルが頂点に達した傑作。

短く纏めるとこんな感じなんですが、我ながら手だれた説明ですね(笑)。
先行されているゴッドキングエンペラー氏も、その的確なレビューで述べられていますが、24人もの主要登場人物が入り乱れての人間ドラマを具体的に追っていくと実に面白いのですが、これをレビュー上で反映させるとなると、確かに枚挙のいとまもない。

今作を初見したのは高校生、初のアルトマン体験だったのですが、正直16歳にはその面白さが今ひとつ分かりませんでした。複雑な人間関係が十分把握出来なかった事もありますが、アルトマン自身のヴィジョンたる“これが、75年のシンボリックなアメリカだ!”的メッセージが、アメリカ人でもなく、アメリカで生活した事もない者にとっては、深遠で理解するのが難しかったからです。
ただ、映画の持つユニークさと斬新さには、強烈な印象を受けました。
その後、名画座で再見し、物語の流れと登場人物の個々の動きを“点”ではなく、“線”で捉えられるようになり、そして、“アメリカ”への関心が高まる毎に、今作の持つ凄みと面白さが分かってきたよう思えます。
シニカルにしてユーモラス、悲しいけどエネルギッシュなその風刺精神にハマってしまったんですね。

登場人物たちの人間模様が、幾重にも交錯し、あのラスト・シーンへと繋がっていく。
2時間40分、そのドラマ性は極力抒情性を排しながらも、“I’m Easy”を歌うキース・キャラダインをただ見つめるリリー・トムリンとか、服を脱がされる事を知らずに、男性向けの大統領候補選挙資金パーティに駆り出され、結局ストリップを強要されるグエン・ウエルズとか、実に切ないんです。
騒然となったラストで主役交代とばかりに憑かれたように熱唱するバーバラ・ハリス。彼女の歌う“It Don't Worry Me”は、キース・キャラダインが、もともと自身が出演した「北国の帝王」の為に書いた楽曲ですが、その歌詞は、今作のラストを飾るに相応しい如何にもアルトマン的アイロニーを感じさせます。
今作では、20曲以上ものオリジナルな楽曲が使われていますが、曲を作ったり、歌ったりしているのは、みな、出演者自身。カレン・ブラックでさえ、中々の美声を披露しています。

これだけの個性派、クセモノがスタッフ、キャストに名を連ねている今作ですから、当然逸話の類は多いのは当たり前で、例えば、リリー・トムリンの役柄は、最初はルイーズ・フレッチャーにキャステイングされていたとの事です。トムリンには、同時期に別の映画のオファーがあったそうですが、結局、運命の皮肉か、ふたりはそれぞれに振られた役を取り替えて出演し、トムリンは、今作でアカデミー助演女優賞にノミネートされました。代わりに、フレッチャーが演じる事になったのは、「カッコ―の巣の上で」であのラチェット婦長。彼女は同作で、見事アカデミーの主演女優賞に輝きましたが、双方が当初のままの役柄でそれぞれの映画に出ていたら、なんて考えるのも、映画ファンの秘かな愉しみではないでしょうか。

映画の撮影時、世間ではウォーターゲート事件に端を発したホワイトハウスの疑惑で噴出しており、ベトナム反戦運動に関わっていたスタッフ、キャストが多かったその現場では、その話題で持ち切りだったようで、ニクソンの大統領辞任のニュースが報じられた時には、大歓声が挙がったとの逸話も懐かしいですが、後に、ジョン・レノンの暗殺事件が起こった際、この映画との関連性に聞かれ、責任を感じないか、と問いただされた時、アルトマンは、一笑にふし、自分の警告に何故誰も耳を傾けなかったのか、と反論したそうです。暗殺と言うのは、政治的背景などよりも単に有名人であるから狙われる、との持論を展開したんですね。
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このトピックの全投稿13件中1件から10件までを表示
最初の投稿: 2011/11/13 13:18:26:JST
投稿者により編集済み(最終編集日時:2011/11/13 14:07:43:JST)
hide-bon様

「ナッシュビル」について貴方様が書かれましたレビューを拝見致しました。
本当に非の打ち所のない、秀逸で白眉なレビューだと思います。
それに比べると私の文章は稚拙で幼稚なレベルです。その博学多才ぶりには舌を巻き、心から感服いたします。学ぶべき点も多いです。こういう視点もあるのかと、大変勉強にもなりました。これからも凛々しい素敵な語りを大いに期待しております!

