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緻密な論展開や証拠に欠けるものの,
2006/12/27
レビュー対象商品: ADD/ADHDという才能 (単行本)
長所としてADDの肯定的な面を見つけるというのは当然のこととして、
1つには、教科書的な本にはあまり触れられないが、興味深い症状(リタリンを飲むと集中力
は増すが、創造性が枯れるなど)がふれられていること(エビデンスがあるかはともかく)。
2つ目は、肯定的な見方だけでなく、ADDの文化差について通常の見方(単に診断基準の違い)
とは違った見方をしたり、日本のような新規性追求が遺伝的にも低い国との対比など独特の視
点で解釈をしてること。3つめは進化的、相対的、多面的な解釈が得られることでしょうか。
遺伝性の強い疾患が広く広まっている場合、それが(必ずしも何らかの状況で適応的というこ
とではないが)進化機構的に意味がないということはありえません。
別に、それが著者の解釈が正しいということを意味しませんが(例えば、ADDはたぶんに新奇
性追求やドーパミン、創造性などと関連してるので、ADDは進化の過程でヒトの創造性が高ま
った副産物、あるいは新たな土地や繁殖資源を求める副産物かもしれません。わずか1万年
前に始まった農耕などの影響はわれわれの性質とは遺伝的に関係が薄いかもしれません、著
者の話とは逆にADDの粗暴性、衝動性、危険をいとわないという(前線の兵士に向いているこ
とが知られている)性質は積極的な戦争にむいていただけかもしれません。)
現代の狩猟採集民の生態は、本説の検証に役立つでしょう。
気になったのは著者も一方で気づいているようなのですが、ADDというのはいろい
ろな要因が関わる疾患だし、狩猟採集民にも石器作りとか退屈な分業もあるし、学業で成
功してたりすると症状が隠れたりするように、ハンター=ADD対農耕民というような二項対立
はかなり単純化しすぎな面があるだろうということ。それと、何らかの状況に適応的である=
障害、機能不全ではない、という進化的誤謬。
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