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/13 14:16:45:JST )
投稿者により編集済み(最終編集日時:2011/11/13 14:18:04:JST)
Bo-he-mianさんのコメント:
hide-bon さま

脇から失礼いたします。来ましたね『ナッシュビル』!
実は『ボウイ&キーチ』のレビューを書こうと思って準備していましたが、後回し後回し(笑)。遅ればせながら後ほど追走させて頂きます。
hide-bonさんとゴッドキングエンペラー氏に比べると、私はこの映画に関しては遥かに「後輩」なので(笑)、まあ自分が感じた事を細々と書かせて頂きます〜。

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/13 15:35:26:JST )
投稿者により編集済み(最終編集日時:2011/11/13 16:31:57:JST)
Bo-he-mian様、始めましてお目にかかります。実は貴殿からレスが来るのをずっと心待ちにしておりました!こういう形でBo-he-miаn様と知り合えて、とても嬉しいです。貴殿がお書きになるレビューは読む人の心を陶酔させる不思議な包囲力を持っておられます。特に映画のずば抜けた知識には驚愕します!。盟友のhide-bon様と一緒に、これからも楽しくて面白い映画レビューを書き続けて下さる事を期待しております!

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/13 17:18:54:JST )
hide-bonさんのコメント:
Bo-he-mian様。

是非、貴殿の「ナッシュビル」評、拝読したいですね。
期待して待っています。
「ボウイ&キーチ」のレビューを準備されていたとの事ですが、実は、アルトマンは、自分なりの「ボニー&クライド」をどうしても撮りたくて、UA社から、トム・ジョーンズ主演の音楽物とのオーダーを受け、バーターとして今作のプロジェクトに掛ったそうなんですよ
だから、「ボウイ&キーチ」が世に出なければ、「ナッシュビル」も存在しなかったかも、これってオモシロいですね。
正に、バタフライ効果、です。
「ミスター・ノーバディ」、何とか、レビューを書き込みました。
多分、明日あたり掲載されると思います。
貴殿のような素晴らしいレビューには到底及びませんが、オモシロい映画なので、自分なりの皆さんへのお薦めレビューとなっています。

ゴッドキングエンペラー様

度重なるお言葉、恐縮です。
Amazon・映画の友、として、皆でわいわいと交流出来れば、楽しいですね!

投稿日: 2011/11/13 19:32:46:JST
響子さんのコメント:
皆様 こんばんは
本作、まだ未見です。
気にはなっていたんですが、観る機会を失っていた映画でした。
hide-bonさん、ゴッドキングエンペラーさんの、いつもと変わらぬ見事で熱いレビューを拝読し、参考にさせていただきました。
いずれ、本作のDVDを鑑賞したいと思います。
映画通の3人の素晴らしいレビュアー諸氏の熱いコメント欄を、陰ながら拝読し、勉強させていただきます。

横から入りこんでのコメント、大変失礼いたしました。

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/13 20:50:59:JST )
投稿者により編集済み(最終編集日時:2011/11/13 21:03:31:JST)
Bo-he-mianさんのコメント:
皆様
熱く盛り上がっていますね!

hide-bon さま
さすがの知識!、書こうと思っていたネタを一部先取りされちゃいました(笑)まもなくレビュー書きま〜す。

ゴッドキングエンペラー様
氏に注目されていたとは光栄です。というか、いつも私の方が氏のレビューに教えられてばかりでした。『男の出発』『アメリカを斬る』から『月のキャットウーマン』まで、私の知らない映画の数々をチェックさせて頂き、またその作品の見どころを的確に射たレビューに感服しておりました。イエジー・カワレロウィッチの諸作や、ロージーの『銃殺』も観たことがないので、この人はどれだけ映画を観ているんだろうと(笑)、『悪を呼ぶ少年』も氏のレビューで知った映画です。
最近心に残ったのは『ストレートタイム』の氏のレビューです。私はベータのデッキがぶっ壊れてしまって再見できず、レビューが書けなくて悶えていたので、まさに的を射たようなタイミングで嬉しく拝読しました。やはり「映画秘宝」に刺激を受けて、のレビューでしょうか?
「独り我が道を行く」タイプの方かと思って(失礼しました!)コメントは差し控えておりましたが、これからは遠慮なくおじゃまさせて頂きます!

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/15 0:04:51:JST )
[投稿者により削除済み(削除日時:2011/11/15 0:05:10:JST)]

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/16 0:20:54:JST )
投稿者により編集済み(最終編集日時:2011/11/16 0:39:49:JST)
☆迂回してすみません!

こちらこそお世話になります。
私は好奇心の塊ですので、
コレからも色々な事を教えてくださいね!
よろしくお願いします。
※エラーが二回発生しましたので、削除いたしました。

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/16 0:22:17:JST )
[投稿者により削除済み(削除日時:2011/11/16 0:23:20:JST)]

前の投稿への返答(返答日時: 2011/11/16 0:22:54:JST )
[投稿者により削除済み(削除日時:2011/11/16 0:23:10:JST)]
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